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お知らせ(2020年度)

医学部医学科薬理学講座の清水翔吾学内講師、齊藤源顕教授らの研究グループの研究成果が米国科学誌『Life Sciences』に掲載され、令和2年12月19日に電子版が公開されました。

 医学部医学科薬理学講座の清水翔吾学内講師、齊藤源顕教授らの研究グループの研究成果が米国科学誌『Life Sciences』に掲載され、令和2年12月19日に電子版が公開されました。

【論文名】
Therapeutic effects of losartan on prostatic hyperplasia in spontaneously hypertensive rats
【和 訳】自然発症高血圧ラットでの前立腺過形成におけるロサルタンの治療効果
【論文URL】 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33352172/

 中高年男性に多い前立腺肥大症は、排尿困難や頻尿等の下部尿路症状を惹起し、生活の質を著しく低下させます。現在、いくつかの薬物がその治療に用いられていますが、薬効が不十分であったり、病態の進展に伴い大部分の患者が外科手術を選択することになります。そのため、他の薬物による新たな治療選択肢が求められています。
 加齢及び高血圧は下部尿路臓器の動脈硬化または血流低下を介し、前立腺肥大 (前立腺過形成) を進行させます。一方、下部尿路症状を呈する大部分の中高年男性は降圧薬を含む様々な薬物を長期間服用しています。これまで、臨床研究において、降圧薬アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 (ARB) が他の降圧薬に比して、下部尿路症状を改善させることが報告されていました。よって、ARBは降圧作用非依存的に治療効果も示すことが考えられていましたが、その詳細な分子機序は不明でした。
 清水学内講師らは、前立腺過形成(過剰な細胞増殖を呈する)または前立腺血流低下を呈する自然発症高血圧ラット (SHR) に対して、ARBロサルタンを慢性投与しました。その結果、血圧に作用しない低用量のロサルタンがSHR前立腺血流量を増加させ、前立腺重量、前立腺組織における酸化ストレス、炎症性サイトカイン、細胞増殖及び前立腺過形成を抑制しました。さらに、高用量のロサルタンはSHRにおいて血圧低下、前立腺血流量増加並びに腹側前立腺組織に細胞死を誘導しました。これらの結果より、ロサルタン慢性投与は、前立腺血流低下の回復及び細胞死誘導により、SHR前立腺過形成に対して治療効果を示すことが示唆されました。以上より本研究では、高血圧及び前立腺過形成に対する降圧薬ARBの治療効果並びに、その薬効機序を動物実験にて明らかにしました。

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