高知がん治療センター 文字拡大文字標準文字縮小

先進的治療(各科の先進的な治療・手術)

■診療科(部)名 放射線科
■手術・治療名 酵素標的・増感放射線治療

新しい酵素標的・増感放射線療法

いろいろながんに対して、その臓器・組織の形や機能を温存できる治療法である「放射線治療」を受ける患者さんは、近年急激に増加しています。
高知大学医学部附属病院では、従来から最新鋭の放射線治療装置リニアーアクセラレータ(リニアック)および放射線治療計画用コンピュータシステム等の関連機器を装備して、日本放射線腫瘍学会認定医および技師による正確な放射線治療を行ってきました。
しかしながら、リニアックのエックス線や電子線を用いた放射線治療は、大きく育ったがんや悪性黒色腫、種々の肉腫などに効きにくいという欠点があります。
したがって、これを解決するためには、数百億円という巨額の費用をかけて重粒子線治療装置を設置するかあるいは放射線治療の効果をアップさせるための「放射線増感剤」を開発する必要があります。重粒子線治療については、すでに千葉県の放射線医学総合研究所や兵庫県播磨の粒子線医療センターで治療が開始されていますが、遠方である上に、健康保険適用分以外に300万円を支払う必要があります。その上、四国では重粒子線治療装置の建設計画は未だありません。
そのような状況の中で高知大学医学部独自の研究から生まれたのが、この「新しい酵素標的・増感放射線療法」です。

酵素標的・増感放射線療法とは

通常、がんは大きくなる程、内部のがん細胞は変性し酸素欠乏の状態となり、多量の抗酸化酵素(ペルオキシダーゼ/カタラーゼ)を含む状態となります。これが、リニアックのエックス線や電子線の効果を約3分の1にまで低下させます。これは、放射線の効果のもととなるラジカルが消去されるためであり、効果をフルに発揮させるためには、がんの部位に酸素を供給するとともに抗酸化酵素を不活性化させることが必要となります。
「抗酸化酵素を不活性かさせると同時に酸素を発生させる薬剤はないか」と私たちが長年研究から見いだしたのが「過酸化水素」です。この約3%水溶液は「過酸化水素水」であり、これは皆さんご存知の皮膚等の殺菌剤である「オキシドール」です。すなわち、この「酵素標的・増感放射線療法」ではオキシドールをベースとして放射線増感剤として用いるわけです。

酵素標的・増感放射線療法タイプI(KORTUC I)とは

これは、進行した皮膚がんなど表面に露出した病巣に対して、放射線治療のたびごとに幹部をオキシドールを浸したガーゼで覆って治療を行うものです。特に大きな副作用もなく安全に行えます。

酵素標的・増感放射線療法タイプII(KORTUC II)とは

これは、表面に露出していないがんに対して、オキシドールを注射すると急速に酸素が発生し痛みがあるため、ヒアルロン酸を混ぜることにより穏やかに酸素を発生させ痛みを軽くするように工夫した注射剤を使うものです。週に1〜2回の割合で、超音波検査で観察しながら的確に患部に薬剤を注入します。現在のところ、対象となるがんは、皮膚や骨・軟部組織の進行がん、高齢者の乳がんや手術を希望されない乳がんの方に行っており、良好な治療効果をあげています。なお、この治療に伴う余分な経済的負担をおかけすることはありません。また、肝臓や膵臓などの内臓の進行がんの患者さんにつきましては、倫理委員会の承認を得るためにあと半年ほどお待ち下さい。
この治療について、詳しくお尋ねになりたい方は、附属病院放射線科外来(月〜金曜日)の小川、西岡、刈谷までお問い合わせ下さい。なお、電話でもお気軽にご相談下さい。
(平日の午前9時〜午後5時 TEL.088-880-2367)

新しい増感・放射線治療前・あとのPET画像(上左図は治療前で矢印が病巣{転移リンパ節}、上右図は治療後で病巣はほぼ消失)


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