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お知らせ(2018年度)

 平成30年度高知信用金庫・高知安心友の会学術賞授与式及び受賞講演会開催しました

 高知大学医学部では、高知信用金庫及び高知安心友の会から医学研究に対して助成をいただいています。この助成金を基金として、高知大学医学部(高知医科大学時代を含む。)において基礎・臨床の各分野で学術研究上顕著な成果をあげた研究者に対し、学術賞を授与しています。
 受賞対象者は、高知大学医学部の准教授、講師、助教、大学院生、医員及び外国人研究者となっており、本年度はこれらの対象者から6人の応募がありました。選考の結果、次の2名に学術賞を授与することを決定し、授与式及び受賞講演会を平成31年3月25日(月)に医学部実習棟にて執り行いました。

病理学 准教授 倉林  睦

後肢虚血-再灌流刺激による血糖コントロールのメカニズムの解明と糖代謝異常に対する治療への展開

手術部准教授 山本 正樹

心臓血管外科手術における近赤外線蛍光造影法による術中血流評価技術の開発

平成30年度高知信用金庫・高知安心友の会学術賞受賞者を囲んで


左から菅沼医学部長、山本准教授、倉林准教授、高知信用金庫 矢野常務理事

○病理学の倉林准教授が受賞された研究の概要
 末梢における虚血・再灌流刺激(ischemia-reperfusion(IR))は、遠隔臓器である心筋において、アセチルコリン産生亢進、HIF-1α, GLUT-1, 4による糖取り込み亢進を介して虚血抵抗性・臓器保護性をもたらす。この機序に着目し、今回我々は、IRによる肝での糖代謝の変化を検討した。その結果、IRは副交感神経系中枢の活性化と迷走神経遠心路の興奮を介して、肝糖新生関連酵素(G6Pase, PEPCK)の発現および活性の抑制と、肝でのHIF-1αGLUT4経路を介した糖取り込みの亢進をもたらして、インスリン非依存性に血糖を低下させることが明らかとなった。以上のように理学的方法での血糖低下や糖新生を制御する方法は新知見である。実際に、今回我々は、1型、2型糖尿病モデルマウスで、IRが血糖低下をもたらすことも示しており、IR によるこれら神経ネットワークの活性化、肝糖代謝の調節は、耐糖能異常に対する治療戦略に新たな見識をもたらす可能性が考えられる。

○手術部の山本准教授が受賞された研究の概要
 冠動脈バイパス術などの血行再建術では、術中でのバイパス血流検査は重要であり、異常を発見できれば同時修復が可能である。我々は、インドシアニングリーン(ICG)の蛍光作用を利用して血流を可視化する近赤外線蛍光造影法(NIR)による術中冠動脈バイパス造影検査を行ってきた。初期段階に行った定性評価法は陰性的中率97.7%、陽性的中率81.8%と高い有効性を報告した。バイパス血流をICG蛍光輝度として数値化する蛍光輝度測定法では、吻合部狭窄により最大輝度、輝度加速度の低下を認めた。蛍光輝度測定法の陰性的中率85.7%、陽性的中率96.8%であるが、検査経験に依存せず、その有用性を報告した。冠動脈狭窄モデルによる基礎研究では、75%以上の吻合部狭窄による最大蛍光輝度の減光を認め、蛍光輝度測定法の根拠を示した。NIRによる蛍光輝度測定法は末梢血管バイパス評価や、臓器血流評価への応用できる可能性があり、これまでの使用経験からその有用性を報告した。