神経内科グループ
大崎 康史 (助教)
森田 ゆかり (助教)
桑原 朋 (医員)
森 千祥 (医員)
中田 楊子 (医員)
田辺 裕久 (大学院生)
江本 博文 (大学院生)
6年生および研修医を対象に神経内科セミナーを開催します。
「神経内科」って今ひとつわかりにくい、「神経内科」についてもう少し理解を深めたいというみなさん、この機会に参加してみませんか?
神経内科の臨床
神経疾患の年間入院患者総数は130-140名前後で推移しています。内訳としては、パーキンソン病・類縁疾患、末梢神経疾患、脳血管障害、脊髄疾患、筋無力症、代謝性・全身性疾患にともなう神経障害などが多く、高知県内はもとより、愛媛県や徳島県からも患者さんが訪れます。
毎月の平均在院日数は20-40日前後で推移しています。ルーチンの検査としては、年間の電気生理検査のべ数200件前後、IMP脳血流シンチグラフィー50件前後、MIBG心筋シンチグラフィー25件前後、末梢神経・筋肉生検を5-10件前後こなしています。
外来は月・水の週2日ですが、どちらも合計50名程度の予約患者プラス新患患者を診察しています。最近の傾向として、いわゆる難解な症例が増加してきました。入院期間が長くなる理由の一つはここにもあります。神経内科の外来枠の増枠を申請し、また同時により有効な外来運営を考える時期にきています。
神経内科医療の特徴は、障害を持ちながらも経過の長い患者さんがたくさん自宅・地域で生活されていることです。今後は、大学病院で入院歴がある神経疾患の患者さんを、我々の関連病院にお願いして、経過観察や検査目的の入院をさせていただく頻度がますます増加すると思います。病院の医療とは別枠で動いている介護保険をはじめ、地域のサービスを過不足無くうまく利用する必要も生じてきました。そして少しでも幸せな生活を送ってもらえるようにすることが、我々の責務であると考えます。当院の外来のより有効な運営も必要です。他院での治療・ケアの継続を考えても、内科・神経内科的に任せられる医師・病院をたくさん構築してゆく必要があります。この点で、大学病院の神経内科としても、地域の神経難病の治療・ケアのネットワークにもより深く携わってゆきたいと考えます。
病棟・外来スタッフ・ケースワーカー・理学診療部などからの支えとともに、少しずつ前進を続けたいと考えます。
神経内科の教育
OSCEも全国組織として本格的に稼働し始めました。効率的な教育の最終目標の一つは、コモンな神経疾患の診断・治療ができる医師・病院を多数構築してゆくことです。医学教育は、1-4年生の学生講義からOSCE、ベッドサイド実習、6年生講義を経て卒業し、その後の卒後研修に続きます。我々もこれら全ての過程に時間を注いでおり、レベルの高い教育が行えるように工夫されています。本学では、神経内科の学生講義・実習の全てを我々が担当しています。OSCE実技には全員で、学生講義は森田と大崎が担当しています。
病棟回診は月曜日の夜に、また教授回診は木曜日午前です。神経伝導検査や針筋電図検査、磁気刺激検査を火曜日と金曜日の午前中に行っています。脳神経外科との合同カンファレンス、神経・精神科との合同カンファレンスも定期的に行っています。筋肉・末梢神経の病理診断についても、精力的に仕事を行っています。
病棟担当になると常時4-6名の患者さんを受け持ち、回診やカンファレンスでのプレゼンテーションを経験して、神経内科的思考のほかに、一般内科や老年病科の知識を用いて、全人的治療・ケアにたずさわることになります。
毎週水曜日夜には勉強会を行っており、こちらは学術的な色彩が濃く、大学病院外に勤務する先生も参加しています。若い先生は、受け持ち患者とは直接関係はないものの、その過程で勉強したことを発表することが多くなります。上級医は、自身の研究分野に近い論文などを読み、参加者全員で議論を行っています。各種研究会・学会の予行もこの時間に行われ、参加者の能力を高める場になっています。
神経内科の研究
パーキンソン病とその類縁疾患の研究を主に行っています。研究面でのこの1年間の進歩としては、
(1)パーキンソン病とその類縁疾患におけるTinetti gait and balance scaleの論文を発表したこと
(2)パーキンソン類縁疾患におけるTMS検査も更に件数を積んで展望が開けてきたこと
(3)パーキンソン病のSPECTは第二の段階とも言えるフォローアップの段階に入ったこと
(4)パーキンソン類縁疾患・局所性ジストニアに対する反復磁気刺激治療を開始したこと
(5)パーキンソン病と多系統萎縮症の鑑別におけるMIBG心筋シンチグラフィーも件数を積み、結果をまとめる時期に来たこと
(6)須崎福祉保健所管内での、パーキンソン病および類縁疾患の疫学・実態調査が承認され、06年から実際に開始すること
が挙げられます。また、パーキンソン病については、その経過中に発病する認知症にも注目して研究を進めています。
パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺に関する最近の我々の論文もご一読下さい。
一緒に仕事・研究をしてみませんか?
