トップページへ 概要 組織 研究成果 教育プログラム




   
独創的医療部門 

 

本家孝一


糖鎖・脂質・生体膜研究班 本家 孝一(ほんけ こういち)医療学系基礎医学部門生化学講座 教授 

学歴

1983 北海道大学医学部卒業
1986 北海道大学大学院医学研究科博士課程中退
職歴
1987-1995  北海道大学医学部附属癌研究施設生化学部門助手・講師
1995-1999  大阪府立母子保健総合医療センター研究所主任研究員
1999-2003  大阪大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座助教授
2003-present 高知医科大学遺伝子病態制御学教室
(現 高知大学教育研究部医療学系基礎医学部門生化学講座)教授
2008-present 高知大学医学部附属システム糖鎖生物学教育研究センター長
受賞
1997, 2012 JB論文賞(日本生化学会)

代表論文
1) Functional Compartmentalization of the Plasma Membrane of Neurons by a Unique Acyl Chain Composition of Phospholipids.
Kuge H, Akahori K, Yagyu KI, Honke K.
J Biol Chem 2014; 289:26783-26793

2) Expressed glycosylphosphatidylinositol-anchored horseradish peroxidase identifies co-clustering molecules in individual lipid raft domains.
Miyagawa-Yamaguchi A, Kotani N, Honke K.
PLoS One. 2014; 9:e93054

3) Biochemical visualization of cell surface molecular clustering in living cells.
Kotani N, Gu J, Isaji T, Udaka K, Taniguchi N, Honke K.
Proc Natl Acad Sci USA 2008; 105:7405-7409

     

 

 

研究概要:

 

本研究斑では、生体膜を切り口として生命システムに迫ります。生体膜の基本構造は、遺伝子の直接産物ではない脂質と糖鎖で出来ていますが、そこに、遺伝子の直接産物である膜蛋白質が組み込まれ、三位一体となって機能ユニットが形成されます。これまで、ゲノミクスやプロテオミクスの研究で蛋白質発現に関する理解はかなり進みましたが、発現した蛋白質が細胞膜の特定部位に集積するメカニズムに関しては殆どわかっていません。この問題を解くために、以下の二つの研究課題に取り組みます。
■課題1:特定の膜脂質の細胞膜内分布とその産生メカニズム
■課題2:特定の膜脂質ドメインに集積する機能性蛋白質とその集積メカニズム


宇高恵子
ペプチドワクチン研究班 宇高 恵子(うだか けいこ)基礎医学部門免疫学講座 教授

学歴 

1982年 愛媛大学医学部医学科卒業
1986年 愛媛大学大学院医学系研究科修了
職歴  
1985 - 88年 ペンシルバニア大学医学部細菌学 博士研究員
1988 - 91年 マサチューセッツ工科大学ガン研究所 博士研究員
1991 - 93年 マックスプランク生物学研究所チュービンゲン 免疫遺伝学
フンボルト財団奨学研究員
1994 - 94年 順天堂大学医学部免疫学無給助手
1994 - 99年 京都大学理学部生物物理学助手
1999 - 02年 同 助教授
2003 - 03年 高知医科大学医学部免疫学教授
2003 -     高知大学医学部免疫学教授

代表論文
1) A naturally occurring peptide recognized by alloreactive CD8+ cytotoxic T lymphocytes in association with a class I MHC protein.
Keiko Udaka, Theodore J. Tsomides, Herman N. Eisen.
Cell 1992 69: 989-998
2) Empirical evaluation of a dynamic experiment design method for prediction of MHC class I-binding peptides.
Keiko Udaka, Hiroshi Mamitsuka, Yukinobu Nakaseko and Naoki Abe.
J Immunol 2002 169:5744-5753
3) Lipid-mediated presentation of MHC class II molecules guides thymocytes to the CD4 lineage.
Komaniwa S, Hayashi H, Kawamoto H, Sato S.B, Ikawa T, Katsura Y and Udaka K.
Eur J Immunol 2009 39: 96−112

   
  研究概要:「悪性腫瘍に対するペプチド免疫療法の開発」
 


 免疫反応は、細菌やウイルスのような外来の異物を排除するしくみと思われていました。しかし近年、悪性腫瘍に代表されるような遺伝子に変異が起こった細胞や、不用になった細胞を排除するのも、免疫系の主要な働きであることがわかってきました。ペプチドワクチン班では、悪性腫瘍細胞で高発現され、腫瘍細胞を見つけて殺すT細胞(CTL)の標識となっている腫瘍抗原ペプチドを同定し、転移した腫瘍細胞も根絶できる免疫療法の開発を行っています。CTLが認識するのは腫瘍抗原そのものではなく、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子が細胞内で腫瘍抗原の断片(ペプチド)を結合し、細胞表面で提示したものです。MHCには人ごとに異なる型があり、結合するペプチドが異なるため、これまでワクチンの開発が進んでいませんでした。
 私たちは、NEC日本電気(株)と共同でMHCの型ごとに結合するペプチドを予想する技術を開発しました。さらに、血液にのって全身を巡回するT細胞が腫瘍組織に浸潤するメカニズムを明らかにして、積極的にCTLを腫瘍組織に引き込む工夫を重ねる一方、安全性の検証を行ってきました。今後、高知大医学部の臨床教室等と共同で、前立腺がんや脳腫瘍をはじめとする種々の悪性腫瘍に対する臨床研究への展開をはかります。


齊藤源顕
統合的排尿障害治療研究班 齊藤 源顕(さいとう もとあき)基礎医学部門薬理学講座 教授

学歴 

昭和59年 3月  奈良県私立東大寺学園高校卒業
昭和60年 4月  鳥取大学医学部医学科入学
平成 3年 4月  同 卒業
平成12年 2月  博士(医学)(鳥取大学)
職歴  
平成 3年 5月  鳥取大学医学部附属病院泌尿器科・医員
平成 5年 3月  米国Yale 大学医学部泌尿器科・留学
平成 7年 7月  鳥取大学医学部附属病院泌尿器科・助手
平成 8年10月  米国Yale 大学医学部泌尿器科・留学終了
平成16年 1月  鳥取大学医学部附属病院泌尿器科・講師
平成16年 4月  鳥取大学医学部病態解析医学講座分子薬理学分野・講師
平成20年 4月  同 准教授
平成25年 4月  高知大学医学部薬理学講座・教授
受賞  
平成13年  第8回日本排尿機能学会学会賞
平成18年  日の丸賞(鳥取大学科学研究業績表彰)
平成18年  第7回ギリシャアンドロロジー学会最優秀研究賞
平成21年  第98回日本泌尿器科学会総会賞
平成22年  平成21年度鳥取大学学長表彰(研究功績賞)
平成24年  International Journal of Urology Reviewer of the Year 2011
平成24年  第23回日本性機能学会学会賞
平成25年  International Journal of Urology Reviewer of the Year 2012

代表論文
1) Shimizu T, Shimizu S, Higashi Y, Nakamura K, Yoshimura N, Saito M.
A Stress-related Peptide Bombesin Centrally Induces Frequent Urination through Brain Bombesin Receptor Types 1 and 2 in the Rat.
J Pharmacol Exp Ther. 2016 Mar;356(3):693-701.
2) Shimizu S, Shimizu T, Tsounapi P, Higashi Y, Martin DT, Nakamura K, Honda M, Inoue K, Saito M.
Effect of Silodosin, an Alpha1A-Adrenoceptor Antagonist, on Ventral Prostatic Hyperplasia in the Spontaneously Hypertensive Rat.
PLoS One. 2015 Aug 26;10(8):e0133798. doi: 10.1371/journal.pone.0133798. eCollection 2015.
3) Saito M, Tsounapi P, Oikawa R, Shimizu S, Honda M, Sejima T, Kinoshita Y, Tomita S:
Prostatic ischemia induces ventral prostatic hyperplasia in the SHR; possible mechanism of development of BPH.
Sci Rep 4: 3822, 2014

   
  研究概要:
 

骨盤内血流低下による下部尿路症状発症機構の解明及び新規治療薬の開発
 前立腺肥大症は40歳以上で症状が出始め、通院患者数は人口1000人あたり23.8 人と報告されています。また、本邦の高齢化社会に伴い、前立腺肥大を伴う排尿障害を有する患者数は一層増加することが予想されます。そのため、前立腺肥大の分子機構の解明及び治療薬の開発は社会的に強く求められている課題であると言えます。我々は、骨盤内血流低下及び前立腺虚血が、性ホルモン非依存的に前立腺肥大(前立腺過形成)を惹起することを見出しました。その機序として、前立腺血流低下により前立腺局所で慢性炎症及び酸化ストレスが発生し、その状態が長時間継続することで、細胞増殖が亢進して、前立腺過形成が進行することを提起しました。現在、前立腺血流低下が前立腺過形成を誘導する詳細な分子機構の解明と治療薬について研究を行っています。

ストレス反応による頻尿の発症機構の解明
 健常人でも緊張した際など一時的に頻尿になることが知られていますが、日常生活に著しく支障をきたす心因性頻尿として医療機関を受診するケースも見られます。現在、治療法としては精神療法や精神薬理療法が行われていますが、奏功率は決して高くありません。我々は数種のストレス関連性脳内伝達物質(ボンベシン及びアンジオテンシンU)をラットに脳室内投与すると同時に膀胱内圧測定を行ったところ、ラットの排尿パターンがヒトにおける心因性頻尿と極めて類似していることを見出しました。我々は本実験モデルにて頻尿が誘発される分子機構を明らかにすることで、実験系によってストレス応答により変動する様々な脳内伝達物質と排尿制御機構との関係を更に解明できると考え、研究活動を行っています。



松崎茂展


ファージ療法研究班 松崎 茂展(まつざき しげのぶ)基礎医学部門微生物学講座 准教授

学歴・職歴
1977年3月 山口大学文理学部理学科生物学専攻 卒業
1985年3月 広島大学大学院理学研究科博士後期課程 単位取得退学
1986年3月 工学博士 (広島大学)
1986年4月 高知医科大学 文部教官助手
1996年7月-1997年4月 文部省在外研究員 
(米国マサチューセッツ州ハーバード大学医学部細胞生物学教室)
2003年1月  博士(医学) (旧高知医科大学)
2003年4月 高知医科大学 文部教官 助教授
2003年10月 高知大学医学部 助教授
2007年4月 高知大学医学部 准教授

代表論文
1) Perspective: The age of the phage.
Matsuzaki S, Uchiyama J, Takemura-Uchiyama I, Daibata M.
Nature. 2014 May 1;509(7498):S9.

2) Experimental phage therapy against lethal lung-derived septicemia caused by Staphylococcus aureus in mice.
Takemura-Uchiyama I, Uchiyama J, Osanai M, Morimoto N, Asagiri T, Ujihara T, Daibata M, Sugiura T, Matsuzaki S.
Microbes Infect. 2014 Jun;16(6):512-7.

3) Intragenus generalized transduction in Staphylococcus spp. by a novel giant phage.
Uchiyama J, Takemura-Uchiyama I, Sakaguchi Y, Gamoh K, Kato S, Daibata M, Ujihara T, Misawa N, Matsuzaki S.
ISME J. 2014 Sep;8(9):1949-52.

