前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

声嗄れから始まるのど以外の病気

 声嗄(が)れとは声がかすれることであり、喉にできる病気以外にも様々な原因によって起こります。

 まず、声が出る仕組みについてです。
 喉仏のあたりには『声帯』と呼ばれる左右一対の柔らかいヒダがあり、これが開くことで息を吸いこむことができます。そして声帯を閉め、その隙間から息を吐くことにより声帯がブルブルと振動し、声のもとになる音が作られます。
 その振動が規則正しければきれいな声が出ますが、隙間から息が多く漏れてしまったり、声帯がむくんだり硬くなったりすると振動が悪くなり、声嗄れが起こります。

 声嗄れはのど以外に原因があることも少なくありません。
 例えば甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンが不足することで全身の代謝が落ちる病気で、症状の一つにむくみがありますが、声帯のヒダもむくんで重くなるため低いガラガラ声になることがあります。
 他にも、逆流性食道炎がある人は胃酸が喉まで逆流し、声帯が炎症を起こして声が嗄れることがあります。また、体力が落ちて息を吐く力が弱くなるだけでもしっかりと安定した息を吐くことができなくなり、声がかすれることがあります。

 反回神経麻痺も重要な病気です。
 声帯を動かす神経が麻痺すると、声帯が丁度良い位置で閉まらなくなるために隙間ができて息が漏れます。反回神経は脳から声帯に到達するまでに首を下り、胸へと回り道をしているため、その途中に病気があると神経が障害されることがあります。食道のすぐ隣を反回神経が走っているため、食道癌によって声が嗄れることがあります。
 また、胸のリンパ節に食道癌や肺癌、乳癌などが転移しておこることもあります。他にも喉頭癌や下咽頭癌、甲状腺癌などが挙げられます。
 甲状腺にできる腫瘍は癌以外にも良性腫瘍が多くあり、良性でも稀に声嗄れの原因になることがあります。また、首にもリンパ組織が多くあり、癌が転移して首のリンパ節が腫れることにより反回神経麻痺がおこることがあります。

 このように色々な病気がありますが、中でも特に注意が必要なのはタバコをよく吸う人、お酒を沢山飲む人です。どちらも食道癌、咽頭癌、肺癌を始めとした様々な癌になる危険性を高めることが知られています。さらにお酒を飲みながらタバコを吸うと、より食道癌や咽頭癌になる危険性が高まります。
 もしも大酒家、喫煙者の方で治らない声嗄れを自覚している方がおられましたら、一度耳鼻科を受診していただくことをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:長尾 明日香(ナガオ アスカ)
所属:高知大学医学部 耳鼻咽喉科
役職:助教

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る