医局紹介
   (DOCTOR'S MAGAZINEより転載)


究マインドの大改革に着手
 高知医科大学は1976年10月に開設された比較的新しい大学だ。その中にある脳神経機能統御学教室(2003年4月に「脳神経外科学講座」から改称)は、現在、教室開設以来、最大の改革に着手している。
 改革の旗手は、2000年に同教室に着任した清水惠司教授。清水教授は、着任後、まずは研究施設を充実させるために以前所属していた大阪大学から、それまでに科学研究費等で購入していた総額2,000万円以上の研究設備を同教室に移管した。こういった高額設備の移管は国立大学間ならではと言えよう。そして、研究室内では電気工事や天井の張り替えなどが約1年かけて進められた。この大規模な改装は単に同教室の研究室を充実させるだけでなく、臨床重視だった同教室の方針を、研究重視に大きく転換させることを教室内外に示すものであった。清水教授の思いは、“「Neuroscience(神経科学)」に基づく「Neurosurgeon(脳神経外科医)」の育成”と掲げられた教育方針からも、うかがい知ることができる。
「臨床だけを一生懸命にやっていればいいとか、研究をやっていては臨床ができなくなるなどという人がいますが、私はそうは思わない。“Neuroscience”、つまり研究があってこそ、この2つはつながっているのですから。患者さんに最先端の医療を提供するためには、やはり研究が必要不可欠です。有名大学で開発された手法をまねて臨床に応用するのは可能でしょうが、まねしている段階ですでに一歩遅れた医療になっています。脳神経外科医は、常に先の方向性に意識を向けながら医療行為をし、研究テーマを選択しなければなりません。

教室を大きく発展させるためにも、研究の素養を持った臨床医の育成が大切だと思っています」

室員が望めばなんでもできる環境づくり 
 こうした状況のもと8,000万円近くが投資され、教室の基礎研究設備は「国内でもトップクラス」と自負するまでになった。「残る問題は人員でした。もともとあまり大人数ではなかったので診療教育に教授を含めたスタッフのほとんどを割かざるをえず、研究専任の人員が配置できなかったのです」 とは言え、「人数の余裕ができてからなどと言っていれば、いつになっても研究は充実しない」と、臨床スタッフの人数を削り、昨年4月から研究専任のスタッフを入れた。やがて研究成果があがり始め、徐々に論文も発表されるようになっている。「研究に関しては、教室員が望むのであればどんなことでもできるような体制を整えようと思っています。それにともなって臨床にも投資して充実させるつもりです」 最近、同教室で取り組んでいる研究テーマは、清水教授の専門である悪性グリオーマに対する遺伝子治療や、神経再生医療、脳内免疫応答の解析、ロボット手術など。特に遺伝子治療の研究には、薬学部や工学部出身者がスタッフとして加わるなど、さまざまな知識が集約されている。

さらに、岡崎国立共同研究機構生理学研究所との共同研究も進展し、同教室からは大学院生を1名派遣している。 
研修方法は、以前より2年間のスーパーローテート研修が行われていて、ほとんどの研修医は終了後に関連病院でさらなる切磋琢磨をし、卒業後6〜8年で専門医を取得する。また、同教室では研究重視の方針の一環として大学院進学を推奨。そして、博士号取得後に、国内外の最先端研究施設への留学を積極的にすすめている。「私の“構造改革”は、教室内外から激しい批判や抵抗を呼びました。しかし、全国的に大学制度や医療制度が変わろうとしている今、当教室でもこれまでのルールにとらわれることなく改革を推し進めてきました。来年度には、県内高速道路が拡張整備され、交通の便も良くなり県内外での交流はさらに活発になるでしょう。国による医科大学の再編・統合も迫っているし、大学も旧態依然の体制のままではいられません。まず、この教室を、次に大学を、さらには地元の医療形態を変えるための基盤づくりをしていきたいですね。専門医になり新しい脳神経外科診療をめざす方、従来の病院に飽き足らない人はぜひ当教室に来てほしいと思います」