まだまだ少数ではありますが、朝早くから夜遅くまで神経内科の仕事・研究は充実しています。
我々の特徴は、神経内科領域のみでなく、老年病科や一般内科の領域の知識にも長け、包括的・全人的な治療・ケアを行えるところにあると自覚しています。一緒に「研修・仕事」をしてみたい希望のある方、見学希望の方は下記までご一報下さい。
パーキンソン病や神経難病の「研究」に興味のある方も、下記まで連絡をお待ちしております。
連絡先:yosaki@med.kochi-u.ac.jp 大崎 康史 まで
Gregor K Wenning先生講演会 「Multiple System Atrophy --state of the art--」
11/21(月)にGregor K Wenning先生の講演会を本学で開催しました。この直前に東京での講演会に先生が招聘されたのを知り、交渉の結果、先生の初めての来日中の時間を割いて、来高していただきました。
先生とは、私の留学中に共通の上司となったNiall Quinn教授の紹介で知り合った間柄で、今までに2つの論文を発表しています。招聘が決定した後のメールのやりとりで、彼からのメールの一節に「….my mission is MSA.」というくだりがありましたが、まさにその通りのProfessor MSAを高知に招いて講演する機会をもてたことは大変幸せなことでした。当日の講演会は最初から最後まで全て英語で行いました。少しは国際的雰囲気を味わえたのではないでしょうか?
90年代はじめの留学中にMSAに興味を持ち、臨床と病理の対比からはじめて、画像、モデル動物、遺伝から、最近では欧州の多国家・施設共同研究を司る先生の、情熱と自身が得た結果から導き出される結果を拝聴しました。一人の人間として、まさに頭が下がりました、We have learnt all about MSA.
もちろん先生は我々に、高知レベルでも全国レベルでも、いくつかの宿題を提示してゆかれました。これを励みに、更に一層、臨床・教育・研究・対外活動に力を注ぎたいと思います。
この講演会に際してご援助をいただいた(株)ノバルティスファーマに厚く御礼申し上げます。

原著
Morita Y, Osaki Y, Doi Y. Factors associated with falling in patients with Parkinson's disease and atypical parkinsonism: an assessment using Tinetti gait and balance scale. Geriatrics and Gerontology International, in press.
Osaki Y, Morita Y, Fukumoto M, Akagi N, Yoshida S, Doi Y. Three-dimensional stereotactic surface projection SPECT analysis in Parkinson’s disease with and without dementia. Mov Disord 2005:20;999-1005.
Osaki Y, Ben-Shlomo, Lees AJ, Daniel SE, Colosimo C, Wenning G, Quinn N: Accuracy of clinical diagnosis of progressive supranuclear palsy. Mov Disord 2004:19;181-189.
Morris H, Osaki Y, Holton J, Lees AJ, Wood NW, Revesz T, Quinn N: Tau exon 10 +16mutation FTDP-17 presenting clinically as sporadic young onset PSP. Neurology 2003:61;102-104.
Colosimo C, Osaki Y, Vanacore N, Lees AJ: Lack of association between progressive supranuclear palsy arterial hypertension: a clinicopathological study. Mov Disord 2002:18;694-697.
Osaki Y, Ben-Shlomo Y, Wenning K, Daniel S, Hughes A, Lees AJ, Mathias CJ, Quinn N: Do published criteria improve clinical diagnostic accuracy in multiple system atrophy? Neurology 2002:59;1486-1491.
Osaki Y, Matsubayashi K, Yamasaki M,Okumiya K, Yoshimura Ko, Yoshimura Ki, Hamashige N, Doi Y: Daily profile ofpoststroke blood pressure change. Journal of Stroke and CerebrovascularDiseases 2000: 9; 232-237.
総説
大崎康史:脳卒中の患者を受け持ったら 臨床研修プラクテイス 2005:2;54-57.
大崎康史、森田ゆかり、土居義典︰脳血管障害(くも膜下出血など)と虚血性心疾患 日本臨床 2003: 60(supple 5); 888-892.
大崎康史、土居義典︰診療ガイドラインレビュー 1.老年科 日本内科学会雑誌 2002:91;3212-3221.
症例報告
Morita Y, Osaki Y, Doi Y, Forghani B,
Gilden GH: Chronic active VZV infection manifestating as zoster sine herpete,
zoster monoparesis and myelopathy. J Neurol Sci 2003:212:7-9
Osaki Y, Koga M, Matsubayashi K, Yuki N:Asymmetric pharyngeal-brachial-cervical weakness associated with anti-GT1a IgGantibody. Acta Neurol Scand 2002:106;234-235.