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当科のあいさつ

 新年明けましておめでとうございます。実に時の経つのは早いもので、2007(H19)年に着任して、早くも5年が経ったのか、という感慨めいたものを感じています。昨年は大変な年で、新年気分になれなかった人も多かったのではないでしょうか。でも、私自身も東京で帰宅難民の一人となった、あの3.11東日本大震災からも1年が経とうとしています。のちに、この震災は日本人への罰だという見方も提示されました。現代は他人の迷惑よりも個人的な幸福のみを追求する時代であり、そうした現状に対する神の怒りである、という警告です。

 しかし、そのような事態でも、南三陸町の役場の防災庁舎の中で防災無線を通して、大津波警報を町民に発し続け、やがて10mを超える大津波にのまれて行方不明になった若い女性など、「忘己利他」という言葉を思い出させる出来事が数多く報道されました。この言葉は、「悪事を己に向かえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」という最澄の言葉が由来です。こうした無名の人々や、「絆」という言葉が似合う集団生活の様子など、世界から称賛された日本人のよさは我々の誇りとなりました。その後、我が国の国賓として訪れたブータン国王の国会演説は、袋小路で迷うような閉塞感と無力感に襲われた日本人を強く励ますもので、近年少なくとも国会では聴くことがない、素晴らしいものでした。

 我々も常に忘己利他というわけにはいけませんが、肝心な時には利他の心を生かすことができないのは医師ではないし、日本人とはいえません。「医者は患者のために、教師は学生のために、そして研究者は研究を通じた社会貢献のために存在する」という、不可能に近い3面性を意識しつつ、研究・診療・教育に当医局の皆さんは大いに活躍しています。高知は「志国」土佐であり、志を育む土地柄です。大いなる志をもって、地域の医療、そして血液・呼吸器内科学分野の発展に貢献してまいりたいと存じます。

平成24年2月吉日
横山 彰仁