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学科長メッセージ:(医学科:学部案内)

 高知大学医学部は、1978年に第1期生が入学してから(当時は国立高知医科大学)40年目の節目の年を迎えました。
 この間、全国医学部の卒業前、卒業後の教育システムにいくつもの大きな変更がありました。1991年には、日本の大学の在り方が大きく変わることとなった『大学設置基準の大綱化』により、従来の『教養科目』、『専門科目』の区別がなくなり、医学部でも、それまでの『医学進学課程』と『医学専門課程』の2つの課程をなくして、6年間一貫の教育システムへ変更されました。その後2001年には、初の全国医学部共通カリキュラムとして『医学教育モデル・コア・カリキュラム』が作られ、医学生のより効率的で質の高い学修の達成のために、これまで3度改定されています。また、2005年には、この共通カリキュラムの元で学修した学生に対して、病院実習前の能力を確認するために、全医学生(大部分の大学では4年生)を対象にした、共用試験(知識と実能の確認試験)が始まりました。元々医学部の学生は、全学年で厳しい進級試験があり、病院実習でも多数の部門で評価を受け、卒業直前の膨大な臨床科目の卒業試験の全てに合格し、その後最終関門としての『医師国家試験』にも合格してはじめて医師として巣立っていくという、非常に特殊で厳しい大学生活を送っていますが、それに加えて全国共通の共用試験を受けて更に高い能力が求められることになりました。これらは全て、めまぐるしい医学の進歩と複雑化する社会からのニーズに対応するためであり致し方ない流れではありますが、今の医学生達はこれによく耐えて、日々膨大な学修量をこなしています。2004年には、今度は卒業後の臨床医としてのトレーニングの充実を目的とした『新臨床研修医制度』がスターとし、質の高い医師養成のために大きな役割を果たしています。
 これらの厳しい学部教育、卒後教育を経て育った医学生や研修医の知識・技能のレベルは非常に向上してきています。しかし一方で、昔は当然行われていた一般教養教育については質・量共に不十分であり、また学生自身も教養を身につける積極性が低下しています。将来臨床医となった時に接することになる多くの患者さんには、ひとりひとり異なる人生の背景があります。特に近年、情報化社会の発展により、個々の患者さんの知識レベルも高くなっています。そのような患者さんとのコミュニケーションのためには、医学のみの知識・経験だけでは、明らかに不十分であり、社会人としての広い教養が必要となります。
 膨大な医学知識の情報が氾濫し、これを処理して身に着けるだけでも大変な医学部生活ではありますが、やはり文化的な趣味含めて、十分な教養や倫理観を持った良き臨床医に育ってもらいたいと思いますし、大学としてもそのサポートをしたいと考えています。


 (文中の『学修』について、現在の大学教育では、習うという意味の『学習』ではなく、自ら身につけるという意味で『学修』と使います)

医学科長 :高田 淳