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お知らせ(2014年度)

平成26年度高知信用金庫・高知安心友の会学術賞授与式及び受賞講演会を開催しました

 高知大学医学部では、高知信用金庫及び高知安心友の会から医学研究に対して助成をいただいています。この助成金を基金として、高知大学医学部(高知医科大学時代を含む。)において基礎・臨床の各分野で学術研究上顕著な成果をあげた研究者に対し、学術賞を授与しています。
受賞対象者は、高知大学医学部の准教授、講師、助教、大学院生、医員及び外国人研究者となっており、本年度はこれらの対象者から11人の応募がありました。選考の結果、次の2名に学術賞を授与することを決定し、授与式及び受賞講演会を平成27年3月24日(火)に医学部基礎臨床研究棟にて執り行いました。


微生物学大学院生 橋田裕美子

ウィルス発がん:新規がんウィルスが関わる腫瘍と遺伝子解析による発がん機構の解明

眼科学大学院生 石田 わか

very late antigen-4とleukocyte function-associated antigen-1による 実験的自己免疫性ぶどう膜炎の抑制効果について



平成26年度高知信用金庫・高知安心友の会学術賞受賞者を囲んで




後列左から奥原教授、片岡教授、本家教授、
前列左から高知信用金庫 難波監事、橋田大学院生、石田大学院生、杉浦医学部長




○微生物学の橋田裕美子大学院生が受賞された研究の概要
 がん全体の約20〜25%は、微生物感染という明確な外因を基盤として発生する。その多くがウイルスによるものであり、現在までに7種類のヒト腫瘍ウイルスが知られている。本研究では、最も新しく発見されたメルケル細胞ポリオーマウイルスに主眼を置いた。本ウイルスは、メルケル細胞がんという皮膚がんの一種から発見され、ポリオーマウイルス初の腫瘍ウイルスとして注目されたが、他の腫瘍との関係等は明らかにされていなかった。そこで、様々な腫瘍で探索を行い、中でも肺がんでは、「野生型」ではなく、「腫瘍特異型」感染形態をとる症例があることを突き止めた。肺がん発症にウイルスという外的要因の関与を示すものであり、そのインパクトは大きいと考えられる。
 また、本ウイルスの遺伝子解析により、欧米と日本を分ける特定遺伝子配列があることを発見した。これにより、人種によって発生率に差がある疾患との関与の可能性を探求する研究、さらにはウイルス遺伝子配列という観点から、ウイルス学・遺伝子学・人種学の分野を融合させる研究への展開が期待できる。


○眼科の石田わか大学院生が受賞された研究の概要
 ぶどう膜炎とは、血管とメラニンに富む虹彩・毛様体・脈絡膜からなる「ぶどう膜」に炎症が生じ、隣接する組織の網膜にも炎症が波及する疾患である。サルコイドーシスなどの内因性ぶどう膜炎の原因は未だ解明されておらず、治療法もステロイド薬による対症療法によって行われることが多い。マウス実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎モデルを用いた研究から、内因性ぶどう膜炎の発症には自己反応性T細胞が関与することが明らかとなった。最近の研究成果から、interferon (IFN)-GAMMAを産生するT-helper 1 cell (Th1細胞)とinterleukin (IL)-17を産生するTh17細胞が、ぶどう膜炎の発症に必須であることが証明された。接着分子のvery late antigen(VLA)-4およびleukocyte function-associated antigen(LFA)-1は、白血球が血管外に浸潤する際に重要な役割を果たす。EAUの発症には、活性化されたT細胞が網膜に浸潤するために細胞表面の接着分子が関与していると考えられる。そこで本研究では、ぶどう膜炎におけるVLA-4およびLFA-1の関与を検討した。VLA-4やLFA-1分子に特異的な中和抗体の投与は、ぶどう膜炎患者の治療に効果がある可能性があり、VLA-4とLFA-1はEAU発症に重要な役割を果たすことを明らかにした。