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コラム -医療情報提供-

腎がんについて

 ご存知のように、腎臓は血液をろ過して尿として老廃物を体外に出す臓器です。その他にも、血圧やミネラルの調節、血液や骨を作るためにも役立っています。
 この腎臓にできる悪性腫瘍を総称して「腎がん」と呼んでいます。決して多くはない病気ですが、この数年で診療内容、特にその治療方法が大きく変わってきたがんの一つです。

 治療法の第一選択は、手術です。「全摘除術」といって片方の腎臓をすべて摘除する方法と、「部分切除術」といって、腫瘍だけを切り取り、正常の腎臓はできるだけ残す方法があります。
 一般的には、大きな腎がんには全摘除術が、小さな腎がんには部分切除術が推奨されています。最近では、どちらの手術方法も腹腔鏡で行われることが多くなってきています。
 特に、部分切除術においては、2016年の4月からロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術、いわゆるダビンチ手術も行うことが可能となっています。ただし、がんの大きさ以外にも、部位や性状、技術的な難易度を考慮して手術方法が選択されます。

 一方で、手術が選択できないこともあります。そのような場合でも腫瘍に針を刺し、超低温で瞬時に凍らせる「凍結療法」という治療法があります。
 多くの場合、体表から針を刺しますので、局所麻酔のみで行うことができます。強い痛みを伴わずに、何度でも繰り返し行うことができる利点もあります。

 最後に、進行した段階で病気が見つかり、手術や凍結療法だけでは病気が制御できない場合があります。その際は、薬を使った全身療法が主体となります。
 現在、6種類の有効な治療薬が使えるようになっています。多くは飲み薬であり、外来での通院治療が可能です。これらの薬のおかげで、進行した状況であってもこれまでの余命をほぼ倍に延ばすことができるようになっています。

 今回ご紹介した治療法はいずれも、健康保険が適用される標準治療として受けることができるものばかりです。専門医と相談する際は、患者さん自身も標準治療を知っておくことで、より良い医療を受けることができます。


◎ 著者プロフィール
氏名:辛島 尚(カラシマ ナオシ)
所属:高知大学医学部附属病院 泌尿器科
役職:講師

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