前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

子どもの中耳炎

 急性中耳炎とは、鼓膜の奥にある中耳に細菌やウイルスが入り、急性の炎症がおきて膿(うみ)がたまる病気です。
 鼻やのどの炎症が耳管を通って中耳に入ると、中耳の粘膜に急激な炎症をひきおこします。特に子どもの耳管は太く短いため、中耳炎にかかりやすいといわれています。
 症状は、ずきずきするはげしい耳の痛み、発熱、耳だれ、耳のつまる感じなどですが、乳児では機嫌が悪くぐずったり、しきりに耳に手をやったりすることがあります。
 適切な抗生物質の使用、鼻やのどの炎症の治療で通常は2、3週間以内には軽快しますが、最近、急性中耳炎を短期間の間に繰り返す、子どもの反復性中耳炎が問題となっています。

 反復性中耳炎とは、半年のあいだに3回以上、あるいは1年以内に4回以上、急性中耳炎にかかるものをいいます。
 反復する理由としては、耐性菌の出現、低年齢で中耳炎にかかる、早期からの集団保育などがあげられます。急性中耳炎を引き起こす原因菌の多くは、鼻やのどの炎症を引き起こす肺炎球菌とインフルエンザ菌です。
 これらの細菌の一部は、一般的な抗生剤に対して抵抗力を身につけ耐性を獲得してしまい、完全に消失させることができなくなります。そのため鼻やのどの炎症がいつまでも残り、中耳炎を反復する原因となるのです。

 特に、2歳以下で初めて中耳炎にかかった場合は、反復しやすいといわれています。生後6ヵ月ごろまでは母体より移行した免疫が備わっていますが、その後、母体の免疫が低下してから2歳頃までは免疫機能が十分でなく、中耳炎を反復しやすいと考えられます。
 また、1-2歳などの乳幼児期に集団保育に関わると、さまざまな細菌、ウイルスなどと接触する機会が増えるため、中耳炎にかかりやすくなります。

 反復性中耳炎の治療は、基本的には急性中耳炎の治療と同じです。鼻やのど、あるいは耳だれなどから原因菌を調べて、一般的に有効な抗生物質を投与します。あわせて上気道炎の治療、鼻の処置など急性炎症に対する適切な治療もおこないます。
 耐性菌の場合は、新たに開発された有効な抗生物質に変更して治療します。それでも症状が軽快しない場合は鼓膜切開をおこない、中耳にたまった膿を排出して治療します。
 反復性中耳炎では切開を繰り返す場合もあるため、小さなチューブを鼓膜に留置しておくと、中耳炎を繰り返す頻度が低下することが報告されています。


◎ 著者プロフィール
氏名:松本 宗一(マツモト シュウイチ)
所属:高知大学医学部 耳鼻咽喉科
役職:助教

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る