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コラム -医療情報提供-

DMAT

 DMATは「災害時派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)」の略です。DMATは多数の負傷者が一度に発生する大事故や大規模災害に際して、発生直後から現場や被災地域などに駆けつけて医療救護活動を行う医療チームで、専門的な教育を受け継続的な訓練も行っています。
 1995年1月の阪神淡路大震災の経験から、「日本DMAT」が2005年に発足しました。現在全国で1200チーム以上あり、まだまだ増えています。東日本大震災では全国から383チーム(1856人)が参加しました。これとは別に、「都道府県DMAT(ローカルDMAT)」というものもあります。2004年に「東京DMAT」が発足したのが最初です。高知県内には、日本DMATが28チーム、高知県内だけで活動できるローカルDMATが27チーム、合わせて55チームあります。

 DMATの構成は、医師1名、看護師2名、業務調整員1名の4名が基本です。業務調整員はロジ担当員とも言い、連絡や業務調整などの重要な役割(ロジスティクス)を担当し、事務系の病院職員や薬剤師、放射線技師などの医療職が担います。DMATは様々な医療資機材を持参しますが、地震などの広域大規模災害では衛星携帯電話などの通信機器のほか隊員の食料や寝袋なども持参します。

 DMATの役割は大きく2つあります。
 ひとつめは被災地域や災害現場での医療活動です。地震などの広域大規模災害では病院も被災して被災地内の医療提供能力が低下しますので、DMATが病院支援を行います。同時に、現場での医療活動(いわゆる「がれきの下の医療」)も必要に応じて行います。また、東日本大震災では病院避難(入院患者の搬出)や避難所の巡回診療も行いました。
 2つめの役割は、重症の負傷者を被災地外に搬出して根本治療を行うという「広域医療搬送」です。東日本大震災では19名が自衛隊機で羽田や千歳に搬送されました。阪神淡路大震災当時はこのようなシステムがなく、「防ぎえた災害死」が500人程度あったと推計されています。

 南海トラフ巨大地震に際しても広域医療搬送は重要です。高知県では、高知大学医学部と宿毛市総合運動公園(幡多けんみん病院)に広域医療搬送のための臨時拠点(Staging Care Unit ;SCU)を設置する計画です。高知県だけでも東日本大震災の10倍以上の需要があるとも想定され、十分な対応が危惧されます。
 広域医療搬送計画は現在国(内閣府)において見直しが行われていますが、DMATだけでなく全ての医療従事者や個々の県民が医療救護にそれぞれの役割を果たしていくことが求められています。


◎ 著者プロフィール
氏名:長野 修(ナガノ オサム)
所属:高知大学医学部 災害・救急医療学
役職:教授

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