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コラム -医療情報提供-

意外と怖い過敏性肺臓炎

 過敏性肺炎は間質性肺炎のひとつで、有機物や無機物などを抗原としたアレルギー性の疾患です。この肺炎は抗原ごとに季節性があり、夏から秋にかけて発症する夏型過敏性肺炎や、冬に発症する加湿器肺や羽毛布団肺があります。
 ただし、原因抗原の特定が難しいことも多々あり、自宅環境や職場環境を詳細に調査することが重要となります。

 過敏性肺炎は2種類に分類することができます。急性過敏性肺炎と慢性過敏性肺炎です。
 急性過敏性肺炎は抗原暴露から数時間後に発熱や呼吸困難、咳が出現します。血液検査では、KL-6という間質性肺炎のマーカーが上昇し、肺機能検査では、肺活量が低下します。胸部レントゲンやCTなど画像検査では、粒状の影やスリガラス状の影が左右の肺全体に広がっています。
 抗原から離れることで症状は改善しますが、中には酸素投与が必要な呼吸不全に陥ることもあります。
 慢性過敏性肺炎は、すぐには重篤な症状が出現しないため、患者さんは気がつかないまま長期間にわたって抗原を吸入し、肺が全体的に線維化、つまり固くなっていく病気です。

 過敏性肺炎の原因となる抗原として代表的なものをこれから挙げていきます。まずは自宅で暴露するカビ、トリコスポロンです。風呂場の脱衣所や台所、雨漏りした天井裏などにいます。夏型過敏性肺炎の原因と言われ、急性過敏性肺炎の7割以上を占めます。
 次に鳥です。鳥の排泄物や羽毛は抗原となります。鳥を飼育していたり、鶏糞肥料を使用していたり、羽毛布団を使用していれば、過敏性肺炎を発症することがあります。慢性過敏性肺炎の約5割はこの鳥関連であるとされています。
 その他にも、酪農作業や加湿器使用、キノコ栽培、自動車塗装など、様々な環境での抗原暴露が報告されており、診察する医師は、患者さんの生活にこれら抗原への暴露がないかを詳しく聞き出す必要があります。

 治療の基本は、抗原回避です。
 入院治療のため、自宅から離れて生活するだけでも症状が改善することが多々あります。その間に抗原の除去(カビの除去や羽毛布団の破棄など)を行います。
 薬物治療としては、ステロイドがあります。急性、慢性どちらにも効果を発揮しますが、慢性過敏性肺炎の中には抗原暴露の期間が長く、線維化が進行してしまっているものもあり、ステロイドのみでは不十分な症例もあります。その場合は、免疫抑制剤を追加したり、在宅酸素を導入したりします。


◎ 著者プロフィール
氏名:穴吹 和貴(アナブキ カズキ)
所属:高知大学医学部 血液・呼吸器内科
役職:医員

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