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コラム -医療情報提供-

放射線被ばくとガン(福島原発事故の被ばくや汚染による発癌について)

 東日本大震災による福島原発事故以降、全国的に被ばくや汚染に対する関心が高まっています。放射線の被ばくや汚染により、チェルノブイリの事故の様に子供がガンになるのではないか、と心配している人が多いと思います。

 まず、どれぐらい被ばくするとガンになるのでしょうか?
 自然放射線の被ばくを除いて、一年間で100mSv(ミリシーベルト)被ばくをすると、ガンの発生が0.5%高くなるとされています。なお、ガンは被ばくしなくても自然に発生し、日本人は約30%の人がガンで亡くなります。もし1000人に人が100mSvの被ばくをした場合を考えます。約30%の300人が自然発生のガンで死亡し、0.5%のわずかに5人が被ばくによって死亡するということになります。

 福島原発事故で原発の近くに住んでいる人で100mSvに達する被ばくをした人はいません。原発事故の後、政府は被ばくが多くなる地域は立ち入り禁止にしています。

 しかし、ソ連のチェルノブイリの事故では、近くに住んでいた子供の甲状腺ガンが実際に増えました。その原因は、放射性ヨウ素に汚染されたミルクを飲んで、大量に内部被ばくをしたためです。
 放射性ヨウ素による子供の甲状腺ガンは、1,000人の子どもが甲状腺に100mSv被ばくしたとき、1,000人中2人が発症する程度と試算されています。チェルノブイリの場合は、調査によると最低でも200mSv以上、6歳までの子どもに限ると平均なんと3,796mSvの大量の被ばくの報告があったそうです。

 福島原発事故の場合は、最も汚染が多かった地域の約1000人の子供の甲状腺の被ばくを調べると、100mSvを超える被ばくをした子供はいませんでした。チェルノブイリに比べると甲状腺の被ばくははるかに少ないため甲状腺ガンが増えることはないと思われていますが、線量がどれくらい高くなれば甲状腺ガンが増えるかについてはまだよく分かっていません。そのため、福島県では子どもの甲状腺の検査が継続的に実施されています。

 今回紹介した内容は、放医研のホームページに「放射線被ばくに関するQ&A」として全て記載されており、キーワードを検索すると誰でも参照できます。福島原発事故に関連する放射線の被ばくや汚染や人体への影響に関する疑問が全て答えられていますので、興味のある方は是非ご覧になって下さい。電話相談の窓口もあります。


◎ 著者プロフィール
氏名:田村 泰治(タムラ タイジ)
所属:高知大学医学部附属病院 放射線科
役職:助教

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