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コラム -医療情報提供-

花粉皮膚炎について

 花粉症はスギなどの花粉により、鼻炎や結膜炎、咽頭炎などをおこします。戦後の復興事業として植林されたスギが大量の花粉を飛散させるようになり、スギ花粉症が急激に増えました。スギの他にカモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギなども花粉症の原因になります。
 スギ花粉は2月から4月にかけて、カモガヤは5月から7月、ブタクサやヨモギは8月から10月というように、1年を通して色々な植物の花粉が飛んでいます。

 花粉が皮膚に接触することによって生じる皮膚炎を花粉皮膚炎と呼んでいます。花粉皮膚炎は春先に生じ、他の季節には生じないこと、顔・まぶた・首など露出している部位にでやすいのが特徴です。境界のはっきりした赤みの強い、少し盛り上がった赤い発疹が花粉皮膚炎に特徴的です。
 このような発疹以外にも小さなぶつぶつが広がる場合や、まぶたや頬が全体的に赤くなる場合もあります。元々アトピー性皮膚炎をもっている方の場合、花粉によって顔や首の皮膚炎が悪化しやすく、全身の皮膚炎が悪化することもあります。

 花粉皮膚炎では、血液検査で花粉に対する抗体が陽性になりますが、鼻や眼の症状しかでない花粉症でも抗体は陽性です。
 皮膚に小さな傷をつけ、そこにスギ花粉の液を垂らして密封し、赤くなるかどうかをみるスクラッチパッチテストという方法がスギ花粉皮膚炎では陽性率が高く、診断に有用な方法です。

 花粉皮膚炎の治療は、通常の接触皮膚炎の治療と同様に、ステロイド剤の外用、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬など痒みを抑える薬剤を内服します。
 また、できる限り花粉と接触しないよう予防することも重要です。外出時はマスク、帽子、めがねを着用し、花粉を屋内に持ち込まないために、帰宅時に上着についた花粉をよく払ってから家に入ると良いでしょう。
 直接肌に触れる衣服は室内干しをおすすめします。露出部位には保湿剤外用や化粧により皮膚に直接花粉が付着するのを防ぐことができます。
 皮膚の最外層である角層には異物の侵入を阻止するバリア機能が備わっています。皮膚を過度に洗浄するとバリアが壊れてしまい、皮膚に花粉が侵入しやすくなります。普段から保湿をして角層を整えておくことが重要です。

 花粉皮膚炎によく似た症状であっても、花粉以外の接触源を原因とする皮膚炎のことがあります。点眼薬、化粧品、洗顔石けん、毛染めなど、顔に触れるものを中止して症状が良くなるかどうかを確認することが大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 真有子(ヤマモト マユコ)
所属:高知大学医学部附属病院 皮膚科
役職:助教

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