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コラム -医療情報提供-

異物誤飲

 子どもが、飲み込むと危険なものを誤って飲み込んだ場合を誤飲といいます。

 乳幼児は手にふれるもの、口に入るものは、すべて誤飲する可能性があります。大人の目撃なく発生することが多いため、外来では「○○を飲んでしまったかもしれない」というような相談にしばしば遭遇します。 誤飲物は多いですが、特に緊急に摘出しなければならないような要注意な固形物を飲み込んだ場合について説明したいと思います。

 1)咽頭異物・・・飲み込んだものがある程度の大きさがあり、のどにひっかかったものです。
 よだれ、のみこみにくさ、嘔吐、経口摂取不良などの症状が現れます。放置すると気道に落ちて窒息を起こしたり、分泌物の誤嚥によって肺炎や呼吸障害を生じたりする危険性もあり、ただちに緊急摘出を考慮する必要があります。

 2)食道異物・・・飲み込んだものが食道にひっかかったものです。
 食道の細くなっている部分に停滞することが多く、嚥下障害や嘔吐、経口摂取不良、胸痛を生じます。嘔吐・経口摂取不良に伴う脱水や、粘膜を傷つけることによって食道穿孔や縦隔炎をきたす危険性があり、緊急摘出の適応となります。

 3)危険異物・・・先端の鋭利なものや長径6cm以上の大きい(長い)もの、粘膜を傷つける可能性のあるものを指します。
 消化管の粘膜が傷ついたり、穴があいたり、膿を作ったり、閉塞したりする危険性が高く、停滞部位や症状の有無にかかわらず緊急摘出を考慮します。これ以外は基本的に安全異物として扱いますが、例外として小さく丸い磁石でも複数同時に誤飲した場合には、互いの磁力でひきつけあって腸管壁損傷を生じることがあるため、緊急摘出を考慮します。

 4)ボタン電池・・・ボタン電池は、食道内に停滞するものについては放電によって粘膜を傷つけ、食道穿孔・縦隔炎に発展する危険性が高く、食道異物に準じて緊急摘出を考慮します。

 平成20年の厚生労働省の統計によると4歳未満の子どもの不慮の事故による死亡の中で窒息は30%以上を占め、交通事故、溺死をしのいで最も多くなっています。乳幼児の誤嚥・誤飲はしばしば大人の目撃なく発生することがあり、乳幼児が自らその事実を伝えることは少ないのですが、他の病気とは比べられないようないろいろな症状が現れます。このため、確かに誤嚥・誤飲したかどうかはっきり分からなくても、突然生じた、あるいは長期にわたって持続する呼吸器症状や消化器症状が現れる小児では、つねに誤嚥・誤飲の可能性を念頭において、受診するようになさってください。


◎ 著者プロフィール
氏名:玉城 渉(タマキ ワタル)
所属:高知大学医学部附属病院周産母子センター
役職:助教

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