   
  研究概要:
   

 近年、病原細菌の例外なき抗生物質耐性化が進行し、抗生物質にのみ依存した細菌感染症治療の将来に不安を投げかけている。さらに、現代医療の前抗生物質時代 (pre-antibiotic era)への逆行を懸念する専門家の主張さえもある。この状況を打開するためには、近年強調されている抗生物質の適性使用の徹底はもちろんのこと、従来の抗生物質に非依存的な細菌感染症の予防・治療法の導入が重要であると考える。

 そのような抗生物質非依存的な細菌感染症の可能性の1つが、バクテリオファージ(ファージ)療法である。ファージ療法は、ファージ自体あるいはその産物(溶菌酵素など)を抗菌剤として使用する細菌感染症制御法である。ファージ療法の歴史は古く 1920 年代前後まで遡ることができる。しかし、ファージ療法は、抗生物質の実用化にともない (1940 - 1950年代)、一旦欧米では放棄された。

 しかし、今日、抗生物質耐性菌の増加により、世界的にファージ療法の見直しがされている。我々も、これまで黄色ブドウ球菌、腸球菌、緑膿菌、大腸菌による感染症にファージ療法の有効性に関する証拠を蓄積してきた。

 本研究では、これまでのファージ療法の基礎研究をふまえ、実用的な治療用ファージセット(ファージバンク)の構築をめざす。ファージバンクの条件は、(1)標的細菌種の全ての菌株を溶菌できる、(2)ファージの生物学的、遺伝学的性状が詳細に分かっている、そして(3)動物実験により有効性、安全性が確認されている、とする。また黄色ブドウ球菌、腸球菌などのグラム陽性菌に対しては、活性ファージ自体の使用に加え、ファージ保有溶菌酵素を利用する治療法・除菌法の実用化も検討する。

 以上の研究により有効なファージバンクを構築し、将来のヒト感染症への適用をみすえ、まず家畜等の動物感染症を標的に治療効果、安全性を検討する。



山口正洋


神経回路機能研究班 山口 正洋(やまぐち まさひろ)基礎医学部門生理学講座(統合生理学) 教授

学歴
1987年3月 京都大学医学部卒業
1994年3月 京都大学医学部大学院博士課程修了
職歴
1987年4月 京都大学医学部 内科医研修
1988年6月 静岡県立総合病院 内科医勤務
1994年4月 京都大学医学部薬理学教室 ポストドクトラルフェロー
1995年4月 日本学術振興会 特別研究員
1996年10月 科学技術振興事業団 さきがけ研究 遺伝と変化領域 研究員
       理化学研究所 脳科学総合研究センター 研究員
1999年6月 東京大学大学院医学系研究科 細胞分子生理学教室 助手
2000年8月 同上 講師
2016年4月 高知大学医学部生理学講座(統合生理学) 教授
代表論文
1)Mapping of learned odor-induced motivated behaviors in the mouse olfactory tubercle.
Murata K, Kanno M, Ieki N, Mori K, Yamaguchi M.
Journal of Neuroscience. 35: 10581-10599 (2015)

2)Top-down inputs from the olfactory cortex in the postprandial period promote elimination of granule cells in the olfactory bulb.
Komano-Inoue S, Manabe H, Ota M, Kusumoto-Yoshida I, Yokoyama TK, Mori K, Yamaguchi M.
European Journal of Neuroscience. 40: 2724-2733 (2014)

3)Elimination of adult-born neurons in the olfactory bulb is promoted during the postprandial period.
Yokoyama TK, Mochimaru D, Murata K, Manabe H, Kobayakawa K, Kobayakawa R, Sakano H, Mori K, Yamaguchi M.
Neuron. 71: 883-897 (2011)

   
  研究概要:嗅覚系をモデルとした脳神経系の学習機構、情動機構の解明
   

  脳は生物進化に伴って著しい発達を遂げましたが、外界の状況に応じて適切な行動を導くという普遍的な働きを担ってきました。外界の状況は日々変化するので、脳は変化に対応して新たな行動を学習する機能を備えています。また、脳は様々な感情・情動を生み出し、行動を促しています。つまり、「外界の情報が行動に至る仕組み」、そして、そこに働く「学習の仕組み」や「感情・情動の仕組み」を知ることは、脳神経系の根本的な理解につながります。
 私たちは、嗅覚系をモデルにして、これらの問題に取り組んでいます。嗅覚は、匂いの情報によって生物に強い感情・情動を生み出して、摂食行動・忌避行動・性行動・社会行動など生物の生死に関わる行動を誘導する根源的な感覚です。
 また、嗅覚系のユニークな点として、大人になっても新しい神経細胞が生まれているという特性があります。新しい神経細胞が神経回路を常に作り変えて、学習能力を大きく促進していると考えられます。

 私たちは、主にマウスやラットなどの実験動物を用いて、
1.匂いの情動行動を学習する神経回路機構
2.新しい神経細胞が大人の神経回路を作り変える機構
を、行動解析、生きた個体や脳スライスの電気生理学的解析、イメージング、光・化学遺伝学、組織・分子レベルの解析など、幅広い手法を駆使して調べています。食べ物の匂いに誘引される行動、嫌いな匂いを忌避する行動、「フェロモン」によって異性・同性を認識する性行動・社会行動などを題材にしています。
 上記1.の研究は、感情・情動がどのようにして生まれ、匂いによってどのように調節されるかの科学的理解をもたらし、私たちが日々幸せな気持ちで暮らせること、そこに匂いを役立てることに繋がります。実際に、実験動物の知見をもとに、匂いが我々人間に感情・情動を生み出す仕組みを理解していきたいと考えています。
 上記2.の研究は、私たちの脳が大人になっても更に成長し、若返ることを期待させるものです。この基礎的理解は再生医療、さらには教育分野や高齢者のQOL向上に貢献すると考えられます。


再生医療部門

 


花崎 和弘

 


肝臓再生医療研究班  花崎 和弘(はなざき かずひろ)医療学系臨床医学部門外科学講座外科1 教授


略歴

昭和59年:新潟大学医学部医学科卒業
昭和59年:信州大学医学部第2外科入局
平成4年:学位取得(医学博士)
平成4年−平成10年:長野赤十字病院外科(副部長)
平成10年−平成13年:信州大学医学部第2外科(講師)
平成12年−平成13年:米国ベイラー医科大学外科(講師)
平成14年−平成15年:信州大学医学部第1外科(講師)
平成15年9月−平成18年3月:長野県厚生連篠ノ井(しののい)総合病院外科(主任医長)
平成18年4月:高知大学医学部外科学講座外科1(教授)
平成20年4月−平成24年3月:高知大学医学部附属病院 副院長(兼務)
平成24年4月−平成26年3月:高知大学医学部附属病院 臨床工学部長(兼務)
平成24年4月−現在まで:高知大学医学部附属病院 顧問 (兼務)
平成26年4月−現在まで:高知大学医学部附属病院 手術部長 (兼務)
主な学会資格・役職
日本人工臓器学会(副理事長・理事・評議員)・日本人工膵臓関連学会協議会(代表世話人)・日本外科学会(指導医・代議員・外科医労働環境改善委員・選挙管理選挙制度検討委員・男女共同参画委員)・日本消化器外科学会(指導医・評議員・カリキュラム委員・将来構想委員)・日本臨床外科学会(評議員・学術委員)・日本肝胆膵外科学会(高度技能指導医・評議員)・日本消化器病学会(指導医・評議員)・日本外科感染症学会(評議員)・日本外科代謝栄養学会(評議員)・漢方外科フォーラム(世話人)・日本肝臓学会(指導医) Surgery Today (Members of The Editorial Board)・International Cancer Conference Journal (Members of The Editorial Board)・Member of IAP (international association of pancreatology) ・Member of ESAO (European society for artificial organs)・Member of IFAO (international federation for artificial organs)・The Best Doctors in Japan 2010-2015 日本学術振興会科学研究費審査員(2007年-2009年,2014年-2016年)・日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(2010年-2012年)

代表論文
1) An artificial pancreas provided a novel model of blood glucose level variability in beagles.
Munekage M, Yatabe T, Kitagawa H, et al. J Artif Organs, 18(4): 387-390, 2015

2) Tight glycemic control using an artificial pancreas is useful for surgical patients with uncontrolled perioperative hyperglycemia.
Hanazaki K, Munekage M, Kitagawa H, Namikawa T. Ann Surg, 263(3):e50, 2016

3) Current topics in glycemic control by wearable artificial pancreas or bedside artificial pancreas with closed-loop system.
Hanazaki K, Munekage M, Kitagawa H, et al. J Artif Organs, 2016 May 3. [Epub ahead of print]

 

   
  研究概要:
   


 肝移植医療が直面している問題は、ドナー不足および患者への大きな負担を考慮した場合、肝再生医療の役割はとても大きい。具体的には肝移植が必要となるような肝不全、大量肝切除や肝移植術後から肝不全に陥らないようにするための治療法としても肝再生医療の確立が切望されている。近年、分岐アミノ酸BCAA投与によって肝予備能の保持や残存予定肝体積および機能的肝体積を増加することが報告されている(Toru Beppu, et al: J Gastroenterol:P1197-1205, 2015)。肝切除後の栄養学的改善や肝再生の促進効果も報告されている。
 また骨格筋量萎縮のためBCAAやグルタミン、アルギニンが低下する可能性が示唆されている。グルタミン・アルギニン・L-カルニチンが肝再生を促進することを報告されており、これらの低下が肝再生の低下を招くと考えられている。
 以前、我々の検討においてBCAAを術前2週間前より、術後6か月間服用を行う事で上腕周囲筋肉量の改善が認められ、骨格筋量の増加も期待できると考えている。更にBCAAを投与することにより、肝細胞癌に対する肝切除後の早期再発を抑制できることも判明した。
  しかし、BCAAが肝再生を促進する詳細なメカニズムは不明である。我々はラット70%肝臓切除モデルを作成しメカニズムの検討を行う。



寺田 典生


腎機能再生医療研究班  寺田 典生(てらだ よしお)臨床医学部門内分泌代謝・腎臓内科学講座 教授


学歴・職歴

1984年 3月 東京医科歯科大学医学部医学科卒業
1984年 6月 東京医科歯科大学第2内科医員
1988年 1月 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
1994年 11月 東京医科歯科大学第2内科助手
2002年 4月 東京医科歯科大学大学院 腎臓内科助教授
2008年 4月 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学講座 教授
2009年 10月 高知大学医学部先端医療学推進センター・再生医療部門長(併任)
2010年 4月 高知大学医学部臨床医学部門・部門長
学会活動等
1994年 4月 日本内科学会奨励賞受賞
1997年 10月 日本腎臓学会大島賞受賞
1997年 11月 日本心血管内分泌代謝学会若手奨励賞受賞
1999年 7月 財団法人 成人血管病研究振興財団 岡本研究奨励賞 受賞
2002年 9月 国際血液浄化療法学会Best Abstract Award
2003年 6月 日本透析医学会総会学会賞(木本賞)

代表論文
1) Terada Y, Tomita K, Nonoguchi H, Yang T, Marumo F: Different localization and r egulation of two types of vasopressin receptor messenger RNA in microdissected rat nephron segments using reverse transcription polymerase chain reaction. J Clin Invest 92: 2339-2345, 1993

2) Terada Y, Tomita K, Homma MK, Nonoguchi H, Yang T, Yamada T, Yuasa Y, Krebs EG, Marumo F: Sequential activation of raf-1 kinase, MAP kinase kinase, MAP kinase, and S6 kinase by hyperosmolality in renal cell. J Biol Chem 269: 31296-31301, 1994

3) Taniguchi K, Kohsaka H, Inoue N, Terada Y, Ito H, Hirokawa K, Miyasaka N: Introduction of p16INK4a sequence gene as a novel therapeutic strategy for the treatment of rheumatoid arthritis. Nature Med 5: 760-767, 1999

