前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

妊娠とウィルス感染

 妊娠すると免疫系が変化し、ウィルス感染しやすくなる。妊娠中に注意が必要なウィルス感染3つについて詳しく説明します。
 インフルエンザウィルス・風疹ウィルス・ヘルペスウィルス
(インフルエンザウィルス)
 主に12−3月にかけて蔓延し症状は高熱、頭痛、関節痛、倦怠感などの全身の症状が強く、2-3日後に鼻汁や咳が出現し一週間の経過で症状は軽くなるのが特徴的です。診断は、鼻腔ぬぐい液により判断することが可能です。
 妊娠中でもインフルエンザウィルスのワクチン接種は問題なく行えます。母体および胎児への危険性は全妊娠期間を通じて極めて低く、摂取することを推奨しています。また、インフルエンザワクチンは妊娠4ヶ月頃までに摂取すれば、赤ちゃんが生まれて半年間はインフルエンザウィルスにかかりにくくなると報告されています。
 しかし、予防接種をしてもインフルエンザウィルスに感染する場合もあります。妊娠中、授乳中に感染した場合は、タミフル・リレンザといった抗インフルエンザウィルス薬を内服することで重症化を防げます。
(風疹ウィルス)
 別名三日麻疹とも言われる感染症です。アメリカを含め複数国では風疹の根絶には成功しており、日本は2020年度までに風疹の排除を達成することを目標に掲げています。
症状は発疹、発熱、リンパ節腫脹で妊娠20週までに初めて風疹に罹患すると、赤ちゃんへの影響が出る場合があります。感染により、赤ちゃんの眼、心臓、耳に影響を及ぼす場合があります。妊娠初期に色々な感染症のチェックを行います、この時風疹抗体が低いかどうかがわかります。風疹ウィルスはワクチン接種により予防可能です。学校で定期接種が行われていましたが、制度変更などにより女性では1996-1978年生まれ、男性では20歳以上が免疫の低い世代と言われています。分娩後にワクチン接種を忘れずに行ってください。
(ヘルペスウィルス)
 口唇ヘルペスと同様の発疹が外陰部にできます。強い痛みを伴い、歩けなるなる方あもいますが、一週間で自然に治ります。分娩時に発疹があると赤ちゃんに感染する場合もあるため、速やかな抗ウィルス薬による治療が必要です。出現の時期によっては帝王切開術が必要となる場合があります。新生児ヘルペスは発症すると死亡する確率が高いため、外陰部病変がある場合はすぐに医師に申し出てください。

 いずれも、妊娠中に感染したからといって必ず赤ちゃんに影響が起こるものではありません。正しい知識を持って予防できるものもあります。家族の協力も必要ですのでご家族で一度確認されてください。


◎ 著者プロフィール
氏名:森田 聡美(モリタ サトミ)
所属:高知大学医学部附属病院 産科婦人科
役職:医師 

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る