前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

非結核性抗酸菌症ってどんな病気?

 非結核性抗酸菌症は、最近、特に中高年女性に多く広まっている感染症です。この病気を起こす菌は抗酸菌という菌で、抗酸菌の中には結核菌も含まれます。

 結核菌は環境中にいない菌で、ヒトからヒトへうつることから、診断されたら必ず治療が必要です。
 それに比べて非結核性抗酸菌は環境中によく見つかる菌で、150菌種以上もあります。温水、土壌中に生息しヒトに感染すると考えられますが、基本的にヒトからヒトへはうつりません。一番よくみつかる菌がマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)という菌です。
 初期では無症状のことが多く、進行してくると咳、痰、血痰、息切れなどの呼吸器症状や、発熱、体重減少などの全身症状が出現します。

 検査では、胸部レントゲンや胸部CT検査で肺に多発する粒状影、空洞影、気管支拡張などの異常陰影がないか調べます。また、痰の中に菌が含まれないか、培養検査で調べます。
 痰を簡単に出せない人では気管支鏡を使い、この病気が疑われている病巣から材料をとってきて菌をみつけるという方法をとることもあります。培養で菌が見つからないこともあり、菌の遺伝子を検出するPCRという方法もよく行います。

 非結核性抗酸菌症のうちMAC菌が原因と診断された場合、治療薬としてクラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの3剤を長期間内服する必要があります。注射薬のストレプトマイシンを併用することもあります。ただし、この病気自体は非常にゆっくりとした進行で、ヒトからヒトへはうつらず、すべての患者さん、特にご高齢の患者さんで多剤併用療法を必ずしなければならないというわけではなく、様々な判断があり得ます。

 治療には副作用がでる恐れもあります。エタンブトールによる視神経障害や、ストレプトマイシンによるふらつきや聴力障害など、注意が必要です。
 また、非結核性抗酸菌の生息場所として温水、土壌がありますので、お風呂やシャワーヘッドなどを清潔に保つことも重要になってきます。
 体の抵抗力を維持することも大切です。不規則な生活を避け、充分な休養をとり、バランスのよい食生活を心掛けてください。

 この病気は完全に治すことが難しく、長く付き合う必要があります。自覚症状が無いまま悪化する場合もあるので症状がなくても通院し、最低でも数ヶ月から半年に1度は受診を続けることが大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:河瀬 成穂(カワセ シゲオ)
所属:高知大学医学部 血液・呼吸器内科
役職:助教

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る