   
  研究概要:再生医学的アプローチによる腎疾患の高度先進医療の推進
   


糸球体腎炎や急性腎不全などの病態を臨床的な見地から問題を提起し、分子生物学的あるいは再生医学など最新の手法を用いて研究を進めてきた。その成果により、日本内科学会奨励賞、日本腎臓学会大島賞、日本透析医学会学会賞などを受賞した。
特に近年、急性腎不全の回復期の尿細管再生のメカニズムの解明を行っており、下記の様な世界に先駆けた研究成果を上げている。Notch-Delta系は細胞極性の保持に重要な働きがある事が神経系の発生等で知られており、尿細管細胞での細胞膜上の分子間ネットワークおよび細胞膜と核内遺伝子発現のシグナル伝達機構の解明は、急性腎不全の病態解明に本質的な意義を持ち、急性腎不全の新規の治療法の解明に直結する研究成果が期待できる。

1) 内因性の腎尿細管幹細胞と『dedifferentiation』
申請者らは、急性腎不全の回復期に腎胎生期に発現する遺伝子、Wnt4およびNotch-Delta系が尿細管細胞に再発現し、胎生期の幹細胞的な性格をもつ、増殖能が高い細胞が近位尿細管に発現することを世界に先駆けて見いだし、尿細管の『dedifferentiation』という概念を提唱した。この『dedifferentiation』という概念はアメリカ腎臓学会誌の総説『急性腎不全の最新のメカニズム』(Devarajan P: Update on Mechanisms of Ischemic Acute Renal Injury, J Am Soc Nephrol, 17, 1503-1530, 2006) にも取り上げられ、認知されている。

2) 腎再生因子(遺伝子)を用いた腎再生研究の発展性
申請者は腎胎生期のKey Moleculeの候補として、Wnt4, Notch2以外にWnt11やSall1に注目している。これらの遺伝子を腎尿細管に遺伝子導入して尿細管細胞が、再生し増殖、修復できる微小環境(Microenviroment)あるいは再生の場(Niche)を作り出す事により、新規の治療法につながる可能性があり、非常に独創的である。

3) iPS細胞(ES細胞)を用いた腎再生研究
iPS細胞(ES細胞)からは、腎細胞への分化の試みは未だない。申請者らは、マウスES細胞をEB(embrioid body)細胞に分化させる際、Wnt-4遺伝子を安定発現するES 細胞を確立し、HGFおよび、Activinを添加すると水チャネル(Aquaporin 2)を発現し、尿細管様構造をとることを報告し、世界で初めてES細胞から腎細胞への分化誘導に成功した。さらに、ヒト間葉系幹細胞をマウス胎児腎内に移植して、腎構成細胞に分化することを米国アカデミー紀要に報告した。



前田 長正


臍帯血幹細胞研究班  前田 長正(まえだ ながまさ)臨床医学部門産科婦人科学講座 教授


学歴
昭和60年3月 高知医科大学医学部卒業
昭和60年4月   同   大学院医学研究科生体制御・免疫制御部門入学
平成元年5月    同   医学博士取得
平成元年     同   免疫学教室研究生
平成7年10月 大阪大学理学部有機化学教室国内留学

職歴
昭和60年4月 高知医科大学産婦人科入局
平成2年4月    同   附属病院助手
平成9年4月    同   附属病院講師
平成16年4月 高知大学周産母子センター講師
平成16年5月   同         助教授
平成19年4月 高知大学産科婦人科准教授
平成20年4月   同   教育研究部医療学系医学部門准教授
平成24年4月   同   先端医療学推進センター再生部門臍帯血研究班班長
平成26年7月 高知大学産科婦人科教授

代表論文
1) Maeda N, Izumiya C, Yamamoto Y, Oguri H, Kusume T, Fukaya T.
Increased killer inhibitory receptor KIR2DL1 expression among natural killer cells in women with pelvic endometriosis.
Fertil Steril. 77:297-302, 2002 (IF 4.174)

2) Maeda N, Izumiya C, Taniguchi K, Matsushima S, Fukaya T.
Role of NK cells and HLA-G in endometriosis.
Front Biosci. 4:1568-1581, 2012 Review (IF 3.286)

3) Syngeneic transplantation of newborn splenocytes in a murine model of neonatal ischemia-reperfusion brain injury.
Wang F, Shen Y, Tsuru E, Yamashita T, Baba N, Tsuda M, Maeda N, Sagara Y.

J Matern Fetal Neonatal Med. 2015 May;28(7):842-7.
   
  研究概要:
 


脳性麻痺に対する有望な新規治療法として、本学では「小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究」が進められている。本研究班は、新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウスを用いて、脳における内在性神経幹細胞の活性化と臍帯血幹細胞輸血による損傷脳修復メカニズムの解明を行っている。哺乳類では、脳が傷害されると傷害部位より炎症性ケモカインやサイトカインが大量に分泌されるとともに、内在性神経幹細胞が傷害部位へ向かって活発に遊走する。臍帯血幹細胞はその効果を大きく高めることで、これまでにない脳性麻痺への治療細胞源となることが注目されている。本研究班では、@脳性麻痺モデルマウスにおける脳内の炎症性ケモカイン・サイトカインの発現と内在性神経幹細胞の活性化 A臍帯血幹細胞輸血による運動・認知・活動性など機能改善効果と神経幹細胞活性化との関連 B臍帯血幹細胞輸血による神経組織の再生・修復される分子メカニズム C臍帯血幹細胞の表面抗原マーカーや機能特性、分化させずに増殖させる研究 D臍帯血幹細胞を用いた腫瘍免疫賦活 など、臍帯血幹細胞について基礎から臨床にわたって研究を行っている。

     
情報医療部門

 


奥原 義保

 


メディカルデータマイニング研究班
 奥原 義保(おくはら よしやす)連携医学部門医学情報センター 教授


学歴

1984年3月 東北大学大学院理学研究科博士課程後期修了
職歴  
1984年4月 東京大学附属原子核研究所研究員
1985年2月 カナダ・オンタリオ州クイーンズ大学物理学科Postdoctoral Fellow
1989年8月 カナダ・マニトバ州マニトバ大学物理学科Research Associate
1990年9月 カナダ・アルバータ州アルバータ大学物理学科Research Associate
1991年2月 高知医科大学医学部附属医学情報センター助手
1993年12月 同   講師
1999年4月 同   助教授
2007年7月 高知大学医学部附属医学情報センター教授(医学情報センター長併任)
現在にいたる  

代表論文
1.Okuhara Y, Castel B, Johnstone I.P, Toki H.: Nuclear spin response to inelastic proton scattering:finite geometry and absorption effects. Physics Letters B186 :113-118, 1987

2.Okuhara Y, Kitazoe Y, Narita Y, Kurihara Y, Matsuura K, Saibara T, Onishi S, Kagiyama A, Inaoka N: New approach to the medical information system for quality management in patient care: development of problem mapping system. Journal of Medical Systems 23:377-387, 1999

3.Yutaka Hatakeyama, Hiromi Kataoka, Noriaki Nakajima, Teruaki Watabe, Yoshiyasu Okuhara:Estimation Algorithm of Butyrylcholinesterase for Cirrhosis using Neural Network, IC-MED Vol. 3, No. 2, Page 77-86,2009
   
  研究概要:
 


  近年の情報技術基盤の拡充は膨大な医療データの蓄積を可能とし、大学病院をはじめとする多くの医療施設に電子化された医療データが蓄積されつつある。このことは多数の症例を対象とする集団基盤的な医学研究において、従来にない速度で多岐に亘る研究の推進を可能とし、画期的な変革をもたらすことを確信させる。この現実は大規模電子化医療情報に基づいた情報医療学という新学術領域の創出に繋がり、その研究成果は予防医学や医療政策に対しての時宜を得た提言を可能とし、社会に対する多大な貢献に結びつくと考えられる。
 本学医学部附属医学情報センターでは1981年の附属病院開院時、世界的にも例を見なかった総合医療情報システム(Integrated Medical Information System:IMIS)を自主開発し、以来35年間蓄積し続けている32万人の医療データを用いて情報医療学の先駆けとなる研究を行ってきた。特に慢性疾患の病態推移解析においてIMISに連続して蓄積された長期間に亘る電子化医療データを活用することでその推移予測が行えることを実証し、医療データの解析が生活習慣病のように長い時間をかけて進行する疾患の病態予測に有望であることを示した。
 本学では、さらにIMISのデータを基にした大規模な解析用匿名化データウェアハウスを新たに構築した。この解析用匿名化データウェアハウスを用いることにより、患者個別の加齢要因を含んだ病態推移の解析を柔軟かつ効率的に行うことが出来る。これらの解析を基にして人の健康を情報科学や数理統計学の手法を駆使してコンピュータ上に表現し理解することで、病態推移予測モデルや疾病発症リスク予測モデル、疾患因子発見プロセスの開発という情報医療学の根幹を形成することを主たる達成目標とする。
 現在この目標を達成させるために必要となる、1) 解析用データウェアハウスの拡充を行い研究・教育用として完成させること、2) 病態推移表現の候補となる検査項目を対象疾病毎に確立すること、3) 多様性、不完全性、偏在性などの特質を持つ医療データに解析手法が適用可能となる状態にするためのデータクレンジング法をデータ項目毎に確立することを進めている。

また、病態推移を生理的過程の動的変化として検査データから把握するための新しい医学の知識体系である「動的病態学」を構築することも目指している。



奥原 義保


病態推移予測研究班
 奥原 義保(おくはら よしやす)連携医学部門医学情報センター 教授


学歴

1984年3月 東北大学大学院理学研究科博士課程後期修了
職歴  
1984年4月 東京大学附属原子核研究所研究員
1985年2月 カナダ・オンタリオ州クイーンズ大学物理学科Postdoctoral Fellow
1989年8月 カナダ・マニトバ州マニトバ大学物理学科Research Associate
1990年9月 カナダ・アルバータ州アルバータ大学物理学科Research Associate
1991年2月 高知医科大学医学部附属医学情報センター助手
1993年12月 同   講師
1999年4月 同   助教授
2007年7月 高知大学医学部附属医学情報センター教授(医学情報センター長併任)
現在にいたる  

代表論文
1.Okuhara Y, Castel B, Johnstone I.P, Toki H.: Nuclear spin response to inelastic proton scattering:finite geometry and absorption effects. Physics Letters B186 :113-118, 1987

2.Okuhara Y, Kitazoe Y, Narita Y, Kurihara Y, Matsuura K, Saibara T, Onishi S, Kagiyama A, Inaoka N: New approach to the medical information system for quality management in patient care: development of problem mapping system. Journal of Medical Systems 23:377-387, 1999

3.Yutaka Hatakeyama, Hiromi Kataoka, Noriaki Nakajima, Teruaki Watabe, Yoshiyasu Okuhara:Estimation Algorithm of Butyrylcholinesterase for Cirrhosis using Neural Network, IC-MED Vol. 3, No. 2, Page 77-86,2009
   
  研究概要:
 


