前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

百日咳(菌)について

 百日咳は百日咳菌が感染して起こる急性の呼吸器感染症です。百日咳菌は人が宿主なので他の動物から感染することはありません。ただ、最近は百日咳の原因菌にホルメシイ菌という新しい細菌の関与が報告され注意が必要です。感染経路は百日咳にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶき(飛沫)に含まれる菌を吸い込むことです。ですから、手洗いやうがい、そして咳エチケットは重要な感染予防対策となります。また、咳エチケットは百日咳に限らず多くの感染対策にも有効で、手軽な方法ですから是非実施して欲しいと思います。

 百日咳は潜伏期間、カタル期、痙咳(けいがい)期、回復期とあります。カタル期は咳、くしゃみ、鼻水を中心とした風邪症状で百日咳とは判断できません。その後の痙咳期(けいがい)になると特有の咳症状がでてきます。

  1. 突発的な連続した咳
  2. 吐き気・嘔吐を伴う咳
  3. 咳き込んだ後の大きく息を吸い込むときに「ウ~、ヒュ~」という口笛のような音
  4. 激しい咳による肋骨骨折
   などが認められ回復していきます。

 小児、特に低年齢(新生児や乳幼児)では、特有な咳症状に加えて無呼吸発作、肺炎、脳症などが出現し重症化あるいは死に至ることもありますので注意が必要です。多くの成人百日咳は特有の咳症状はなく軽症で回復します。しかし、この軽症が問題で罹っていることが分からない人も多く、そのため適切な処置が遅れ、子供への感染事例や集団感染へ発展することがあります。実際に成人の百日咳集団感染は増加しています。典型的な咳症状のない成人百日咳の診断はかなり困難で確定には遺伝子検査が一番ですが、現在では保険適応も無く限られた医療機関でしか実施されていません。

 治療は抗菌薬を使用し症状に応じては咳を抑える対症療法も行います。今のところ薬剤耐性百日咳菌の報告はありませんので十分に治療できます。百日咳は通年認めますが特にこれからの時期(4~8月)は百日咳の流行期になりますので、軽い咳でも1週間以上も長引いている場合は百日咳も考えて早めに医療機関を受診して下さい。

 今後は百日咳の予防接種が見直される可能性がありますが、暫く時間がかかりそうです。咳エチケットの実践など良識や社会道徳に基づく行動をお願いします。


◎ 著者プロフィール
氏名:竹内 啓晃(タケウチ ヒロアキ)
所属:高知大学医学部附属病院検査部
役職:講師

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る