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コラム -医療情報提供-

女性に多い甲状腺の病気

 甲状腺とは、体に必要不可欠な甲状腺ホルモンを作っている臓器で、喉仏の下あたりにあります。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促す働きがあり、子どもの場合には成長を促す働きもあります。

 甲状腺が病気になる場合は大きく分けて2つあり、1つは甲状腺ホルモンの働きに異常が出る場合、もう1つは甲状腺に腫瘍が出来る場合です。

 まずホルモンの働きに異常が出る場合、ホルモンが増加する場合と不足する場合があります。増加する病気(甲状腺機能亢進(こうしん)症)としてバセドウ病があり、不足する病気(甲状腺機能低下症)は慢性甲状腺炎(橋本病)があります。

 バセドウ病は、女性1000人に対し5人程度と女性にとても多い病気です。症状は動悸、手が震える、疲れやすい、多汗、食欲があるのに体重が減る、無月経、イライラするなどでうつ病や更年期障害と甲状腺の病気は非常に似た症状を示す事が多いので注意が必要です。
 診断には採血検査が必要です。治療方法は主にアイソトープ療法という放射線物質を飲んで治す方法と、手術療法、内服療法があります。
 アイソトープは放射性ヨウ素の入ったカプセルを服用するだけで傷や痛みの心配はありません。薬よりも短期間で、また手術よりも負担が少なく効果が得られるのが特徴です。

 一方、ホルモンが不足する慢性甲状腺炎も女性に多く、その症状は疲れやすい、体重増加、便秘、脱毛、低体温などです。治療は甲状腺ホルモンが合成された薬を内服します。

 次に甲状腺にできる腫瘍についてですが、他の臓器と同じように悪性のもの、良性のものの2種類あります。検査としては超音波検査を受けることになります。
 超音波検査の結果、悪性の疑いがある場合は大きくならないか定期的な観察を行うか、甲状腺に針をさして行う甲状腺吸引細胞診というものを行います。

 腫瘍の種類で最も多いのは腺腫様甲状腺腫と呼ばれる良性腫瘍です。こちらは特に治療を必要とせず経過観察します。
 悪性の腫瘍は数種類ありますが、甲状腺癌の9割を占めるのは乳頭癌と呼ばれるものです。ほとんどの甲状腺腫瘍では女性に多いことが知られています。悪性が疑われた場合は診断をつけるためには甲状腺吸引細胞診が必要となってきます。超音波で腫瘍の場所を確認しながら針をさして細胞を取る検査です。
 いずれの検査および治療方法でも主治医の先生とよく相談して選ぶ事が必要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:岡﨑 瑞穂(オカザキ ミズホ)
所属:高知大学医学部附属病院 検査部
役職:助教

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