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コラム -医療情報提供-

身近な関節炎~痛風など~

 痛風は、尿酸の結晶が関節に沈着して起こる関節炎である。足の親指や足首などに好発し、関節が赤く腫れ、激しい痛みを伴う。ある日突然起こり、1~2週間で自然に治まることもあるが、無治療の場合は再発率が高く、次第に慢性化していく怖い病気である。
 日本で痛風が増えたのは1960年代以降で、2004年の調査では、「痛風で通院中」と答えた人は全国で87万4000人にも上った。ホルモンの関係から、痛風は圧倒的に男性に多い疾患である。 尿酸は、細胞の新陳代謝やエネルギーの消費によってできる老廃物である。尿酸のもとはプリン体という物質で、細胞や食品中に含まれている。私たちの体内では、毎日プリン体から尿酸が作られ、腎臓から尿に溶けて排泄されていく。

 血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症といい、日本の成人男性の4~5人に1人が該当する。放っておくと、尿酸の結晶が関節だけでなく、腎臓に沈着して腎障害などを引き起こす。耳や足の親指、肘などに痛風結節という尿酸の塊を作ることもある。高尿酸血症の原因は、生まれつきの体質に加え、肥満、飲み過ぎ、食べ過ぎ、またストレスなど生活習慣が関係している。

 痛風の診断には、特徴的症状、高尿酸血症の既往、関節液中の尿酸の結晶の同定が重要である。近年、関節超音波検査が痛風の診断に有用とされている。

 痛風関節炎の治療では、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、副腎皮質ステロイドを発作の時期に応じて使い分ける。前兆期には、コルヒチン1錠を内服する。痛みの最も強い極期には、NSAIDを短期間のみ比較的多量に投与して鎮静化させる方法があるが、副腎皮質ステロイドも有効な薬剤である。禁酒も必要である。

 痛風の既往のある人は、再発予防のため尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが望ましい。尿酸値を下げるには、生活習慣を改善することが最も大切である。食事療法、飲酒制限、運動療法が中心となり、肥満の解消は尿酸値を下げる効果が期待できる。食事療法では、エネルギー摂取量の制限が必要である。また、プリン体を多く含む肉類・内臓類、魚介類の摂り過ぎは控える。尿酸を排泄するため、十分な水分摂取も勧められる。
 尿酸値への影響を最低限に保つアルコールの目安量は、1日あたり日本酒1合、ビール500ml、またはウィルキー60ml程度である。過度な運動、無酸素運動は尿酸値の上昇を招くため避けるべきである。適正な体重(BMI<25)を目標にして、週3回程度、ウォーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を行うと良い。 生活習慣を見直しても高尿酸血症が改善しない場合は、薬物治療を行う。尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬があり、患者さんごとの病態、腎機能などにより使い分ける。薬をやめると尿酸値がもとに戻ってしまうので、根気よく内服を続けることが大切である。


◎ 著者プロフィール
氏名:西川 浩文(ニシカワ ヒロフミ)
所属:高知大学医学部附属病院 内分泌代謝・腎臓内科
役職:医員

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