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コラム -医療情報提供-

子どもの脱水

 はじめに、子どもと大人における体の水分バランスの違い、そして尿量の調節能力の違いについてお話しします。
 1つ目の違いは、体重に占める水分量の違いです。大人の体重に占める水分の量は6割、少ない方だと5割程度です。一方、生まれたばかりの赤ちゃんは体重の7割が水分です。
 2つ目の違いは水分の必要量の違いです。体の水分バランスは毎日上手に調節されています。腎臓で作られる尿以外にも呼吸や汗、便などによっても毎日無意識に水分が失われます。尿以外に失われる水分量は、乳幼児は大人の4倍にもなると言われています。3歳ごろまでその量は失われる水分量の3分の2を占めます。
 また、子ども特に乳幼児は腎臓で尿を濃くする能力が低いことがあります。
 このようなことから、子どもは大人よりも体重あたり多くの水分摂取を必要とし、体の水分バランスを崩すと容易に脱水をきたしやすいのです。
 子どもはかぜによくかかります。発熱による発汗や呼吸器感染症に伴う多呼吸によっても水分の喪失が起こります。嘔吐下痢症によって脱水がひどくなることもあります。また、夏は冬に比べると発汗による不感蒸泄も多くなり、水分を失いやすくなります。このような時に十分な水分摂取ができないと脱水症になってしまいます。
 脱水症になると、尿量が減る、元気がなくなる、顔色が悪くなる、体重が減る、唇や口の中が乾燥する、泣いても涙が出なくなる、皮膚の張りがなくなる、などの症状が重症度に応じてみられます。
 脱水という言葉からは、単に体の水が足りなくなる、ということを想像しがちですが、そうではありません。ナトリウムやカリウムなどの電解質・酸・アルカリバランスの異常、また、血圧や血糖値の異常、腎不全などを伴うこともあります。
 上記の理由で水分補給は単に水やお茶さえ摂れていれば良いというわけではありません。WHOで推奨されている経口補水液は糖分や塩分も含まれており、湯冷まし1Lに砂糖大さじ4杯40g、食塩小さじ2分の1杯3gを加えたもので、家庭でも簡単に作成できます。飲みやすいように柑橘系果汁を少量加えることもあります。市販の経口補水液も有用です。スポーツ飲料はこれらの補水液とは組成が異なり、水や電解質のバランスを崩してしまう可能性があり、これさえ飲んでいれば大丈夫、というわけではありません。
 吐き気や嘔吐がある場合には、水分の摂り方も大切です。水分は少しずつ頻回に摂取するのが基本です。家での対応にも関わらず、脱水症状の悪化や進行がみられる場合には、医療機関を受診することをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:石原 正行(イシハラ マサユキ)
所属:高知大学医学部附属病院 小児科
役職:助教

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