前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

早発閉経について

 早発閉経は43歳未満で閉経することと日本産科婦人科学会では定義されている。早発閉経は、卵子が枯渇し排卵しなくなるため不妊となり、さらにエストロゲン欠乏による様々な症状が出現する。不妊治療を希望して受診する患者の中に早発閉経と診断されるケースもあり、治療に抵抗性であることが問題となっている。
 海外での報告では、20歳、30歳、40歳でそれぞれ0.01%、0.1%、1%の頻度といわれている。
 原因は染色体異常や遺伝子異常、自己免疫疾患によって起こる事もあるが、原因不明であることがほとんどである。また両側卵巣摘出後や化学療法や放射線療法といった癌治療後も医原性の早発閉経を起こす。
 早発閉経の症状としては、無月経と更年期障害である。更年期障害としては、hot flash(のぼせ、ほてり)、睡眠障害や腟乾燥感、記銘力低下などを認める症例もある。またエストロゲン欠乏が長期になると骨炎量の低下や高脂血症、動脈硬化が認められる。排卵障害が起こるため不妊を訴える症例もある。
 挙時希望がない場合は、ホルモン補充療法(HRT)を行う。通常の閉経では、更年期症状などが特に問題にならなければHRTは不要と考えられるが、早発閉経の場合は、骨粗鬆症の頻度が高いことや、60歳代での冠動脈疾患での死亡率が高いことが言われており、更年期症状の有無によらずHRTの適応となる。HRTは基本的に50歳頃まで継続することが多いが、何歳まで続ければいいのかはっきりした基準はない。
 一方で早発閉経に対する不妊治療の成功例は少なく、挙児希望がある場合は治療に難渋することが多い。ホルモン補充療法によりホルモンバランスを整えることでまれに排卵が見られる症例もあるが、排卵誘発剤を使用することもある。早発閉経の場合、自己の卵子で妊娠することが難しく、卵子提供が選択肢の一つとなるが、国内では学会が認めておらず、一般的な治療には至っていない。近年、卵胞活性化療法という新しい不妊治療法が開発され、早発閉経の患者が自己の卵子で妊娠したという報告もあり、治療成績の安定や普及が望まれる。


◎ 著者プロフィール
氏名:都築 たまみ(ツヅキ タマミ)
所属:高知大学医学部附属病院 産科婦人科
役職:医師 

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る