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コラム -医療情報提供-

ブラキシズムについて

 ブラキシズムとは「歯ぎしり」のことで、あごを動かすいくつかの筋肉が何らかの理由で異常に緊張し、食べ物を食べるときとは異なる異常な動きをし、上下の歯を接触させることをいいます。近年、このブラキシズムが、自分自身の歯や歯ぐき、さらには、あごの関節に悪影響を及ぼすことが明らかとなってきました。

 ブラキシズムの原因は解明されていませんが、遺伝、ストレス、中枢・自律神経系の異常な活動などの様々な原因によって生じると考えられています。かつては、歯並びや残っている歯の数がブラキシズムと関係していると考えられていましたが、現在は否定的で、歯が一本もない人でもブラキシズムをしますし、歯周病とも関係はないとされています。

 ブラキシズムは歯に悪影響を及ぼし、歯を移動、摩耗、破折させたり、さらに、歯と歯茎の境のところの歯質が破損・剥離し、楔状にへこむ、楔状欠損を生じさせます。その結果、歯並びが悪くなったり、知覚過敏が生じたり、歯髄炎といって歯がズキズキ痛むようになったりします。
 このように、ブラキシズムにより歯に強い力がかかりますので、歯だけではなく歯を支えている歯槽骨の吸収が進み、その結果、歯周病があればそれが増悪し、歯がグラグラしてきますし、金属冠や義歯が入っているような場合には、それらが壊れてしまったりします。さらに、あごの関節にも強い力がかかるため、顎関節症といって口が開かなくなったり、物を咬むときにあごの関節が痛くなったり、あごを動かす咀嚼筋が痛くなったり、ひどい場合には、頭痛、特に緊張型頭痛が起こることもあります。

 ブラキシズムの診断は通常患者さんの自己申告、家族・友人の指摘、口腔内外の症状によって診断します。口腔内外の症状としては、歯の異常な摩耗・動揺、咀嚼筋の圧痛、ほっぺたの部分の咬筋という筋肉の肥大などを挙げることができます。

 ブラキシズムをしなくする方法は現在のところありませんので、一般的な治療法としてはスプリント(夜間に装着するものはナイトガードとも言います)と呼ばれるマウスピースのような装置を口腔内に装着して行ないます。これをはめると噛む力が分散されるので、歯、歯周組織、顎関節に対する負担が軽減されます。
 これ以外にストレスを無くすることや起きているときに意識してブラキシズムをやめるようにすることも重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 哲也(ヤマモト テツヤ)
所属:高知大学医学部 歯科口腔外科
役職:教授

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