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コラム -医療情報提供-

更年期障害

 日本産科婦人科学会は、「閉経の前後5年間を閉経期といい、この期間に現れる多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更年期症状と呼び、これらの症状の中で日常生活に支障を来す病態を更年期障害とする」と定義されています。

 更年期障害の主な原因は、
① エストロゲンの低下に伴う内分泌的変化
② 社会的な環境因子
③ 精神的・心理的な要因 で、これらの要因が複合的に影響することにより更年期症状が発現すると考えられています。
 閉経年齢は、平均49.5歳とされていますが、40歳前半から60歳近くまで幅広く存在しています。

 更年期症状は、自律神経失調症状、精神的症状、その他の3種類に分けられます。
 自律神経失調症状としては、顔のほてり、のぼせ、異常発汗、動悸、めまいなどがあります。
 精神的症状としては、情緒不安、いらいら、抑うつ気分、不安感、不眠、頭が重い感じなどが挙げられます。
 その他の症状としては、腰痛、関節痛などの運動器症状、吐き気、食欲不振などの消化器症状、乾燥感、かゆみなどの皮膚粘膜症状および排尿障害、頻尿、性交障害、外陰部違和感などの泌尿・生殖器の症状等が挙げられます。

 診断に際しては器質的変化(疾患)の除外が前提となります。鑑別診断が必要となる疾患のなかでは、甲状腺機能障害が更年期障害と類似した症状が多く、特別な注意が必要です。また、抑うつ状態はうつ病との鑑別が必要になります。
 更年期障害の評価には、患者自身の訴えに基づいた更年期指数等が用いられます。

 更年期障害の治療法は薬物療法と非薬物療法に分類され、症状の種類や程度によりどれを選択するか考慮します。薬物療法にはホルモン補充療法や、漢方薬、向精神薬投与などがあります。
 ホルモン補充療法は、更年期障害に対する第一選択の治療といえます。この治療は、更年期症状、特に顔のほてりや発汗等の自律神経症状を改善させます。また、骨量、骨の密度を増加させ、骨折を減らすことで骨粗鬆症の予防、治療に効果があります。
 漢方薬は不定愁訴と呼ばれる多彩な症状を訴える場合に用います。ホルモン補充療法との併用療法もよく行われます。
 精神症状の強い場合には向精神薬、抗うつ剤投与や精神科に紹介します。
 非薬物療法としては、運動療法、カウンセリング等が効果的な場合があります。


◎ 著者プロフィール
氏名:池上 信夫(イケノウエ ノブオ)
所属:高知大学医学部附属病院 周産母子センター
役職:講師

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