  近年の情報技術基盤の拡充は膨大な医療データの蓄積を可能とし、大学病院をはじめとする多くの医療施設に電子化された医療データが蓄積されつつある。このことは多数の症例を対象とする集団基盤的な医学研究において、従来にない速度で多岐に亘る研究の推進を可能とし、画期的な変革をもたらすことを確信させる。この現実は大規模電子化医療情報に基づいた情報医療学という新学術領域の創出に繋がり、その研究成果は予防医学や医療政策に対しての時宜を得た提言を可能とし、社会に対する多大な貢献に結びつくと考えられる。
 本学医学部附属医学情報センターでは1981年の附属病院開院時、世界的にも例を見なかった総合医療情報システム(Integrated Medical Information System:IMIS)を自主開発し、以来35年間蓄積し続けている32万人の医療データを用いて情報医療学の先駆けとなる研究を行ってきた。特に慢性疾患の病態推移解析においてIMISに連続して蓄積された長期間に亘る電子化医療データを活用することでその推移予測が行えることを実証し、医療データの解析が生活習慣病のように長い時間をかけて進行する疾患の病態予測に有望であることを示した。
 本学では、さらにIMISのデータを基にした大規模な解析用匿名化データウェアハウスを新たに構築した。この解析用匿名化データウェアハウスを用いることにより、患者個別の加齢要因を含んだ病態推移の解析を柔軟かつ効率的に行うことが出来る。これらの解析を基にして人の健康を情報科学や数理統計学の手法を駆使してコンピュータ上に表現し理解することで、病態推移予測モデルや疾病発症リスク予測モデル、疾患因子発見プロセスの開発という情報医療学の根幹を形成することを主たる達成目標とする。
 現在この目標を達成させるために必要となる、1) 解析用データウェアハウスの拡充を行い研究・教育用として完成させること、2) 病態推移表現の候補となる検査項目を対象疾病毎に確立すること、3) 多様性、不完全性、偏在性などの特質を持つ医療データに解析手法が適用可能となる状態にするためのデータクレンジング法をデータ項目毎に確立することを進めている。
また、病態推移を生理的過程の動的変化として検査データから把握するための新しい医学の知識体系である「動的病態学」を構築することも目指している。



横山 彰仁


呼吸器疾患と併存症研究班
 横山 彰仁(よこやま あきひと)臨床医学部門血液・呼吸器内科学講座 教授


学歴

1983 富山医科薬科大学医学部卒業
職歴
1983-1984 富山医科薬科大学附属病院 研修医
1984-1986 済生会高岡病院 内科医師
1986-1988 米国シカゴ大学 リサーチフェロー
1989-1991 富山医科薬科大学附属病院第一内科 助手
1991-2000 愛媛大学医学部第二内科 助手
2000-2003 同附属病院 講師
2003-2005 広島大学大学院分子内科 講師
2005-2007 同 助教授
2007-present 高知大学医学部血液・呼吸器内科教授
2014−   高知大学医学部附属病院 病院長

代表論文
1) Airflow limitation in smokers is associated with subclinical atherosclerosis.
Iwamoto H, Yokoyama A, Kitahara Y, Ishikawa N, Haruta Y, Yamane K, Hattori N, Hara H, Kohno N.
Am J Respir Crit Care Med. 2009;179(1):35-40.

2) Chronic hepatitis C virus infection is associated with more severe asthma.
Nakashima T, Yokoyama A, Ohnishi H, Yamasaki M, Shiode M, Haruta Y, Hattori N, Hozawa S, Yamakido H, Kohno N.
Allergol Int. 2011;60(3):299-304.

3) Cross-sectional and prospective study of the association between lung function and prediabetes.
Yamane T, Yokoyama A, Kitahara Y, Miyamoto S, Haruta Y, Hattori N, Yamane K, Hara H, Kohno N.
BMJ Open. 2013;3(2).

 

   
  研究概要:
 


  代表的な慢性呼吸器疾患には気管支喘息やCOPDがあるが、これらの病気には併存症として多種の疾患が伴うことが多く、これらの疾患群を“comorbidome“と表現する場合もある。我々は特にCOPDと循環器疾患との関係を明らかにしており、頸動脈の動脈硬化とCOPDが深く関係することを見出した。また、糖尿病特に筋肉のインスリン抵抗性は肺機能低下と関連していること、さらに気管支喘息の重症化とC型肝炎の関連を明らかにしてきた。このような併存疾患の実態とその基礎にある背景因子を疫学的に明らかにしたいと考えている。また、最新の方法論を用いて併存症との因果関係を明らかにしたいと考えている。



北岡 裕章


心血管病遺伝子解析研究班
 北岡 裕章(きたおか ひろあき)臨床医学部門老年病・循環器・神経内科学講座 教授


学歴

1988 高知医科大学医学部卒業
職歴
1988-1990 高知医科大学老年病科研修医
1990-1991 須崎くろしお病院内科
1991-1994 国立循環器病センター内科心臓部門レジデント
1994-1995 高知医科大学老年病科医員
1995-2000 同助手
2003-2009 高知医科大学(現高知大学医学部)老年病・循環器・神経内科学学内講師
2009-2010 同講師
2010-2013 同准教授
2013-present 同教授

代表論文
1) Lifelong left ventricular remodeling of hypertrophic cardiomyopathy caused by a founder frameshift deletion mutation in the cardiac Myosin-binding protein C gene among Japanese. Kubo T, Kitaoka H, Okawa M, Matsumura Y, Hitomi N, Yamasaki N, Furuno T, Takata J, Nishinaga M, Kimura A, Doi YL.
J Am Coll Cardiol. 2005 Nov 1;46(9):1737-43

2) Left ventricular remodeling of hypertrophic cardiomyopathy: longitudinal observation in rural community. Kitaoka H, Kubo T, Okawa M, Hitomi N, Furuno T, Doi YL. Circ J. 2006 Dec;70(12):1543-9.

3) Prevalence and distribution of sarcomeric gene mutations in Japanese patients with familial hypertrophic cardiomyopathy. Otsuka H, Arimura T, Abe T, Kawai H, Aizawa Y, Kubo T, Kitaoka H, Nakamura H, Nakamura K, Okamoto H, Ichida F, Ayusawa M, Nunoda S, Isobe M, Matsuzaki M, Doi YL, Fukuda K, Sasaoka T, Izumi T, Ashizawa N, Kimura A. Circ J. 2012;76(2):453-61.

 

   
  研究概要:
 


  我々の研究目的は、心血管病の病因遺伝子解析を行い、臨床病態との関連を明らかにし、新規診断法のみならず、合併症の予防や予後の改善を目指した新しい治療法の開発を行っていくことである。
 具体的には、(1)肥大型心筋症の病因遺伝子変異は未だ50%程度しか同定できないため、未知の病因遺伝子の存在が考えられる。候補遺伝子アプローチにより、新規の病因遺伝子を明らかにする、(2)我々が報告した心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子変異にみられるように、同一遺伝子変異を有しながら異なる臨床病型を示すことが明らかとなっており、病因変異以外に表現型を決定する病態修飾因子の存在が考えられる。このような修飾因子(遺伝的因子および環境因子)を同定する、(3)その他の心筋症の病因遺伝子スクリーニングを行い、Genotype-Phenotype correlationを明らかにする、(4)先天性不整脈疾患(QT延長症候群、ブルガダ症候群など)の病因遺伝子解析を行い、早期診断や治療選択といった臨床利用に結びつける、(5)将来的には、循環器領域の単一遺伝子疾患のみならず動脈硬化や高血圧といった多因子疾患の遺伝的背景の解明と臨床応用に結びつく病態解明を行っていく予定である。

     


西原 利治


肝癌抑止と生活習慣研究班
 西原 利治(さいばら としじ)臨床医学部門消化器内科学講座 教授


学歴

1980 京都大学医学部卒業
職歴
1980-1981 京都大学医学部附属病院研修医
1981-1990 高知医科大学第一内科学講座助手
1990-1992 ボストン大学泌尿器科准教授
1993-2003 高知医科大学消化器内科学講座講師
2003-2007 高知医科大学消化器内科学講座助教授
2007-2009 高知大学消化器内科学講座准教授
2009-    高知大学消化器内科学講座教授
受賞
2000    日本医師会研究奨励賞
2005    日本臨床分子形態学会論文賞

代表論文
1) Kamada Y, Ono M, Hyogo H, et al. A novel noninvasive diagnostic method for nonalcoholic steatohepatitis using two glycobiomarkers. Hepatology. 2015 Nov;62(5):1433-43.

2) Taniuchi K, Furihata M, Saibara T. KIF20A-mediated RNA granule transport system promotes the invasiveness of pancreatic cancer cells. Neoplasia. 2014 Dec;16(12):1082-93.

3) Hasegawa T, Yamao K, Hijioka S, et al. Evaluation of Ki-67 index in EUS-FNA specimens for the assessment of malignancy risk in pancreatic neuroendocrine tumors. Endoscopy. 2014 Jan;46(1):32-8.

 

   
  研究概要:
 


  消化器は食物を消化吸収する臓器との認識が長い間続いてきました。しかし、今日では糖・脂質・蛋白質を合成・代謝し、生体の恒常性を保つことも重要な役割として認識されるようになってきました。実際、飲酒人口や肥満人口の増加に伴った糖尿病、高血圧、脂質異常といった生活習慣病罹患者数の増加は、肝臓を中心とする生体の恒常性維持機構に破綻をもたらし、NASHや肝細胞癌、膵癌、大腸癌を代表とする「新興消化器疾患」を急増させました。
 本邦ではC型慢性肝炎の克服により近い将来肝細胞癌の発生数が減少するであろうと期待されていました。しかし、高知県では「新興消化器疾患」の急増に加えて問題飲酒の影響もあり、他県に比して険しい状況の下にありその実現が危ぶまれています。本事業ではこのような最近の消化器疾患の変容を背景に、高知大学医学部附属病院が開院時より30年余の間蓄積してきた医療情報を基に肝臓・胆膵・消化管における代謝異常について知見を深めるためのプログラムを提供します。さらに、疾患モデル動物における病態解析や当院で得られた肥満や糖尿病、飲酒をkey wordとする知見を基にtranslational research(展開研究)を展開します。そして、2030年を目処に、目に見える形で高知県における消化器発癌、特に肝細胞癌の抑制を目指します。高知大学から発信される医学の進歩を同時代の医療の進歩につなげ、尚かつ全国に普及するためには、全国各地から高知大学に集まった皆さんの協力が欠かせません。ぜひ皆さんにこのプログラムに参加いただき、医学博士の学位に値する論文を皆さんが手になさることを期待いたします。

     


仲 哲治


がん・炎症・免疫疾患病態解析研究班
 仲 哲治(なか てつじ)臨床医学部門免疫難病センター センター長・教授


学歴

1987 富山大学医学部卒業
職歴
1990-1992 国立療養所刀根山病院呼吸器内科 医師
1995-1998 大阪大学医学部第三内科 医員
1998-2006 大阪大学医学部第三内科 助手
2006-2006 大阪大学医学部呼吸器・免疫アレルギー内科(第三内科) 助教授
2006-2016 独立行政法人医薬基盤研究所(現:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所) 創薬基盤研究部長
2016-present 高知大学医学部附属病院 免疫難病センター センター長・教授
受賞
1997    国際サイトカイン学会賞
2000    米国癌学会賞
2001    日本アレルギー学会賞
2002    日本アレルギー学会アレルギー学術奨励賞

代表論文
1) Structure and function of a new STAT-induced STAT inhibitor. Naka T, Narazaki M, Hirata M, Matsumoto T, Minamoto S, Aono A, Nishimoto N, Kajita T, Taga T, Yoshizaki K, Akira S, Kishimoto T. Nature 1997;387(6636):p.924-9.

2) IL-6 blockade inhibits the induction of myelin antigen-specific Th17 cells and Th1 cells in experimental autoimmune encephalomyelitis. Serada S, Fujimoto M, Mihara M, Koike N, Ohsugi Y, Nomura S, Yoshida H, Nishikawa T, Terabe F, Ohkawara T, Takahashi T, Ripley B, Kimura A, Kishimoto T, Naka T. Proc Natl Acad Sci U S A 2008;105(26):p.9041-6.

3) iTRAQ-based proteomic identification of leucine-rich alpha-2 glycoprotein as a novel inflammatory biomarker in autoimmune diseases. Serada S, Fujimoto M, Ogata A, Terabe F, Hirano T, Iijima H, Shinzaki S, Nishikawa T, Ohkawara T, Iwahori K, Ohguro N, Kishimoto T, Naka T. Ann Rheum Dis 2010;69(4):p.770-4.

