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お知らせ(2014年度)

医療学系基礎医学部門(微生物学講座)の内山淳平 助教の論文が、Nature系の微生物学雑誌“The ISME Journal”のオンライン版(3月6日付)に掲載されました
 これは、本学の教育研究部・医療学系基礎医学部門、総合科学系複合領域科学部門、総合科学系生命環境医学部門の教員、および、宮崎大学との共同研究により達成された研究成果です

Intragenus generalized transduction in Staphylococcus spp. by a novel giant phage.の要旨

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA; methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は、我が国の薬剤耐性菌による感染症の中で最も問題となっている起因菌です。菌ゲノム上に存在するメチシリン耐性遺伝子がメチシリン耐性の原因です。近年の研究で、メチシリン耐性遺伝子は、ファージを介した遺伝子の水平伝播(普遍形質導入)により、環境中や動物由来の黄色ブドウ球菌の仲間から黄色ブドウ球菌へ伝播した可能性が最も高いと推察されていました。本研究では、1) 下水中から独自に分離した新規大型ファージS6の解析を行い、本ファージは2重鎖DNAを有するが、ゲノム塩基にチミンの代わりにウラシルを使用しており、かつ普遍形質導入活性を有する可能性があること、また、2)  実際、ファージS6を介して、黄色ブドウ球菌とその仲間の細菌との間で相互に、薬剤耐性遺伝子の伝播が起きることを世界で初めて実験的に証明しました。
 ファージS6は、RNAワールドの名残だと考えられます。この様なファージが環境中に存在し、太古の昔より薬剤耐性機構の伝播を含めた細菌の進化に関与してきたと考えられます。
 私たちはウラシルを塩基として使用するDNAゲノムファージを他にも有しており、これらファージの遺伝的な解析を行うことにより、生命の起源の探求を行いたいと考えております。また、ウラシルをゲノムDNAに使用するファージS6の細菌感染メカニズムの解明は、新規創薬の基盤研究開発にも貢献できると期待されます。このように、今後、ウイルス学、進化生物学、創薬などの多分野でその研究展開が大きく期待されます。