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コラム -医療情報提供-

喉頭がん

 喉頭は発声を行う器官ですが、それ以外にも呼吸の際の空気の通り道や、食べたり飲んだりする物が気管に入らないようにする気道防御の働きもあり、生きてゆく上で大切な役割を担っています。この喉頭は、くびの中央部のいわゆるのど仏の奥にあり、周りを硬い軟骨で囲まれています。

 社会の高齢化に伴ってがんの患者さんは増えていますが、喉頭がんは首から上にできるがんの中ではもっとも多く、年間に全国で3,000~4,000人の発症があるといわれています。喉頭がんの特徴としてタバコの影響が大きいことがあげられます。実際に、喉頭がん患者さんのほとんどは喫煙者で、私たちの病院を受診した患者さんのブリンクマン指数(1日平均の喫煙本数×喫煙年数)の平均は約1,000でした。これは毎日40本のタバコを25年間吸い続けている計算になります。男女比は約10:1で圧倒的に男性に多いですが、タバコを吸わない人では男女差があまりないことから、喫煙量の違いにより男女差が大きくなっているものと考えられています。

 初期症状で最も多いのは声のかすれで、徐々に進行することが特徴です。それ以外にものどの違和感、飲み込む時の痛みや引っかかり感などがあり、進行すると呼吸の際の空気の通り道や食事の際の食べ物の通り道が狭くなり、呼吸困難や嚥下困難をきたします。

 治療においては、先に述べたように喉頭が発声や呼吸、嚥下などの働きを担っていますので、これらの機能を残してがんを治すことを考えます。このため、放射線治療に抗がん剤治療を組み合わせた治療法が基本となります。早期がんであれば90~95%はこの治療で治ります。一方、進行した場合には放射線治療や抗がん剤治療を行っても完全に治すことが難しく、手術でがんを取り除く必要があります。がんが喉頭の一部分にとどまっている場合には、喉頭の一部分のみを切除することで声を出す機能を残したままがんを取り除くこともできます。しかし、がんが喉頭全体に拡がっている場合には、喉頭を全部摘出しないといけなくなります。この場合、手術後にはそれまでと同じようには声を出すことができなくなりますが、食道発声や人工喉頭などの方法を用いることで人と話をすることは可能です。

 このように喉頭がんは、早期に診断できれば比較的予後のよいがんですので、喫煙の習慣があり、最近声がかすれてきたという場合には早めに耳鼻咽喉科を受診して、検査を受けることが重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:兵頭 政光(ヒョウドウ マサミツ)
所属:高知大学医学部 耳鼻咽喉科学
役職:教授

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