4) Leucine-rich alpha2 -glycoprotein as a potential biomarker for joint inflammation during anti-interleukin-6 biologic therapy in rheumatoid arthritis. Fujimoto M, Serada S, Suzuki K, Nishikawa A, Ogata A, Nanki T, Hattori K, Kohsaka H, Miyasaka N, Takeuchi T, Naka T. Arthritis Rheumatol 2015;67(8):p.2056-60.

5) Suppressor of cytokine signaling-1 gene therapy induces potent antitumor effect in patient-derived esophageal squamous cell carcinoma xenograft mice. Sugase T, Takahashi T, Serada S, Nakatsuka R, Fujimoto M, Ohkawara T, Hara H, Nishigaki T, Tanaka K, Miyazaki Y, Makino T, Kurokawa Y, Yamasaki M, Nakajima K, Takiguchi S, Kishimoto T, Mori M, Doki Y, Naka T. International journal of cancer 2017 in press.

 

   
  研究概要:
 


  本研究斑では、基礎から臨床、臨床から基礎の双方向性の橋渡し研究手法で、がん・炎症性疾患・自己免疫疾患などの難治性疾患を対象に病態解明研究を行い、検査診断薬や治療法の新規開発を目指します。
 近年、免疫難病治療薬として使用される数々のバイオ医薬品は、免疫学基礎研究で見出された分子を標的として開発され、従来薬にはない大きな治療効果を上げました。このように基礎から臨床への橋渡しを行う研究をトランスレーショナル・リサーチと呼び、今後も創薬に対する貢献が期待されています。一方、近年、遺伝子や蛋白のオミクス解析技術が大きく進歩し、微量の臨床検体から疾患関連蛋白を網羅的にスクリーニングすることが可能になりました。すなわち、難治性疾患の患者さんから得られる臨床検体を解析することで、その疾患の病態解明や治療薬開発を推進させることが可能になっています。本研究班では、現代医療の課題である難治性疾患を対象として、学内外の臨床講座や製薬企業との連携のもとで、基礎研究を起点として臨床へとつなぐ研究を行うとともに、臨床検体のオミクス解析を起点として、疾患関連蛋白の同定、同定した蛋白の基礎的解析、さらには臨床への回帰を目指す双方向性の橋渡し研究を行っていきます。
 現在、臨床への貢献を目指して以下の研究課題開発に取り組んでいます。
■課題1:サイトカインシグナル阻害分子SOCSを利用した難治癌への遺伝子治療の開発
■課題2:免疫難病の診療に有用な新規炎症マーカーLRGの開発
■課題3:新規の癌表面抗原を標的とする抗体医薬品の開発


社会連携部門


 

長野修


災害救急医療研究班 長野 修(ながの おさむ)災害・救急医療学講座 特任教授


学歴

1982年3月  岡山大学医学部医学科卒業

職歴
1982年6月  岡山大学附属病院麻酔科
1983年4月  広島市民病院麻酔科
1984年9月  国立小児病院麻酔科
1985年11月  岡山大学附属病院麻酔科
1989年10月  アルバートアインシュタイン医科大学附属モンテフィオーレメディカルセンタ-麻酔科(リサーチフェロー)
1991年11月  岡山大学医学部附属病院麻酔科蘇生科
1994年7月  岡山大学医学部附属病院集中治療部(助手)
2002年6月  岡山大学医学部附属病院救急部(助手)
2003年7月  同上(講師)
2004年4月  香川県立中央病院救命救急センター(部長)
2007年4月  岡山大学病院救急科(講師)
2011年11月  高知大学医学部寄附講座(災害・救急医療学講座、特任教授)
現在に至る

代表論文
1. Shiba N, Nagano O, Hirayama T, Ichiba S, Ujike Y. Humidification of base flow gas during adult high-frequency oscillatory ventilation: an experimental study using lung model. Acta Medica Okayama 2012; 66: 335-41.

2. Nagano O, Tokioka H, Ohta Y, Goto K, Katayama H, Hirakawa M: Inspiratory pressure-volume curves at different positive end-expiratory pressure levels in patients with ALI/ARDS. Acta Anesthesiol Scand 2001; 45: 1255-61.

3. Nagano O, Foldes, Nakatsuka H, Reich D, Ohta Y, Sperlagh B, Vizi ES. Presynaptic A1-purinoceptor-mediated inhibitory effects of adenosine and its stable analogues on the mouse hemidiaphragm preparation. Naunyn-Schmiedeberg’s Arch Pharmacol 1992; 346: 197-202.
   
  研究概要:高知県における災害医療対策の充実
 

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、発災当初からDMATをはじめとする医療支援チームを継続的に10チーム派遣しました。急性期以降も多くの講座や部局が支援するなど大学一丸となって支援を行いました。この東日本大震災という未曽有の大災害を契機に、高知県の寄付講座として災害・救急医療学講座が平成23年10月1日付で設置されました。 来るべき南海地震対策に県民挙げて注目が高まっており、国や県で被害想定や医療計画の見直しが進められています。三方を山で囲まれた高知県は陸の孤島となる可能性があるうえ、多くの医療機関が被災して診療不能に陥ると想定されています。高知大学医学部は浸水を免れると想定されており、災害拠点病院として県中央地域での災害医療を担う使命があります。 2012年度は、政府主催総合防災訓練(通称9・1訓練)で南海トラフ巨大地震を想定した広域医療搬送訓練が行われ、高知大学医学部はDMAT(Disaster Medical Assistance Team;災害派遣医療チーム)参集拠点、広域医療搬送拠点(SCU;Staging Care Unit)として参加しました。また、多数傷病者の受け入れを想定した地域密着型の病院災害訓練も実施しました(Disaster ABCコース)。今後は、簡便な災害医療教育プログラムの開発など災害対応力のある医療人の育成に継続的に取り組みます。 さらに、行政や医療機関をはじめとする関係諸機関と連携して急性期から慢性期までの災害医療活動をスムーズに行うための対策を検討し講じていく必要があります。すなわち、@急性期:多数傷病者等の受け入れと広域医療搬送、被災した医療機関からの患者収容など、A亜急性期:地域ごとの巡回診療と臨時診療拠点の構築など、B慢性期:日常診療の再構築など、の計画策定と対策が必要です。



菅沼 成文


エコチル研究班  菅沼 成文(すがぬま なるふみ)医療学系連携医学部門環境医学講座 教授

 

略歴

平成5年 3月 岡山大学医学部医学科卒業
平成5年 6月 東京都立大塚病院 研修医(平成7年2月迄)
平成10年 3月 岡山大学大学院医学研究科(社会医学専攻)修了
平成10年 4月 医療法人水和会水島中央病院内科医師
平成11年 4月 福井医科大学医学部助手(医学科環境保健学講座)
平成16年 1月 福井大学医学部講師(国際社会医学講座環境保健学)
平成18年 2月 福井大学医学部助教授(国際社会医学講座環境保健学)
平成19年 11月 高知大学医学部教授(医療学講座予防医学・地域医療学分野(環境医学))
平成21年 4月 高知大学教授(教育研究部医療学系連携医学部門医療学講座予防医学・地域医療学分野(環境医学))
平成22年 4月 兼任)高知大学副学長(研究担当)

代表論文
1: Suganuma N, Kusaka Y, Hering KG, Vehmas T, Kraus T, Arakawa H, Parker JE, Kivisaari L, Letourneux M, Gevenois PA, Tuengerthal S, Crane MD, Shida H, Akira M, Henry DA, Nakajima Y, Hiraga Y, Itoh H, Hosoda Y. Reliability of the proposed international classification of high-resolution computed tomography for occupational and environmental respiratory diseases. J Occup Health. 2009;51(3):210-22. Epub 2009 Apr 17. PubMed PMID: 19372629.

2: Arakawa H, Fujimoto K, Honma K, Suganuma N, Morikubo H, Saito Y, Shida H, Kaji Y. Progression from near-normal to end-stage lungs in chronic interstitial pneumonia related to silica exposure: long-term CT observations. AJR Am J Roentgenol. 2008 Oct;191(4):1040-5. PubMed PMID: 18806140.

3: Arakawa H, Honma K, Saito Y, Shida H, Morikubo H, Suganuma N, Fujioka M. Pleural disease in silicosis: pleural thickening, effusion, and invagination. Radiology. 2005 Aug;236(2):685-93. PubMed PMID: 16040925.

   
  研究概要:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
 

 

全国15箇所のユニットセンターのひとつに!〜子どもたちの未来のために〜

 1997年の8カ国環境大臣会合にて出された「マイアミ宣言」以来、有害化学物質に対してより脆弱である子供を対象とした環境研究・リスク評価・基準の設定の試みが、世界各国で行われています。各国内で数百人〜2万人規模の様々なコホート調査が行われ、アメリカ・デンマーク・ノルウェーでは国家プロジェクトとして10万人規模の疫学調査が実施されています。我が国でも、「胎児期から小児期にかけての化学物質暴露が、子供の研究に大きな影響を与えているのではないか?」という中心仮説に基づき、全国15箇所のユニットセンターを介し、10万人を対象に21年間の調査・分析を2011年1月より開始します。
 高知大学は、小児保健・環境医学研究センターを設置し、四国では唯一のエコチル・ユニットセンターとして、妊娠初期から子どもが13歳になるまで追跡調査を行います。これまで培った地域との連携を生かし、また、各自治体や産科・小児科など多機関にご協力いただき、2011年1月より3年間で、高知市・南国市・四万十市・梼原町の妊婦5000人をリクルートする予定です。この調査の機会を生かし、環境因子と健康に関わる高知独自の取組みや世界のコホート調査との比較研究等も実施します。


今、子ども達になにが起きている?〜エコチル調査の意義〜

 我が国において、環境要因(化学物質の摂取・生活環境等)が原因とされる疾患の動向は、例えば、喘息はこの20年で3倍に、先天異常は25年間で2倍に、肥満傾向児は30年間で1.5倍になっています。エコチル調査では、化学物質の暴露と社会・生活習慣要因が、1) 妊娠・生殖、2) 先天奇形、3) 精神神経発達、4) 免疫・アレルギー、5) 代謝・内分泌の5分野について、どのような影響を与えるかを調査します。社会生活要因などとも複雑に絡み合う環境要因を、他学部との連携により学際的かつ長期的に解明することで、より健やかな次世代育成のための環境づくりと共に、環境医学に関する専門家の育成を目指します。



横山 正尚


周術期侵襲制御医学研究班  横山 正尚(よこやま まさたか)医療学系臨床医学部門麻酔科学・集中治療医学講座教授

 


学歴
1980 岡山大学医学部卒業
職歴
1980-1982 岡山大学医学部附属病院麻酔科研修医
1982-1990 高知医科大学附属病院麻酔科助手
1990-1992 米国カンサス大学メディカルセンター研究員
1992-2002 岡山大学医学部附属病院麻酔科蘇生科助手・講師
2002-2009 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学分野准教授
2009-present 高知大学医学部麻酔科学・集中治療医学講座教授

代表論文
1) Decoy strategy targeting the brain-derived neurotrophic factor exon I to attenuate tactile allodynia in the neuropathic pain model of rats.
Obata N, Mizobuchi S, Itano Y, Matsuoka Y, Kaku R, Tomotsuka N, Morita K, Kanzaki H, Ouchida M, Yokoyama M.
Biochem Biophys Res Commun. 2011 Apr 29;408(1):139-44

2) Effects of selective spinal nerve ligation on acetic acid-induced nociceptive responses and ASIC3 immunoreactivity in the rat dorsal root ganglion.
Omori M, Yokoyama M, Matsuoka Y, Kobayashi H, Mizobuchi S, Itano Y, Morita K, Ichikawa H.
Brain Res. 2008 Jul 11;1219:26-31

