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コラム -医療情報提供-

皮膚は内臓をうつす鏡である

 皮膚科では、皮膚の場で直接、間接的に表現された体内に内在する疾患を見ることができます。皮膚症状を膠原病あるいは血管炎と診断した場合、内蔵臓器における同じ病態の有無を精査します。皮膚症状から想定する内臓病変が悪性腫瘍である症例を時に経験します。

 内臓悪性腫瘍が皮膚に表現されるものとして、
 1)内蔵悪性腫瘍が直接皮膚に浸潤、転移する場合
 2)内蔵悪性腫瘍を生じやすい遺伝性皮膚疾患の一症状として出現する場合
 3)発ガン物質暴露によって皮膚がんと内臓悪性腫瘍が出現する場合
 4)非特異的な皮膚症状、腫瘍随伴性皮膚病変を示す場合
の4つの病態があります。内臓悪性腫瘍を合併する非特異的な皮膚症状を呈す疾患群は、「内臓悪性腫瘍のデルマドローム」という言葉で総括されます。

 国内外の多くの症例の蓄積のもとに、現在、「内臓悪性腫瘍のデルマドローム」として、約40種類の皮膚疾患が知られており、皮膚筋炎、腫瘍随伴性天疱瘡、黒色表皮腫、Bazex症候群、丘疹紅皮症(太藤病)が含まれています。

 皮膚科では、これらの疾患と診断した場合には、内臓悪性腫瘍を検索します。これらの疾患の中には、皮膚筋炎のように診断後、直ちに悪性腫瘍の検索をする疾患群、あるいは、遷延する経過中に、悪性腫瘍の存在を疑い検索する疾患が含まれます。また、湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹などのcommon diseaseも内臓悪性腫瘍のデルマドロームとして表現される場合があり、難治性遷延する皮膚症状が有る場合は、常に内臓疾患の存在を考える必要があります。

 治りにくい皮膚症状が続く場合は、皮膚科専門医を受診していただき、適切な精査、治療を受けていただきたいと思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:中島 喜美子(ナカジマ キミコ)
所属:高知大学医学部 皮膚科
役職:講師

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