前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

顎関節症とその治療

・顎関節症とは?
  物を噛んだり口を開け閉めする際に、顎の関節や周りの筋肉に痛みを感じたり、カクカクと音がするといった症状を呈する疾患です。3大症状は顎関節痛・開口障害・関節雑音で、このうち1つ以上の症状があり、その他の疾患の可能性がない病態を「顎関節症」と呼びます。
  基本的には放置することで自然に治ることが多いですが、痛みなどが日常生活に支障をきたすようであれば治療が必要です。

・原因は?
  顎関節症は様々な要因が複雑に絡まり合って発症し、直接的には、歯ぎしり、頬杖、悪い姿勢、異常な咬み合わせなどですが、ストレスや疲労などの生活背景も原因となります。
  また最近、「不必要に上下の歯を接触させる癖(TCH: Tooth contacting habit)」も注目されています。本来、何もしていない時は上下の歯は接触しておらず、接触するのは食事や会話の際の少しの時間だけです。しかし、何もしていない時でも常に上下の歯を接触させ、常に噛みしめているという状態となると、顎や筋肉に負担がかり、これが顎関節症の原因となることもわかってきています。

・治療は?
  大切なことは顎関節とその周囲への負担を取ることで、90%以上はこれで改善します。治療としては、まず、消炎鎮痛薬やマウスピース(スプリント)の使用、開口訓練といった保存的治療を行います。薬で炎症を鎮め、スプリントを歯列全体にかぶせ、噛みしめても顎関節に負担がかからないようにします。日中は意識できますが、就寝時は難しいため、スプリントは就寝時に装着します。
  また、先ほど述べたようなTCHがある人にはそれを認識してもらい、意識的にやめる努力をしてもらいます。その他、固い物を避けたり、姿勢を改善したり、生活習慣を改善してもらいます。これらの治療で改善しなかったり顎関節の骨自体に問題があったりするときは手術をしたり、炎症がひどいときは注射で関節の中を洗い潤滑剤を注入することも非常にまれですがあります。

・最後に・・・
  顎関節症を含め、歯や頭頸部などが痛む疾患は、口腔顔面痛と総称されます。顎関節症やむし歯、歯周病は歯科医師の治療のみで改善しますが、痛みが変わらず続く場合は他の病気も疑われます。脳腫瘍や三叉(さんさ)神経痛、心臓病などが潜んでいる場合もあり、他科と連携し診断・治療をする必要があります。気になる方は早めの受診を心がけて下さい。


◎ 著者プロフィール
氏名:仙頭 慎哉(セントウ シンヤ)
所属:高知大学医学部 歯科口腔外科
役職:医員

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る