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コラム -医療情報提供-

胃粘膜下腫瘍について

 胃粘膜下腫瘍とは、腫瘍が正常な粘膜に覆われるために盛り上がっているように見えるもので、胃の表面に腫瘍の一部が顔を出している場合もあります。ほとんどは無症状で、内視鏡検査例の約3%に胃粘膜下腫瘍が診断されます。治療不要な良性病変から命に関わる悪性病変まで様々ですが、特にある遺伝子変異が陽性のものを「消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor:GIST)」と呼びます。

 腫瘍が粘膜の下に存在しているため、通常の内視鏡検査では見ることができませんが、超音波内視鏡を用いると断面図を見ることができます。さらに、超音波内視鏡で位置を確認しながら腫瘍に針を刺して細胞を採取するEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺生検法)では、細胞レベルで診断を行うことができます。CT検査やMRI検査でも内部の性状や腫瘍の広がりを調べることができるので、検査を組み合わせ総合的に診断します。

 腫瘍の大きさや症状の有無によって治療方針を考えますが、悪性であると考えられる場合には手術を行うことがあります。また、EUS-FNAでGISTが確認された場合には手術が強く推奨されます。GISTは胃癌と違ってリンパ節に転移しにくいため、腫瘍の周囲だけを切除する局所切除術が主流です。本院では、根治性と患者さんの身体への負担の軽減を最優先に考え、腹腔鏡下手術を積極的に行っています。

 腹腔鏡下胃局所切除は、一般に行われる胃局所切除を腹腔鏡によって行います。腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS)は、腹腔鏡で手術をすると同時に、口からの内視鏡で胃の中からも腫瘍を観察・切除する方法です。胃粘膜下腫瘍は胃の内外に出っ張っている場合があるので、中と外の両側から見ることでより正確に切除することができます。また、切除範囲が最低限で済むので、手術後の胃の変形も最小限となり、機能をほとんど損なわない手術が可能です。

 胃粘膜下腫瘍は治療の必要のないものから、切除や薬物療法が必要なものまで多種多様です。治療が必要かどうか、必要な場合はどんな治療を行うのか、納得いくまで説明を受けていただきたいと思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:並川 努(ナミカワ ツトム)
所属:高知大学医学部附属病院 外科(一)
役職:講師

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