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お知らせ(2015年度)

麻酔科学・集中治療医学講座の河野 崇 講師らの研究論文が医学雑誌 「Anesthesiology」のオンライン版(5月14日付)に掲載されました。

 麻酔科学・集中治療医学講座の河野 崇 講師らの研究論文が医学雑誌 「Anesthesiology」のオンライン版(5月14日付)に掲載されました。

「Impact of Preoperative Environmental Enrichment on Prevention of Development of Cognitive Impairment following Abdominal Surgery in a Rat Model」の要旨

 急速な高齢化社会の進行に伴い、高齢者の手術が増加する一方で、術後の認知機能に対する問題が明らかとなっています。術後認知機能障害 (Postoperative cognitive dysfunction: POCD) は、認知機能が術前より低下した状態で、手術・麻酔を契機に生じる脳障害です。POCDの発症は、退院後のQOL低下や就労困難のみならず、死亡率増加にも関連します。POCDの危険因子は、高齢であることが一貫して報告されていますが、詳細な発症機序は明らかでなく、現時点において特異的な予防方法も存在しません。

 本研究論文では、高齢ラット開腹手術モデルを用いて、POCD発症には手術侵襲を契機とした海馬でのマイクログリアの過剰活性とそれに伴う炎症性サイトカインの増加が重要な役割を果たすことを明らかにしました。 さらにこれらの病態は、術前2週間の運動介入 -自発運動促進ゲージ (回し車で自由に運動) と探索行動促進ゲージ (Hebb Williams迷路にランダムに餌を捲いて探索行動を促す) にそれぞれ隔日で24時間暴露- により予防可能であることを示しました。術前運動介入は、手術が決定してから術日まで (通常2週間前後) に行え、副作用のないPOCD予防法として有用性が高いと考えられます。