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コラム -医療情報提供-

子どもの気管支ぜんそくについて

 気管支喘息とは、特に息を吐くときに、ヒューヒュー、ゼーゼーと音をたてて呼吸が苦しくなる病気です。しかし、これらの音は聞こえない時もあるので注意です。

 気管支喘息発作を引き起こすものは、ダニや毛の生えたペット、ゴキブリなどのアレルゲン、かぜ、たばこや花火のけむり、運動、気温の変動などがあります。運動をしてはならないのではなく、適切に運動を続けて体を鍛える必要があります。
 喘息を悪化させるダニはコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニといって、血を吸うようなダニではありません。これらそのものではなく、その死骸や糞を吸い込んで発作が起きます。ダニの大きさはおよそ0.3mmですので、糞や死骸は、ほこりとして舞っています。掃除をしっかり行い、ふとんにも掃除機掛けを週に1回は行ってください。
 また、ダニは乾燥を嫌いますので、湿度を50%程度に維持してください。あまり下がりすぎると風邪をひきやすくなり、高くなるとダニが増えます。

 喘息の症状である呼吸困難やヒューヒュー、ゼーゼーという音が出るのは気管支の狭窄によるものです。狭窄は、気管支をとりまく筋肉の収縮、気管支の粘膜の腫れ、痰の貯留の3つで起きます。狭窄が強ければ、その分、苦しくなります。
 喘息に似た病気はいくつかあるため、専門病院でしっかり検査を行わないといけないことがあります。

 重症度は、簡単に言えば、喘息発作の頻度で決まります。本当に軽いのは年に数回、軽いヒューヒュー、ゼーゼーがある程度です。重い子は、毎日発作があります。喘息の重症度が分からずに治療薬は決まりませんので、できれば喘息日誌をつけて、主治医の先生に見せるようにしてください。
 ヒューヒュー、ゼーゼーしても苦しくない小発作から、横になることすらできない大発作など、発作の強度は小・中・大にわかれます。呼吸困難があるときには、自宅で発作の薬を使って改善しなければ病院を受診しなければなりません。かかりつけをもち、発作時の対応の仕方、入院を必要とするときの病院のかかり方を相談しておいてください。

 喘息の治療薬は大きく2つに分かれます。予防の薬と発作を抑える薬です。
 発作を抑える薬は、気管支拡張薬で、気管支をとりまく筋肉を緩める作用があります。
 一方、予防薬には、吸入ステロイド薬やロイコトリエンというものを抑える薬などの薬があります。これらの予防薬は、気管支の粘膜の腫れをとる薬でしばらく続けなければなりません。また、吸入ステロイドは、適切な手技でやらないと意味がありません。
 たとえば、小さい子どもさんがネブライザーなどにマスクを使用するとき、マスクをしっかり顔に密着しなければなりません。なかなか言うことを聞いてくれない小さなこどもは大変です。ついつい、保護者の方は顔がこわばるかもしれませんが、しかると逆効果です。褒めることを忘れないでください。
 発作がないときの保護者は、忙しく、子供にかまってられないことがあります。しかし、発作が起きるとかまいだして、入院したらおもちゃを買ったり、漫画を買ったりすると、こどもは元気な時より発作の方が良いと感じ、治そうとしなくなります。元気な時こそよくかまってあげてください。
 喘息の治療は、ついつい保護者と医師の関係のみで決めてしまいがちですが、幼児でも少しずつ話をしていけば、喘息について少しは分かるようになり、学童低学年、高学年となるにつれ、喘息とはどんなものか分かってきます。思春期を迎えて、はい、これからは自分でしてねという、いきなりのバトンタッチではうまく管理できません。

小児気管支喘息の需要な目標は、ほかの元気なこどもと同じように行事に参加でき、遊べて、勉強もできることです。そのうえで、薬が不要になり、治癒になっていくことを目標にしなければなりません。
 小児の喘息は、成長すると治ると言われていて、楽観視している方もいるかと思われますが、それは間違いです。小児の喘息で治るのは半分で、あとは成人に持ちこすか、大人になってまた再燃するかです。また、喘息で亡くなる方もいますので注意してください。


◎ 著者プロフィール
氏名:大石 拓(オオイシ タク)
所属:高知大学医学部 小児科
役職:助教

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