当科の紹介患者様向け

 耳鼻咽喉科とは

   耳鼻咽喉科は聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚機能や、コミュニケーションに必要な声や言葉、生きる楽しみの一つでもある摂食・嚥下(食べること)などを診療対象とします。すなわち、人が豊かに生きていく上で必要なさまざまな分野の診療を行っています。

 対象となる症状

  • ●耳がきこえにくい
  • ●耳漏が出る
  • ●めまいがする
  • ●顔が曲がった
  • ●鼻水がとまらない
  • ●鼻がつまる
  • ●頻繁に喉が痛くなる
  • ●いびきが大きい
  • ●寝ている時に呼吸が止まると指摘された
  • ●声がかすれる
  • ●食べ物を飲み込みにくい
  • ●首、喉にしこりがある、はれる

 対象となる疾患

  • ●中耳炎
  • ●めまい
  • ●難聴
  • ●顔面神経麻痺
  • ●副鼻腔炎
  • ●扁桃炎
  • ●睡眠時無呼吸症候群
  • ●音声障害
  • ●嚥下障害
  • ●頭頸部腫瘍(口の中やのどのできもの)
  • など

 診療体制

   外来診療は月曜日、水曜日、金曜日の午前中です。また、火曜日には予約制で補聴器外来を行っています。耳鼻咽喉科専門医による診察とともに、頭頸部がん専門医、気管食道専門医など専門性豊かな医師が診療を行っています。 入院は年間約450名で年間約500件の手術を行っています。
   また、地域耳鼻咽喉科医療機関との医療連携も大切にしています。

 診療方針

   患者の状態を的確に判断し、診断治療を行うことが重要で、疾患を総合的に治療するため他の診療科とも協力して診療を進めています。
   患者さんとのコミュニケーションをとり、丁寧な説明、診察を心がけています。

 外来担当一覧

外来担当一覧、専門別外来一覧については、高知大学医学部附属病院HP 耳鼻咽喉科 ページをご覧ください。

 治療  入院して行う治療

耳疾患

   外耳の病気や、難治性の真珠腫性中耳炎のほか、様々な原因による難聴の治療を行っています。

外耳道形成術:

   耳の穴(外耳道)が狭くなるサーファーズイヤーなどに対して、外耳道を広げる手術を行っています。

鼓室形成術:

   慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などに行います。低侵襲な内視鏡下耳科手術も積極的に行っており、痛みが少なく、短期入院手術が可能です。鼓膜形成術は外来手術でも行うことができます。

アブミ骨手術:

   音を伝える骨であるアブミ骨が固着する病気(耳硬化症など)に対してアブミ骨手術を行っています。

補聴器外来:

   内耳性難聴で補聴器の調整が難しい患者さんに対して、専門外来できめ細かい調整を行っています。また、外耳奇形や中耳炎手術後など補聴器装用が困難な患者さんにも、補聴器装用を行っています。

人工内耳埋め込み術:

   成人では中途失聴による高度の内耳性難聴や聾、小児では高度の先天性または後天性感音難聴に対して行っています。術後聴力や幼小児での言語獲得なども良好な成績を得ています。また、先天性難聴に対する遺伝子診断とカウンセリングもあわせて行い、診断の確定に努めています。

めまい

   めまいは、耳が原因で起こる場合と、耳以外が原因(脳腫瘍・脳血管障害・高血圧・心の病気など)で起こる場合があります。当科では、内耳が原因の病気として有名なメニエール病のほか、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎や外リンパ瘻などの診断と治療を行っています。検査ではCCDカメラによる眼振(眼球の異常運動)の観察に加え、様々な内耳平衡機能検査(前庭誘発筋電位、温度眼振検査など)を行ったうえで、めまいの原因と程度に応じた治療法を選択しています。メニエール病の重症例には内リンパ嚢手術も行っています。

顔面神経麻痺、顔面痙攣

   顔面神経は脳から耳の骨の中を通り、顔の筋肉を支配する神経で、この経路の途中で何らかの原因で神経が障害をうけると、顔の動きが悪くなります。これが顔面神経麻痺です。逆に神経が刺激をうけると顔面のけいれんが起こります。耳、耳下腺など耳鼻咽喉科で扱う分野での疾患に関係することが多く、当科では、顔面神経専門外来にて原因精査や治療を行っています。また、顔面神経麻痺後の後遺症や顔面けいれんに対してボツリヌストキシン(ボトックス®)の注入やリハビリテーションによる治療も行っています。

慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、嗅覚障害

   慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)やアレルギー性鼻炎は代表的な鼻の病気ですが、いずれも鼻づまりや鼻汁、嗅覚低下などのため日常生活に大きな支障をきたします。当科ではこれらの疾患に対して薬物治療や手術治療を積極的に行っています。特に、手術治療では内視鏡を用いた低侵襲手術を早くから導入しています。副鼻腔のほとんどの病気に対して内視鏡下に手術を行うことが可能になり、手術後の痛みの軽減や入院期間の短縮などのメリットがあります。また、重症のアレルギー性鼻炎に対しては、内視鏡下に鼻汁分泌を促進する後鼻神経切断術を行い、鼻づまりのみならず、鼻水を減少させることが可能になりました。
   嗅覚障害に対しては、専門外来で基準嗅覚検査やCT、MRIなど画像検査を行い、診断と治療を行っています。

扁桃疾患、睡眠時呼吸障害

   皆さんは扁桃の病気は熱を出すだけだと思われていませんか?扁桃はそれ以外にも腎炎(タンパクや血液などが尿に混じります)や治りにくい蕁麻疹など、多くの病気の原因になります。これらに対して、内科や皮膚科の先生と連携して治療を行っています。
   ご家族の中にいびきがひどい方や睡眠中に呼吸が止まるような症状の方はいらっしゃいませんか?これらは睡眠時呼吸症候群と呼ばれます。中でも小児の睡眠時無呼吸は成長障害にもつながるため、終夜睡眠ポリソムノグラフィーなどの検査を積極的に行っています。当科ではその診断と治療に経験豊富な専門の医師があたっています。

音声障害

   声がでにくい、かすれる、などの声の症状は日常でもよく見られます。声の使い過ぎや無理な発声が原因で起こる声帯ポリープや声帯結節、発声時に声帯がきちんと閉まらない反回神経麻痺や声帯溝症、発声時に声が震える痙攣性発声障害など、様々な病気があります。このような声の障害に対する治療法として手術治療を積極的に行っているほか、薬での治療や音声治療(声のリハビリテーション)も声の障害の原因や程度に応じて選択しています。このうち音声治療は、実際に声帯を患者様と共に観察し、基本的な声の出し方を改善していく方法で、良好な治療成績をあげています。

音声外科疾患、嚥下障害

   音声障害を伴う喉頭疾患に対して、音声を改善する手術を行います。声帯結節、声帯ポリープ、ポリープ様声帯に対しては喉頭微細手術、反回神経麻痺による嗄声に対しては喉頭枠組手術を行っています。嚥下障害に対しては、嚥下機能改善手術や誤嚥防止手術を行います。これらの手術は高知県内のみならず、四国各県の病院からも依頼されています。

頭頸部腫瘍

    頭頸部腫瘍に対しては機能保存治療・手術を基本としていますが、例えば、喉頭の早期癌に対しては放射線、化学療法を行い、音声機能を保存します。放射線治療が困難な場合や進行癌でも、喉頭部分切除を行うことで音声機能を温存できることがあります。また、下咽頭癌や頸部食道癌に対しては、手術で広範囲切除および遊離空腸などの移植による一期的再建を行い、術後治療(放射線療法、化学療法)も行っています。
   当科では放射線科や外科、形成外科などの協力のもと、拡大手術、再建外科、動注化学療法、全身化学療法、放射炎治療などを組み合わせた集学的治療により良好な治療成績と機能温存を図っています。

 当科で行っている先進的医療・特殊治療

耳管開放症の治療

   耳管開放症は、耳とのどを結ぶ「耳管」という管が開きっぱなしになるため、耳がつまった感じがしたり、自分の声が響いたりする病気です。体重減少により起こることが多く、真珠腫性中耳炎の原因にもなります。当科では、耳管機能検査の結果などをもとに診断と治療を行っています。重症の耳管開放症には当院の医療安全管理部門の承認のもとに耳管ピンの挿入も行っています(保険適応外治療)。