3) Correlation between the distribution of contrast medium and the extent of blockade during epidural anesthesia.
Yokoyama M, Hanazaki M, Fujii H, Mizobuchi S, Nakatsuka H, Takahashi T, Matsumi M, Takeuchi M, Morita K.
Anesthesiology. 2004 Jun;100(6):1504-10

   
  研究概要:
 

 

 麻酔科学は, 周術期の生体管理を中心としながら, 救急・集中医療における管理, 痛み・緩和医療などの領域において, 種々の疾病および手術を起因とする侵襲を制御することで患者の命を守り, 安全で快適な医療を提供することを目的としています。また, 人口の高齢化や医療技術の高度化・多様化等に対する社会ニーズに対応することも求められている。このため, 周術期医療における先端的研究の推進と新たな医療技術の創成が不可欠と考えています。
 本研究班では, 地域, 世界に貢献する研究成果を発信することを目標に, 周術期医療を中心にオリジナルな知見に基づく多くの研究プロジェクトを立ち上げ日々研鑽しています。現在進行中の主な研究テーマとして, (1) 術後認知機能障害の分子機序解明と周術期予防戦略, (2) 神経障害性痛における病態機序解明と治療応用への基礎的研究, (3) 周術期栄養管理に関する研究, (4) 重症患者管理に対する新しい治療目標の開発に関する研究, を推進しています。

(1)術後認知機能障害の分子機序解明と周術期予防戦略     

 急速な高齢化社会の進行に伴い, 高齢者の手術が増加する一方で, 術後の認知機能に対する問題が明らかとなり, 注目されています。術後認知機能障害 (POCD) の発症は, 退院後のQOL低下や就労困難のみならず, 死亡率増加にも関連することが知られています。POCDの危険因子は, 高齢であることが一貫して報告されていますが, 詳細な発症機序は明らかでなく, 現時点において特異的な予防方法も存在しません。

 近年, 海馬の炎症反応, 特にサイトカインと認知機能の関係が明らかになりつつあります。実際, アルツハイマー病等の神経変性疾患では, 炎症性サイトカインの増加と認知障害の重症度が相関することが知られています。われわれの研究グループの予備的研究でも, 高齢ラットにリポ多糖の急性投与することで, 遷延する海馬サイトカインの増加とそれに相関する認知機能障害が生じる現象を確認しました。さらに, 多くの研究で実験的手術後に中枢神経系のサイトカインの増加が生じており, POCDの病態機序に中枢炎症が重要な役割を果たすと推測されています。このように, われわれの研究の目的は, POCDの発症機序における加齢性の海馬機能脆弱化と術後神経炎症の関連性を明らかにし, これら病態に基づく予防戦略を検討することにより, POCDの新たな予防戦略に繋げることです。


(2)神経障害性痛における病態機序解明と治療応用への基礎的研究     

 神経障害性痛は, 難治性慢性痛の主要な原因で, 生活の質を低下させ就労問題や社会的損失も大きいと考えられています。これまでに多くの新規治療薬の候補が検討されてきましたが, 未だ有効な治療方法が見出せていないのが現状です。 その原因の一つとして, 神経障害性痛の病態が, 痛覚伝導系の異常に留まらず, 精神・心理的側面にまで及ぶ複雑系であることが挙げられます。 その中でも, 神経障害性痛の痛覚伝導機序と比較して, 精神・心理的側面に対する 研究は緒に就いたばかりと言えます。

 われわれは, 一次知覚神経から脊髄, そしてより上位中枢まで痛みの原因を探索し, 新規治療法に繋がる可能性を探索しています。特に, 脳由来神経栄養因子 (BDNF) の増加は, 末梢, 脊髄後角, 脳幹レベルで侵害シグナルを増強することで神経障害性痛の発症・維持に重要な役割を担うことがしられています。 しかし, BDNFは, 末梢神経,脊髄, 脳に対する 種々の障害, ストレスに対して発現を増加させ, 神経細胞の生存維持, 神経突起の伸長促進, 神経伝達物質の合成促進等の代償機構に重要な役割を果たすことが報告されています。これらの作用は, 慢性痛治療における精神的な変調に関与し, 痛みの難治性修飾を引き起こす原因となる可能性が考えられます。 BDNFの機能変化について, 神経障害時の痛覚過敏・精神障害の病態機序における詳細を明らかとすることにより, より生理的な慢性痛治療の可能性を検討しています。このように, われわれの研究室では, 臨床と研究を直結させTranslational・Reverse translationalな観点から研究を進めています。


(3)周術期栄養管理に関する研究     

 術前の栄養不良は, 術後の合併症・死亡率の増加と関連することが知らています。特に消化器外科手術患者は, 術前から疾患自体による食欲不振や通過障害などから, 重度の栄養障害に陥っている症例によく遭遇します。さらに, 術後も経口摂取不十分な期間が長期に及んでしまします。また, 高齢患者では, 栄養不良による全身への影響がさらに大きくなると考えられます。近年, このような背景から周術期栄養管理の重要性は高まりつつあります。しかし, 周術期栄養管理に関する研究は緒に就いたばかりであり, これまでの経験に基づいて施設ごとの基準で管理されているのが現状といえます。

 そこで, 私たちは周術期栄養管理に着目して, 臨床・基礎研究を推進しています。アミノ酸や炭水化物による体温保護作用に関して学会発表,論文発表を行っています。今後, エビデンスの基づく周術期栄養管理を発信していきたいと考えています。


(4)重症患者管理に対する新しい治療目標の開発     

 酸素運搬は基本的な生命維持活動のひとつであり, 重症患者管理において酸素運搬を維持することが重要な治療目標となります。これまで呼吸管理では低一回換気量, 高いPEEP, 高二酸化炭素血症の容認を基本とする肺保護戦略, 循環管理では早期目標型循環管理(Early Goal Directed Therapy; EGDT)が提唱され広く認められていますが, 酸素運搬を維持するための呼吸・循環管理目標は現在まで十分には解明されていません。また, これらの治療目標を達成するためには特別な医療機器が必要となるためすべての重症患者に対して確実に行うことができないことも問題といえます。我々は, この点を解決するため呼吸・循環のダイナミクスに注目し研究を進めています。研究の基本理念としては, 近年明らかにされた治療戦略を達成するための(1)簡便, (2)普遍的な(3)完全非侵襲な治療目標を開発することと考えています。


     
先端医工学部門

山上卓士


画像下治療(インターベンショナル・ラジオロジー)研究班
 山上 卓士(やまがみ たくじ)臨床医学部門放射線医学講座 教授

 


学歴

1991.3 京都府立医科大学医学部卒業
2001.3博士(医学)(京都府立医科大学)

職歴
1991-1993 京都府立医科大学付属病院研修医
1993-1995朝日大学歯学部助手、朝日大学歯学部附属村上記念病院
1995-1997愛知県がんセンターレジデント、放射線診断部
1997-1998愛知県がんセンター任意研修医、放射線診断部
1998-2001京都府立医科大学大学院、放射線医学講座(大学院生)
2001-2003京都府立医科大学助手、放射線医学講座
2003-2013京都府立医科大学大学院医学研究科講師、放射線診断治療学講座
2005    米国オレゴンヘルスサイエンス大学、エール大学
2013-2014広島大学大学院医歯薬保健学研究院准教授、放射線診断学講座
2014-    高知大学医学部教授、放射線医学講座


受賞

2006  日本インターベンショナルラジオロジー学会第5回優秀論文賞
2008 Turkish Society of Radiology-TSR The best original article of the year award 2008

代表論文
1)Yamagami T, Arai Y, Matsueda K, Inaba Y, Sueyoshi S, Takeuchi Y: The cause of nontumorous defects of portal perfusion in the hepatic hilum revealed by CT during arterial portography. AJR Am J Roentgenol 172: 397-402, 1999

2)Yamagami T, Kato T, Iida S, Tanaka O, Nishimura T: Value of transcatheter arterial embolization with coils and n-butyl cyanoacrylate for long-term hepatic arterial infusion chemotherapy. Radiology 230: 792-802, 2004

3)Yamagami T, Yoshimatsu R, Kajiwara K, Ishikawa M, Matsumoto T, Kakizawa H, Toyoda N, Hasebe T, Awai K: Effectiveness of combined use of imprint cytological and histological examination in CT-guided tissue-core biopsy. Eur Radiol 24: 1127-1134, 2014

   
  研究概要:
 

 IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)とは、血管造影・CT・超音波などの画像誘導下に経皮的に行う低侵襲医療で、日本では「画像下治療」と訳されます。外科的手術などと比べて体への負担が少なく、多くは局所麻酔で行います。体表に作った2-3mm程度の「針孔」から、血管内に細い管(カテーテル)を進めて行う血管系IVRと、直接病変に針などを穿刺して行う非血管系IVRに大別されます。画像で確認しながら病巣までカテーテルや針などを進めた後、「(薬剤を)注入する」、「(狭いところを)拡げる」、「(血管を)詰める」、「(病変を)焼く。あるいは凍らせる」、「(液体を)吸引する」などの単純な行為を行って治療します。
IVRは1967年にMargulisが提唱したことから始まったIVRは、その後急速な進化をとげ各分野の診断・治療戦略の中で欠かせない位置をしめるようになりました。
本研究班ではIVR手技の改良・開発、デバイスの考案、治療計画や効果判定のための画像診断の開発などを行います。



池内昌彦


福祉工学研究班
 池内 昌彦(いけうち まさひこ)医療学系臨床医学部門整形外科学講座 教授

 

略歴
昭和63(1989)年3月  私立六甲高校卒業

平成7(1995)年3月   高知医科大学卒業

平成7(1995)年4月   高知医科大学整形外科入局

平成11(1999)年4月  仁生会細木病院整形外科

平成13(2001)年4月  東京逓信病院整形外科

平成14(2002)年4月  高知赤十字病院整形外科

平成15(2003)年4月  高知大学医学部整形外科助手

平成19(2007)年6月  米国University of Iowa留学

平成21(2009)年5月  高知大学医学部整形外科講師

平成25(2013)年1月  高知大学医学部整形外科准教授

平成26(2014)年7月  高知大学医学部整形外科教授 現在に至る

代表論文
1)Izumi M, Ikeuchi M, Mitani T, Taniguchi S, Tani T: Prevention of venous stasis in the lower limb by transcutaneous electrical nerve stimulation. Eur J Vasc Endovasc 39: 642-5, 2010

2)Ikeuchi M, Ushida T, Izumi M, Tani T: Percutaneous radiofrequency treatment for refractory antero-medial pain of osteoarthritic knees. Pain Med 12: 546-551, 2011

3)Okanoue Y, Ikeuchi M, Takemasa R, Tani T, Matsumoto T, Sakamoto M, Nakasu M: Comparison of in-vivo bioactivity and compressive strength of a novel superporous hydroxyapatite with beta-tricalcium phosphates. Arch Orthop Trauma Surg 132: 1603-1610, 2012

4)Ikeuchi M, Kamimoto Y, Izumi M, Sugimura N, Takemura M, Fukunaga K, Yokoyama M, Tani T: Local infusion analgesia using intra-articular double lumen catheter after total knee arthroplasty: a double blinded randomized control study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 21: 2680-4, 2013

5)Izumi M, Ikeuchi M, Kawasaki M, Ushida T, Morio K, Namba H, Graven-Nielsen T, Ogawa Y, Tani T: MR-guided focused ultrasound for the novel and innovative management of osteoarthritic knee pain. BMC Musculoskelet Disord 14: 267, 2013

