ホーム > 学部案内 > 医学科 > 医学科講座 > 遺伝子機能解析学

遺伝子機能解析学

研究室紹介

 ヒトを含む生物が正常な生命活動を営むには、ゲノム情報が適切な場所で適切な時期に適切な量、mRNAに変換されなければなりません。私達は、この過程の制御に関わる種々の転写因子の機能とヒト疾患との関連を明らかにすべく研究を行なっています。

トピックス
2011年11月: 安川先生が高知信用金庫・高知安心友の会学術賞を受賞しました。
2012年11月:「Elongin Aの神経系分化における役割」の論文が米国科学誌
Cell Reports (Cellの姉妹誌)に掲載されました。

研究内容

 DNAを鋳型としたmRNAの合成反応(転写)は、RNAポリメラーゼII(Pol II)によって触媒されますが、この反応は開始、伸長、終結の3つのステップから成ります。転写の開始反応が遺伝子発現における主要な制御段階であることは以前から知られていましたが、最近これに続く伸長段階も、反応が途中で停止し易い(実にゲノム上の1/3の遺伝子で転写開始直後にPol IIの停止が起こっている)こと、巨大な遺伝子(例えば筋ジストロフィー症の原因遺伝子の1つDystrophin)では全長の転写に一日近くもの時間を要することなどから、重要な制御の場であることが認識されてきました。これまでに、この段階を正または負に制御する転写伸長因子が10個以上単離されていますが、そのうちのいくつかは癌をはじめとする病気の発症と密接に関連することが明らかとなり、転写伸長因子病という疾患概念が産まれています。
  私達もこれまでにTFIIF、Elongin Aなど、4つの転写伸長因子を単離して解析を行なってきました (Nature 1992, Science 1995, JBC 2000, JBC 2002)。Elongin Aの遺伝子欠失マウスを作出して解析した結果、同マウス胎仔由来の細胞ではアポトーシス亢進や早期細胞老化が認められ、Elongin Aがストレス耐性に関与することが明らかとなりました(Cell Death Differ.2007, JBC 2013)。また、紫外線照射等の刺激によりElongin AがElongin BCに加えてCul5、Rbx2とも結合して複合体を形成し、Pol IIを標的とするユビキチンリガーゼ(E3)としても機能することを発見しました(EMBO J. 2008, JBC 2015, JBC 2017)。さらに、Elongin Aが神経堤から感覚神経への分化を指令する転写制御因子の発現応答に関与し、脳、脊髄における感覚神経系の形成にも重要な役割を演じていることが判明しました(Cell Reports 2012)。

【現在の研究テーマ】
1) Pol II調節因子Elongin Aの神経分化制御作用のメカニズムの解析
2) Elongin A複合体の2種類のPol II修飾機能(mRNA鎖伸長促進とユビキチン
  リガーゼ〔E3〕)のswitchingのメカニズムの解析
3) 新規Elongin BC型ユビキチンリガーゼ(E3)の作用とAlzheimer病の病態との関連の解析

スタッフ紹介

教 授:麻生  悌二郎 〈研究者総覧へ〉
講 師(学内):安川 孝史 〈研究者総覧へ〉
高知大学医学部 遺伝子機能解析学教室

高知大学医学部 遺伝子機能解析学
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fg_chmst/

TEL:088-880-2279(2280・2579)
FAX:088-880-2281