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コラム -医療情報提供-

糖尿病と心臓病の関係

 現在、糖尿病は世界規模で増加傾向にあり、なかでも日本において、糖尿病の患者さんが飛躍的に増加しています。消費カロリーが増えた以上に、生活習慣の変化で脂肪摂取割合が大きくなり、さらに身体活動量が減ったことが大きな要因と考えられています。糖尿病は、慢性的に高血糖(血液中のブドウ糖の濃度が高い状態)がつづく病気です。血糖値のコントロールに最も重要な役割を果たすインスリンの分泌が悪くなったり、インスリンの働きが鈍くなったりすると、ブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなり、血糖値が高くなっていきます。
 糖尿病は様々な合併症を引き起こします。狭心症、心筋梗塞や心不全といった心臓病、脳梗塞や末梢動脈疾患などの血管病、眼、腎臓、末梢神経障害などの毛細血管障害があります。いずれも、生命予後やQOL(生活の質)が不良となり、大きな問題となります。狭心症や心筋梗塞は、心臓の栄養を与える冠動脈の動脈硬化がすすみ血管の内腔が狭くなったり閉塞したりし、最終的に心臓の筋肉が壊死します。心筋梗塞を発症した人の半分以上に糖尿病を合併しているとの報告もあり、両者は非常に深い関係があります。糖尿病になると、冠動脈の動脈硬化がすすみ狭心症や心筋梗塞を引き起こします。心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。糖尿病があると、糖尿病がない人に比べて、男性で約2倍、女性で約4倍、心不全をきたしやすいとされています。糖尿病が、自律神経やホルモンに影響したり、炎症を誘発したりするとされています。また、心臓を収縮させるATPというエネルギー源の産生低下をきたしたり、活性酸素が増加したりし、心臓の細胞を傷つけます。糖尿病には症状がないことが多く、怖いのは症状がないまま、感覚がないまま心臓病が進行し、合併症が引き起こされることです。
 糖尿病の治療は、食事、運動と薬です。なかでも要となるのが食事療法です。
 基本的には、
  ①身長と普段の活動量できまる適正なカロリーをとる
  ②必要な栄養素をバランスよくとる
  ③塩分のとり過ぎに注意する
  ④間食をしない                ―です。
 適切な食事療法を実現するには、病院の専門医や臨床栄養士から説明を受けて実行することが大切です。仮に自分が糖尿病や予備軍と言われたら、心臓病がないかどうかのチェックを受けましょう。


◎ 著者プロフィール
氏名:馬場 裕一(ババ ユウイチ)
所属:高知大学医学部附属病院 循環器内科
役職:助教

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