前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

大腸がん検診について

 がんの死亡率を下げるためには生活習慣の改善、検診の拡充、治療法の発展の3つの柱が重要です。2つ目の検診の拡充という点では、がん検診を普及させていくことが大切になります。
 これまでの研究によって、胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がんの5つは、それぞれ特定の方法で行う検診を受けることによって死亡率が低下することが科学的に証明されています。

 大腸がんの一次検診では、便潜血検査だけが科学的に有効であると証明された方法です。 大腸がん検診の対象者は40歳以上で受診間隔は年に1度です。検診を受けられる場所は市町村や職場が実施する集団の検診に参加するか、病院や人間ドックに個人で申し込みます。検診の結果は2週間ほどで文書にて通知されます。
 大腸のがんの組織はもろいため、便が大腸を通過する際の刺激によって容易に出血します。この出血を検査する方法が便潜血検査です。便の表面をこすり取って採取する棒状の部分と、便を保管する容器が一体化した検査キットを使用します。検査のために薬を飲んだり、食事を制限したりする必要はありません。

 過去の大腸がん検診のデータでは、便潜血検査を1万人が行うと620人が一次検診で「異常あり」と判定されます。大腸カメラなどの二次検査を受ける人は、620人から200人減った420人でその中から16人のがんが見つかります。一次検診である便潜血検査で「異常あり」と判定されても、それが直接がんに結びつくわけではないことがお判り頂けると思います。

 また、検診で1回「異常なし」であったからといって安心というわけではありません。検診で発見された大腸がんの方々の受診歴を見ると、初回検診で見つかった人が約35%、昨年は「異常なし」であったのに今年は「異常あり」となってがんが見つかった人が約45%でした。このため毎年検診を受けることが大切です。

 検診で発見される大腸がんは早期の段階で発見される可能性が高く、治療すればほぼ治癒が可能です。また約半分の方が内視鏡での治療だけですんでいます。
 日本のがん検診の受診率は20%強ですが、アメリカやイギリスは約70%の受診率です。大腸がんは死因は上位ですが比較的治りやすい病気で、しかも早期に発見されると完治が望めます。国や高知県としてはがん検診の受診率を高める政策が必要ですが、高知家の一員である皆さんも自分の健康を守るために検診のことを気にとめて下さい。


◎ 著者プロフィール
氏名:岡本 健(オカモト ケン)
所属:高知大学医学部医療学(医療管理学分野)
役職:講師

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る