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コラム -医療情報提供-

肺年齢について

 肺年齢とは、スパイロメトリーという呼吸機能検査で測定される「一秒量」(一秒間に吐ける息の量)と、「一秒率」(息全体のうち最初の一秒間に吐いた息の量の割合)、さらにその人の「年齢」、「身長」をもとに計算される指標です。

 呼吸器疾患、特にCOPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)は喫煙が主な原因で、肺の生活習慣病とも言われ、肺への空気の通りが慢性的に悪くなり、ゆっくりと進行していく病気ですが、症状が出た時には病状が進行していることが多く、初期の患者では症状を自覚していないケースもあります。また呼吸機能検査の結果は一般の方には解釈が難しく、実感がわきにくいものです。そこで「年齢」という身近な指標を用いて、同性・同年代の人と比較して自分の呼吸機能(肺の健康状態)がどの程度にあるのかを知り、肺の健康意識を高めて、呼吸器疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的として、2007年に日本呼吸器学会が肺年齢を開発しました。

 肺年齢を調べるには、医療機関を受診してスパイロメトリーを受けることが必要です。スパイロメトリーとは、肺がどのくらいの量の空気を吸い込むことができるか、どのくらいの速さで吐き出すことができるかを調べる呼吸機能検査です。
 肺年齢に応じて、肺の状態は「異常なし」、「境界領域」、「肺疾患の疑い(要精密検査)」、「COPDの疑い(要経過観察/生活改善)」、「COPDの疑い(要医療/精密検査)」の5つのグループに分類されます。肺年齢に対応したスパイロメトリー検査機器では、各自にお渡しする検査結果報告書に、自動的に計算された肺年齢とともに、それぞれのグループに対応した評価コメントも同時に表示されます。肺年齢だけを見て一喜一憂することなく、評価コメントと一緒に理解することが大切です。

 肺年齢が実年齢より若い場合は、呼吸機能が同性同年代の方に比べて優れているといえます。しかし加齢により呼吸機能は衰えますので、肺年齢を定期的に測り、肺の健康維持に役立てることが大事です。
 肺年齢が実年齢以上で、「肺疾患の疑い」や「COPDの疑い」とコメントされた方は、医師による精密な検査が必要ですので、できるだけ早く医療機関を受診していただかなくてはなりません。

 肺年齢は若返らすことが可能で、そのためには、まず禁煙が何よりも大切です。たばこを吸わない方でも、加齢とともに呼吸機能はゆるやかに低下していきますが、長期間にわたる喫煙は呼吸機能の低下をより急速に早めていきます。禁煙して適切な治療を受ければ、病気の進行を遅らせ、息切れなどの症状を軽くすることができます。
 さらに適度な運動によって呼吸筋を鍛えれば、呼吸機能の維持・改善に効果があり、肺年齢は若返ります。ただし、すでに咳・痰・息切れなどの症状が少しでもある方は、医療機関を受診した上で、主治医の先生の指導のもとに運動を行う必要があります。また、日頃の食事からの十分な栄養や、規則正しい生活で十分な睡眠を取ることも大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:宮本 真太郎(ミヤモト シンタロウ)
所属:高知大学医学部 血液・呼吸器内科
役職:助教

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