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コラム -医療情報提供-

血管腫・血管奇形について

 血管腫・血管奇形は比較的珍しい病気で、どちらも異常な血管の塊のことを指します。

 血管腫は血管の良性腫瘍です。最も多いのは乳児血管腫で、苺のような赤い塊に見えます。生後数週で出現したあと急に大きくなりますが、90%以上は7歳頃までに消えてしまうため、治療を必要としない場合が多いです。

 一方、血管奇形には静脈奇形、リンパ管奇形、毛細血管奇形、動静脈奇形などがあります。皮膚、皮下脂肪、筋肉、骨などに発生し、特に思春期・妊娠・外傷などをきっかけに悪化しやすくなります。

 静脈奇形は静脈が多数の袋状に異常発育したもので、体の表面にできた場合は青紫の結節に見え、深部にできた場合は患部の腫れで確認できます。大きくなると、痛み・出血・周辺の臓器障害などが起こります。
 何らかの症状や美容的な問題がある場合に治療を行います。主な治療法は切除と硬化療法であり、硬化療法は、細い針を直接患部に刺して硬化剤を注入します。
 手術の場合は広範囲を治療できますが、重い機能障害が残ってしまうことがあります。一方で硬化療法では治療できる範囲は狭いですが、繰り返し行うことができます。
 患部が限られている場合にはどちらの治療も効果的ですが、症状が残ったり、再発したりすることも多い病気です。

 リンパ管奇形は、リンパ管が多数の袋状に異常発育したもので、暗紫色や褐色の小さい水泡が集まっているように見えます。炎症によって変色したり、リンパ液や血液が漏れたりすることがあります。治療は、硬化療法や切除などを組み合わせて行います。

 毛細血管奇形は、いわゆる「赤あざ」で、皮膚で拡張した毛細血管の集まりです。治療法はレーザーですが、完全に治るのは数割程度といわれています。

 動静脈奇形は、通常は動脈と静脈の間にあるべき毛細血管がなく、代わりにナイダスという異常短絡が存在するものを言います。このため動脈血が多量に静脈に流れてしまいます。皮膚の赤みや熱感から始まり、腫れ、続いて疼痛、潰瘍、出血などが出てくるのが特徴で、心不全に至ることもあります。
 治療法は血管塞栓術や切除術です。塞栓術では、鼠径部などの動脈や静脈からカテーテルを入れ、異常短絡部を塞栓物質で詰める場合や、異常短絡路を直接刺して詰める場合などがあります。患部が限られている場合は根治も望めますが、広く浸潤するものなどは難治性となってしまいます。

 いずれも良性の病気ですが、完治せず治療に難渋することが少なくありません。初期に適切な診断を行い、長期的な治療計画を立てることが重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:吉松 梨香(ヨシマツ リカ)
所属:高知大学医学部附属病院 放射線部
役職:助教

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