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コラム -医療情報提供-

膝の痛み

 【変形性膝関節症】
 膝に痛みを抱えている人はわが国で800万人以上いるといわれており、年齢が高くなるにつれてその数は増えていきます。中高年の膝の痛みの原因として最も多い関節疾患が「変形性膝関節症」です。
 変形性膝関節症では軟骨がすり減って関節の動きが悪くなり、軟骨の下の骨への負荷が増えて関節は変形します。初期の症状は動き始めの痛みで、やがて坂道は階段の上り下りがつらくなり、正座ができなくなって和式の生活が困難になります。

 【膝痛の治療】
 肥満や筋力低下を伴うと重症化しやすいため、適正な体重管理や筋力を維持することが重要です。生活の見直しも重要です。和式の生活や階段の上り下りは膝への負担が大きく、症状を悪化させます。
 変形性膝関節症の治療の基本は、運動療法です。膝の痛みを感じた場合は、ついつい使い過ぎと思いこんで安静にしがちですが、活動量を極端に落とさないことが重要です。これまでに行っていた散歩やスポーツをすると痛くて続けられない場合は、運動の種類を変えて、例えばエアロバイクを使ったり、プールで水中ウォークをしたりして活動量を維持するとよいでしょう。
 また、膝がぐらつかないように太ももの前の筋肉を鍛える訓練が必要です。寝た状態でまっすぐにした脚を上にあげて5秒間数えます。これを20回繰り返します。
 こういった取り組みをしても改善しない場合は、薬の治療を行います。内服薬やシップには炎症を鎮め、痛みを和らげる作用があります。また関節の中に注射で薬をいれる治療法もよく行われ、ヒアルロン酸と呼ばれる関節の潤滑剤を注入します。

 【手術】
 手術には矯正骨切り手術と人工関節手術があります。壮年初老期などで比較的活動性が高く、O脚変形で膝の一部の軟骨だけがすり減っている場合には、矯正骨切り手術が適応になります。うまくいくと軽い運動や仕事ができ、もともと正座ができる方は正座も可能になることが多い治療法です。
 人工関節手術は60歳台以後で一般に行われ、正座は通常不可能ですが、痛みを取り除く効果に優れた治療法です。どちらの手術も一長一短あり、それぞれの患者さんに適しているかどうか主治医とよく相談することが重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:池内 昌彦(イケウチ マサヒコ)
所属:高知大学医学部 整形外科
役職:教授

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