6)Izumi M, Ikeuchi M, Aso K, Sugimura N, Kamimoto Y, Mitani T, Ueta T, Sato T, Yokoyama M, Sugiura T, Tani T: Less deep vein thrombosis due to transcutaneous fibular nerve stimulation in total knee arthroplasty: a randomized controlled trial. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2014 Jun 24 [Epub ahead of print]

7)Kumon M, Tani T, Ikeuchi M, Kida K, Takemasa R, Nakajima N, Kiyasu K, Tadokoro N, Taniguchi S: Influence of tibial trancutaneous repetitive electrical nerve stimulation on neurogenic claudication and F-wave in lumbar spinal stenosis. J Rehabil Med 2014 Sep 3 [Epub ahead of print]

   
  研究概要:
 

(1)末梢神経電気刺激法による静脈血栓塞栓症予防機器の開発
深部静脈血栓症(DVT)は四肢の不動が誘因となることが多く、エコノミークラス症候群としても広く知られる。従って、四肢不動を伴う全身麻酔下の手術ではDVTが頻発しそれが致死的な肺梗塞に発展する可能性があることから間欠的圧迫装置(IPC法)による術中・術後のDVT予防が必須化ている。しかし、IPC法の最大の欠点は、DVTが手術肢に最も高頻度に発生するにもかかわらず手術肢に適用できないことである。そこで、新しい予防法として末梢神経電気刺激法(TpTENS)を開発した。これは、表面電極により末梢神経を高頻度刺激して支配筋全体を効率的に収縮させ、筋肉のポンプ作用による生理的な静脈環流を確保する方法であり、これまでの実験データではIPC法を凌ぐ静脈還流促進効果がある。現在、TpTENSが広く普及するために簡易で安価なTpTENS装置を開発、製品化することをめざしている。

(2)虚弱高齢者に対する固定式・全方向型歩行訓練器の開発
わが国は今、かつていかなる国も経験したことのない高齢人口の増加に直面し、介護を必要とする人や寝たきりになる人が急速に増えている。本研究斑では、生涯に亘って自立した生活の維持・回復を目的にリハビリテーション機器・福祉機器の開発を行っている。
そのひとつとして、現在、虚弱高齢者の脚力だけでなくあらゆる方向へのバランス機能を賦活するために、スピード調整と360度回転可能なトレッドミルを内蔵し、転倒予防装置を備え、しかも限られたスペースで歩行機能の維持・回復を図る次世代の歩行訓練器を開発し、製品化をめざしている。



井上啓史


光線力学医療班
 井上 啓史(いのうえ けいじ)医療学系臨床医学部門泌尿器科学講座 教授

 


学歴

1989 高知医科大学医学部 卒業
1994 高知医科大学大学院 卒業・医学博士

職歴
1996-1997  高知医科大学泌尿器科 助手
1997-1999  テキサス州立大学MDアンダーソン癌センター癌生物学科リサーチフェロー
2002-2005  高知医科大学泌尿器科 講師
2005-2016  高知大学医学部泌尿器科学講座 准教授
2016-現在  高知大学医学部泌尿器科学講座 教授 現職
受賞
1999 AACR-AFLAC Scholar in Cancer Research Award
2005 日本 Endourology・ESWL学会オリンパス賞
2012 第2回 日本泌尿器内視鏡学会 阿曽賞
2013 第20回 社団法人日本泌尿器科学会 学会賞
2013 第4回 ポルフィリン-ALA学会年会 学会賞

代表論文
1) Inoue K, Takashi K, Kamada M, Shuin T, Kurabayashi A, Furihata M, Fujita H, Utsumi K, Sasaki J: Regulation of 5-aminolevulinic Acid-mediated Protoporphyrin IX-accumulation in Human Urothelial Carcinomas. Pathobiology, 76 (6): 303-14, 2009.

2) Inoue K, Fukuhara H, Shimamoto T, Kamada M, Iiyama T, Miyamura M, Kurabayashi A, Furihata M, Tanimura M, Watanabe H, Shuin T: Comparison between Intravesical and Oral Administration of 5-aminolevulinic Acid in the Clinical Benefit of Photodynamic Diagnosis for Non-muscle Invasive Bladder Cancer. Cancer 118 (4): 1062-74, 2012.

3) Inoue K, Fukuhara H, Kurabayashi A, Furihata M, Tsuda M, Nagakawa K, Fujita H, Utsumi K, Shuin T: Photodynamic Therapy involves Anti-Angiogenic Mechanism and is Enhanced by Ferrochelatase Inhibitor in Urothelial Carcinoma. Cancer Sci. 104 (6): 765-72, 2013.

   
  研究概要:
 

 近年、1987年にMalikらによって開発された5-アミノレブリン酸 (5-ALA) が第3世代の光感受性物質として注目されている。元来、この5-ALAは36億年前より動植物の生体内に存在する天然アミノ酸であり、血色素 (hemoglobin)や葉緑素 (chlorophyll)の共通前駆体である。5-ALAは、生体内ではミトコンドリア内でスクシニールCoAとグリシンから5-ALA合成酵素によって合成される内因性ポルフィリン物質である。細胞質内で、ポルフォビリノーゲン、ウロポルフィリノーゲンIII、コプロポルフィリノーゲンIIIなどいくつかの前駆体を経て、ミトコンドリア内でプロトポルフィリノーゲンIX、さらには光活性物質であるプロトポルフィリン\ (Protoporphyrin\ (Pp\))に生合成される。その後、PpIXはフェロキレターゼの触媒としての働きにより細胞内鉄が挿入され、ヘム、ビリルビンへと代謝される。人体に外因性に投与された5-ALAも同様に、細胞質内に速やかに取り込まれた後、内因性の5-ALAと同様に、ミトコンドリア内でPpIXに生合成されるが、正常細胞ではPpIXの代謝過程でヘムの合成量によってネガティブフィードバック機構が働き、PpIX生合成は律速段階である。しかし、癌細胞ではβ-トランスポーター (gamma-aminobutyric acid (GABA) 受容体)の活性上昇やポルフォビリノーゲンジアミナーゼの活性上昇によりPp\の生合成が促進され、さらにはトランスフェリン受容体の活性上昇やフェロキレターゼの活性低下によりPp\の代謝が抑制され、これらの結果としてPpIX生合成や蓄積が著明に進むとされる。つまり、Pp\生合成・代謝に関わるこれら現象は、種々の酵素活性異常やがんが嫌気的代謝を好む (ワールブルク効果 (Warburg effect))という癌共通の生物学的特性に基づくと考えられている。

 このPp\は光活性を有しているため、特定波長の光、主に青色可視光 (375-445nm)を照射し、Pp\を励起すると赤色に蛍光発光して、癌細胞を的確に同定できる。これが5-ALAによる光線力学診断 (photodynamic diagnosis (PDD)) (ALA-PDD)のメカニズムである。

 また同様に、このPp\に特定波長の光、主に赤色可視光 (600-740nm)や緑色可視光 (480-580nm)を低出力で照射し、励起すると、光エネルギーを吸収したPp\が励起状態から基底状態に戻る際にエネルギー転換により一重項酸素などの活性酸素が癌細胞内で発生し、細胞傷害を与える。これが5-ALAによる光線力学治療 (photodynamic therapy (PDT)) (ALA-PDT)のメカニズムである。

 つまり、ALA-PDDやALA-PDTはこれら癌の有する共通の生物学的特性を根幹とした光力学技術であり、多くの癌に対する診断や治療の新しい戦略として期待される。





小林道也


内視鏡外科手術研究班
 小林 道也(こばやし みちや) 連携医学部門医療管理学講座 教授

 


学歴

1984年3月 高知医科大学医学部卒業
1988年3月 高知医科大学大学院(博士課程)修了

職歴
1984年5月 高知医科大学医学部附属病院第一外科研修医
1985年12月 米国ハワイ州 Kuakini病院Research fellow
1988年4月 高知医科大学医学部附属病院第一外科助手
1993年1月 同 学内講師
1966年7月 同 講師
2004年4月 高知大学医学部附属病院がん治療センター 部長
2006年4月 高知大学医学部医療学講座医療管理学分野 教授
2012年4月 高知大学教育研究部医療学系臨床医学部門外科学講座臨床腫瘍・低侵襲治療学 教授(兼務)
受賞
1999年9月 日本臨床電子顕微鏡学会 平成10年度論文賞受賞
2005年4月 SAGES 2005 (Society for American Gastrointestinal Endoscopic Surgeons) (米国内視鏡外科学会)Distinction Award受賞
2013年9月 日本臨床分子形態学会 安澄記念賞受賞
2014年6月 Excellence in Reviewing 2013, European journal of Surgical Oncology & ELSEVIER
2014年9月 国民健康保険中央会表彰
2015年2月 高知県国民健康保険団体連合会表彰
2015年6月 Outstanding Contribution in Reviewing, European Journal of Surgical Oncology & ELSEVIER

代表論文
1) Laparoscopic lymph node dissection around the inferior mesenteric artery for cancer in the lower sigmoid colon and rectum: is D3 lymph node dissection with preservation of the left colic artery feasible?. Kobayashi M, Okamoto K, Namikawa T, Okabayashi T, Araki K. Surg Endosc 20(4)Apr:563-569

2) Laparoscopic incisional hernia repair: a new mesh fixation method without stapling. Kobayashi M, Ichikawa K, Okamoto K, Namikawa T, Okabayashi T, Araki K. Surg Endosc 20(10)Oct:1621-1625

3) Laparoscopic D3 lympha node dissection with preservation of the superior rectal artery for the treatment of proximal sigmoid and descending colon cancer. Kobayashi M, Okamoto K, Namikawa T, Okabayashi T, Sakamoto J, Hanazaki K. J Laparoendosc Advanced Surg Tech A 17(4)Aug:461-466

   
  研究概要:
 

安全で有効な内視鏡手術の実現に向けて
1. 内視鏡手術トレーニングセンターの充実とトレーニング効果に関する研究
2. 最新の内視鏡システムの早期導入
3. 内視鏡デバイスの開発研究


 内視鏡手術の優れた点は、患者さんにとって痛みや体への負担が少ない点です。私たちが主眼を置いている腹腔鏡手術(腹部臓器の内視鏡手術)においても、安全性や有効性が数多くの分野で示されてきました。外科医にとっては拡大した視野で細かな作業ができる利点があります。特に、内視鏡カメラとディスプレイの進歩によって非常に高い解像度の画像が得られ、肉眼では確認が難しかった体の構造を認識しながら手術ができるようになりました。一方で、低侵襲であるはずの手術によって、従来の手術では頻度が低かった合併症が引き起こされる事例が報告されています。稀であるが重篤な合併症を克服し、より安全性の高い手術を実現するためには様々な角度からのアプローチが必要だと考えています。
対象となる疾患に対する理解と過不足のない手術を習得することをベースにして、特に内視鏡手術では@特殊な手術器具の取扱いに習熟すること、A優れた手術器具やシステムを積極的に導入すること、Bそして自らデバイスを開発していく探求心が必要です。これまで本学トレーニングセンターにおいて腹腔鏡トレーニングシステムを導入、ロボット手術を含めて最新の内視鏡システムを早期に導入、新規デバイスの開発にむけて企業への働きかけを継続してきました。今後の課題として、現在米国で行われているFLS(Fundamentals of Laparoscopic Surgery)やFES(The Fundamentals of Endoscopic Surgery)のプログラムにも対応するような教育システムの開発や、新規デバイスの開発に注力していきたいと考えています。これからも発展を続ける、内視鏡手術の世界をともに進んでいきましょう!