内視鏡下耳科手術

   慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎など中耳の病気に対して、西日本でいち早く内視鏡下に行う手術を取り入れました。耳の後ろを大きく切開することがないため、術後の痛みも少なく、短期入院手術が可能となりました。

唾液腺管内視鏡による唾石摘出術

   唾液は耳下腺や顎下腺などで作られ、管(唾液腺管)を通して口の中に唾液が送られます。この唾液腺管は直径1mm強と細く、その中に結石(唾石)ができることがあります。これを唾石症といいますが、これまでは頸部の皮膚を切開して唾液腺を摘出したり、口の中を大きく切開したりして唾石を摘出していました。最近、唾液腺に入れることができる極めて細い内視鏡が開発され、頸部や口の中を大きく切らずに唾石を摘出することが可能になりました。当科では中四国地方の耳鼻咽喉科で最初にこの唾液腺管内視鏡を導入し、低侵襲に唾石の摘出手術や唾液腺の病気の診断を行っています。

音声障害の治療

   声がでにくくなる様々な疾患に対し、声のリハビリや手術を行っています。声のリハビリでは、声帯結節や声帯ポリープ、喉頭肉芽腫、反回神経麻痺などを対象として、耳鼻咽喉科専門医および言語聴覚士が協力して発声指導やリハビリを行っています。手術では、頸部に切開を行わずに行う喉頭微細手術や、喉頭の軟骨に手術操作を加えて声をよくする手術等を行っています。たとえば、大動脈瘤術後や、頸部手術後に起こった反回神経麻痺に対する治療として、声帯内脂肪注入術や声帯内方移動術などを行っており、中四国においても有数の実績を持っています。

嚥下障害に対する集学的治療

   脳血管障害後や神経筋疾患、加齢による嚥下機能低下によって、嚥下障害をきたすことがしばしばあります。食べることは、人が人らしく生きるための大切な行為であり、当科では、嚥下リハビリや手術を組み合わせて嚥下障害治療に取り組んでいます。まず耳鼻咽喉科専門医による嚥下障害評価を行い、言語聴覚士、看護師や栄養士とともに食形態の工夫や嚥下リハビリを行っています。リハビリにても改善しない場合は嚥下機能を改善させる手術や誤嚥による肺炎を防止する手術を行っており、この分野では豊富な経験と実績を有しています。このように嚥下障害の患者さんが食べる喜びを回復したり、ご自宅で元気に生活したりできるようにするための集学的治療に取り組んでいます。

痙攣(けいれん)性発声障害の診断・治療

   痙攣性発声障害とは発声時に声帯の筋肉が突然、断続的に痙攣することで、声が詰まったり、声が途切れ途切れになったり、力んだ発声になったりする病気です。比較的若い女性に多くみられ、仕事や社会生活に支障をきたすことが多いですが、内視鏡検査で声帯には異常がないために診断や治療が難しい病気です。当科では本疾患の診療に力を入れており、全国的な疫学調査や治療法の開発などに取り組んできました。治療では2014年より高知大学が中心となって、海外で標準的治療となっているボツリヌストキシン(ボトックス®)注入療法の治験を行いました。その結果、2018年5月に本治療の保険適応承認が得られることが決まりました。当面、四国で本治療が実施できるのは高知大学医学部附属病院のみになります。また、音声治療や手術治療にも取り組んでいますので、痙攣性発声障害でお困りの方は、当科外来を受診のうえご相談ください。

嗅覚障害に対する嗅覚刺激療法(嗅覚リハビリテーション)

   感冒後嗅覚障害(風邪のウイルスによって風邪が治ったあとも嗅覚障害が残るもの)や中枢性嗅覚障害(頭のけが、または加齢や原因不明のもの)に対する新しい治療法として嗅覚刺激療法を行っています。毎日たべもののにおいを嗅ぐ訓練をすることで、加齢による嗅覚低下も治ることが明らかになりました。高知大学が全国に先駆けて行っているものです。但し、副鼻腔炎や鼻炎が原因の嗅覚障害は対象となりません。