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お知らせ(2018年度)

  

日本初の承認取得
潰瘍性大腸炎及びクローン病における病態把握の補助となる
血清バイオマーカー(LRG)の実用化について

 本学医学部附属病院免疫難病センターの仲哲治教授らの研究グループは、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の病態を迅速に把握する血清LRGの測定方法を共同開発し、体外診断用医薬品としてPMDAより製造販売承認を受けました。
 これにより、治療に伴う疾患活動性の変化を血液検査により簡便かつ適切に評価できるため、患者さんの負担軽減のみならず、治療薬の増減や変更の判断が容易になることで医療の質の向上や医療費削減にもつながります。
 今後は、保険収載を経て、医療機関に向けた販売を予定しており、有用性の高い検査として広く活用されるものと考えています。また、LRG は炎症性腸疾患以外にも関節リウマチなど様々な炎症性疾患に有効なマーカーとなる事がわかってきており、他の難病治療にも貢献することが期待されます。

□ 炎症性腸疾患について

炎症性腸疾患は腸管に慢性・再発性の炎症を引き起こす原因不明の難病で、潰瘍性大腸炎とクローン病に大別され、厚生労働省により医療費助成対象疾病(指定難病)に定められています。我が国の患者数はクローン病が約4.1万人、潰瘍性大腸炎が約17.0万人(厚生労働省、平成26年)と報告されており、近年、増加の一途をたどっています。

□ 現在の炎症性腸疾患の活動性評価について

炎症性腸疾患の病態は大腸内視鏡検査により正確に評価することができますが、侵襲性が高く、疾患の増悪リスクがあり、患者さんへの負担が大きいため、実臨床では採血データと便の回数や性状、患者の自覚症状や医師からみた重症度を基に算出される臨床活動性指数により総合的な活動性評価が行われています。しかし、採血データは必ずしも粘膜病変を反映できないことが知られており、さらに、臨床活動性指数は、客観性に乏しく内視鏡所見とは乖離が大きいことから、患者さんの病態を正確かつ簡便に把握するための有用なバイオマーカーの開発が強く求められていました。

□ LRGの測定方法について

患者さんから採取した少量の血液を用いて、血清中のLRGの濃度をラテックス免疫比濁法とよばれる方法により数分で測定するもので、検査施設を持つ病院で実施することができます。血液中のLRG濃度は、従来の血液マーカーよりも、内視鏡検査による疾患活動性と非常に強く相関するため、治療に伴う疾患活動性の変化を簡便かつ適切に評価できます。

□ これまでの経緯について

慶應義塾大学医学部(金井隆典消化器内科学教授)、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科(竹原徹郎消化器内科学教授)及び東京医科歯科大学消化器内科(渡辺守消化器内科学教授)らの研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から研究費の提供を受け、炎症性腸疾患の疾患活動性マーカーとしてロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)を開発しました。実用化に向けて積水メディカル株式会社と「炎症性腸疾患の疾患活動性評価の血清バイオマーカー」の共同開発に着手し、炎症性腸疾患の疾患活動性を評価する上で有用性が認められたことにより、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ体外診断用医薬品として製造販売承認申請を行い、2018年8月21日付で製造販売承認を取得しました。

【本件に関する問い合わせ先】
 高知大学医学部附属病院 免疫難病センター 教授
(兼 国立研究開発法人医薬基盤健康栄養研究所 招聘プロジェクトリーダー) 仲 哲治
TEL:088-888-2022