渡橋和政


微侵襲手術研究班  渡橋 和政(おりはし かずまさ)臨床医学部門外科学講座 教授

 

     

学歴
1982 広島大学医学部 卒業
1992 博士(医学)広島大学

職歴
1988-1999  広島大学医学部・医学部附属病院 助手

1988-1990  米国アルバート・アインシュタイン医科大学 客員研究員

1999-2006  広島大学医学部・大学院医歯薬学総合研究科 講師

2006-2011  広島大学医学部・大学院医歯薬学総合研究科 助教授

2011-present 高知大学医学部外科学(外科二)教授

受賞
2000 日本心臓血管麻酔学会最優秀演題賞

代表論文
1) Orihashi K, Takahashi S, Ozawa M, Herlambang B, Takasaki T, Sato K, Kurosaki T, Imai K, Sueda T. Three-dimensional echo-guided suture of atrial septal defect with Maniceps in an experimental model. Hiroshima J Med Sci 2010;59:57-63.

2) Orihashi K, Sueda T, Okada K, Imai K, Ban K, Hamamoto M. Real-time three dimensional echo-guided closure of atrial septal defect: an experimental model. Interactive Cardiovasc Thorac Surg 2005;4:391−395

3) Orihashi K, Matsuura Y, Sueda T, Watari M, Okada K, Sugawara Y, Ishii O. Aortic arch branches are no longer blind zone for transesophageal echocardiography: a new eye for aortic surgeons. J Thorac Cardiovasc Surg 120: 466-72, 2000

   
  研究概要:
 
 

A:

心臓血管外科で行う治療は、大きな侵襲を伴うため手術は成功しても体に大きな負担がかかった結果期待どおりの治療効果が得られないことがあります。この研究班では、同じ効果を上げるためにより小さな侵襲で治療を行うことができる革新的な方法やデバイス、またそれを支援するシステムを開発します。 

1)フラップ型大動脈解離治療システム
内膜の亀裂からすべてが起こる大動脈解離に対し、ステントグラフトのような硬質の治療デバイスを用いず、エントリー部分を塞ぐフラップ型デバイスを用いてエントリー血流を減少させ偽腔内の血栓化を促進し偽腔を閉鎖します。

2)オフポンプ心臓内手術システム
低侵襲心臓手術として鏡視下手術やロボット手術が行われていますが、なお体外循環、心停止が必要です。3Dエコーガイド下に、心臓に挿入した手術器械で心臓内修復を行う技術を確立します。

3)経食道心エコートレーニングシステム
オフポンプ心臓内手術を行うときに目の働きとなる経食道心エコーは、技術習得が容易ではありません。CT画像データを用いてプローブ操作に対応する任意の走査面での画像を提供、フィードバックすることにより、プローブ操作と画像オリエンテーションを理解するためのシミュレーションシステムを開発します。

 
 

B:

日本を含む先進諸国において肺がんは最も高い死亡率を示す悪性疾患で、その克服は我々人類の最大のテーマです。肺がんのI期II期の標準治療は外科的切除とされており、手術治療の質がそのまま患者さんの生命予後やQuality of lifeに直結します。肺は気管支や肺動脈肺静脈が複雑に3次元構造を形成しており、消化管や体表に存在する悪性腫瘍に比べ、腫瘍の位置の同定や、内視鏡的到達、手術による血管の剥離の何れも困難ですが、同時に、新たな技術の開発により現在の標準診療を劇的に改善できる余地があります。我々の研究班では、 2〜3年以内の臨床応用を目指すトランスレースナルリサーチとして、より低侵襲で効果的な肺がん治療のための新技術を開発します。



1.気管支三次元シュミレーション技術と近赤外線蛍光を併用した全く肺表面を損傷しない超低侵襲な肺がん位置同定法の開発: 3次元CT mapを使用した仮想気管支鏡画像作成技術と赤外線蛍光技術を併用した、従来法よりも低侵襲な小型肺がんの位置同定方法を開発し、臨床応用に向けて最適化します。

図のようにナビゲーション内視鏡手術を駆使してマーキングした後に、外から特殊なカメラを用いて、癌の位置を正確に同定します。
この結果、小さな傷のみで複数の癌を手術中に同定して、正確に切除することができます。



2.気管支腔外の肺実質内に存在する肺がんに対する光増感物質の局所注入を併用した選択的光温熱治療の開発 レーザーは極細の光ファイバーを用いてエネルギーを内視鏡先端まで運搬できる特性がある反面、直進性が強く、限られたワーキングスペースの中で腫瘍を焼灼するためには工夫が必要です。我々は吸光特性の高い光増感物質との併用で効果的に肺実質に存在する肺がんを焼灼治療室できる技術を開発し臨床応用に向けて最適化します。

図のように、ICGには濃度依存的にレーザーエネルギーを吸収する特性があります。この特徴を生かして腫瘍を選択的に目的温度まで加熱し腫瘍細胞を死滅させます。
右写真は実際にヌードマウスの皮下に作成した腫瘍にICGを注入した後にレーザーを照射して、温度変化をサーモカメラで観察しています。

     
臨床試験部門

宮村 充彦


研究支援班
 宮村 充彦(みやむら みつひこ)臨床医学部門附属病院薬剤部 教授


学歴
昭和57年 3月 徳島大学大学院修士課程修了 薬学修士取得
平成10年 6月 博士(医学) 取得
職歴
昭和57年 4月 高知医科大学医学部附属病院 薬剤部 入部
平成10年 4月 薬剤部 試験研究室長
平成13年 4月 薬剤部 製剤室長
平成15年10月 国立大学法人法に伴い国立大学法人高知大学に承継
平成15年10月 副薬剤部長・薬剤部 試験研究室長 併任
平成16年 4月 副薬剤部長
平成21年 5月 高知大学 教育研究部 医療学系 臨床部門 教授
       高知大学医学部附属病院 薬剤部長 
       高知大学医学部附属病院 薬事委員会 委員長    
       高知大学医学部 先端医療学推進センター 支援部門長
平成22年3月 中華人民共和国 黒龍江省 チャムス大学 薬学院 客員教授
平成22年4月 高知県立大学 看護学研究科 非常勤講師
平成25年4月 徳島文理大学 薬学部 特任教授
平成26年1月 東京薬科大学 非常勤講師
      現在に至る

受賞
平成19年11月 日本薬学会 中国四国支部 奨励賞

代表論文
1) Effects of sho-saiko-to extract on fibrosis and regeneration of the liver in rats. Miyamura M, Ono M, Kyotani S, Nishioka Y. J Pharm Pharmacol., 50(1), 97-105, 1998.

2) Swallowing function improvement effect of ginger (Zingiber officinale). Abe N, Hirata A, Funato H, Nakai M, Iizuka M, Yagi Y, Shiraishi H, Jobu K, Yokota J, Moriyama H, Ukeda H, Hyodo M, Miyamura M, Food Science and Technology Research, 21(5), 705-714, 2015.

3) Bangle (Zingiber purpureum) Improves Spatial Learning, Reduces Deficits in Memory, and Promotes Neurogenesis in the Dentate Gyrus of Senescence-Accelerated Mouse P8. Nakai M, Iizuka M, Matsui N, Hosogi K, Imai A, Abe N, Shiraishi H, Hirata A, Yagi Y, Jobu K, Yokota J, Kato E, Hosoda S, Yoshioka S, Harada K, Kubo M, Fukuyama Y, Miyamura M. J Med Food,19(5),435-41, 2016.

   
  研究概要:
 


薬物治療の有効性と安全性の確保を目的とする臨床薬理学を志向している。また、天然資源に関して、成分検索、薬理活性試験、さらに、臨床試験のアプローチを通じて、創薬への展開を行っている。更に、臨床現場での問題点を抽出し、基礎研究を行い、臨床の現場へ戻すリバーストランスレーショナルリサーチを実践している。



小林道也


臨床試験研究班
 小林 道也(こばやし みちや)がん治療センター教授



学歴

1984年3月 高知医科大学医学部卒業
1988年3月 高知医科大学大学院(博士課程)修了

職歴
1984年5月 高知医科大学医学部附属病院第一外科研修医
1985年12月 米国ハワイ州 Kuakini病院Research fellow
1988年4月 高知医科大学医学部附属病院第一外科助手
1993年1月 同 学内講師
1966年7月 同 講師
2004年4月 高知大学医学部附属病院がん治療センター 部長
2006年4月 高知大学医学部医療学講座医療管理学分野 教授
2012年4月 高知大学教育研究部医療学系臨床医学部門外科学講座臨床腫瘍・低侵襲治療学 教授(兼務)
受賞
1999年9月 日本臨床電子顕微鏡学会 平成10年度論文賞受賞
2005年4月 SAGES 2005 (Society for American Gastrointestinal Endoscopic Surgeons) (米国内視鏡外科学会)Distinction Award受賞
2013年9月 日本臨床分子形態学会 安澄記念賞受賞
2014年6月 Excellence in Reviewing 2013, European journal of Surgical Oncology & ELSEVIER
2014年9月 国民健康保険中央会表彰
2015年2月 高知県国民健康保険団体連合会表彰
2015年6月 Outstanding Contribution in Reviewing, European Journal of Surgical Oncology & ELSEVIER

代表論文
1) A feasibility study of sequential paclitaxel and S-1 (PTX/S-1) chemotherapy as postoperative adjuvant chemotherapy for advanced gastric cancer. Kobayashi M, Tsuburaya A, Nagata N, Miyashita Y, Oba K, Sakamoto J. Gastric Cancer 9(2):114-119

2) Pharmacokinetic study of weekly administration dose of paclitaxel in patients with advanced or recurrent gastric cancer in Japan. Kobayashi M, Oba K, Sakamoto J, Kondo K, Nagata N, Okabayashi T, Namikawa T, Hanazaki K. Gastric Cancer 10(1)Feb:52-57.

3) Sequential paclitaxel followed by tegafur and uracil (UFT) or S-1 versus UFT or S-1 monotherapy as adjuvant chemotherapy for T4a/b gastric cancer (SAMIT): a phase 3 factorial randomised controlled trial. Tsuburaya A, Yoshida K, Kobayashi M, Yoshino S, Takahashi M, Takiguchi N, Tanabe K, Takahashi N, Imamura H, Tatsumoto N, Hara A, Nishikawa K, Fukushima R, Nozaki I, Kojima H, Miyashita Y, Oba K, Buyse M, Morita S, Sakamoto J. Lancet Oncol 15(8)Jul:886-893.

   
  研究概要:
 


臨床的意義の高い研究を進めるために
1. 全国臨床試験への参加と結果の公表
2. 本学のデータベースを用いた、治療成績の分析と今後の臨床試験への働きかけ

臨床的な疑問点、例えば「胃癌に対しての治療としてAがよいのかBがよいのか」は適切に行われた臨床試験によって解決されていくことが望まれます。これまでわたしたちは、胃癌や大腸癌に対する手術療法、化学療法に関する全国規模の臨床試験の発案・計画に参加してきました。また、積極的に症例登録を行い基幹施設からの高い評価を得てきました。ガイドラインに掲載されるような結果を残していくことを最終目標にこれからも臨床試験に参加していきます。また、付随試験の解析にも積極的にかかわり、本学が中心となって活動をおこなってきた成果(論文)も出始めています。

一方で、臨床的な疑問点や、解決すべき課題は後ろ向きのデータ解析によって明確になることがあります。本学で行われた治療成績や検査データを解析し、臨床的問題点に対する現時点での答えを見出すことで、今後行われるべき研究の方向性を示していきます。また、これまでに発表された研究成果との比較を行い、より合理的な解釈を与えることによって研究が深化することに役立てます。後ろ向き研究と前向き比較試験は、相互に影響しあう関係にあるという信念のもと、ともに患者さんに役立つ情報を発信していきましょう!


 
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