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コラム -医療情報提供-

脳の検査について

 脳は頭蓋骨に囲まれているため、簡単に調べることができません。ですから、脳の情報を得るために様々な検査方法が発達しているのです。脳外科で行う主な画像検査には、CTとMRIがあります。どちらも脳の中を見る検査です。CT、MRIそれぞれに長所があり使い分けます。

 CTはX線を一回転させて断面の画像を得ます。MRIに比べて出血や頭蓋骨の情報を詳しく得ることができます。また、検査時間も短く済みますので、すぐに治療が必要な状態かどうかを素早く判別する必要があるときなどに有用です。一方、MRIに比べると画質に劣るという欠点があります。
 MRIは磁力を使って撮影する検査で、CTに比べるととても細部まで見ることができ、撮影方法によって、特定の病気が見つけやすいようにできたり、脳の血管だけを描き出したりできるなど様々な情報を得ることができるのが特徴です。ただし検査の種類が増えると検査時間は長くなりますし、狭いトンネルに入って撮影するため、狭い場所が苦手な方は取れません。
 また、検査中に動くと正確な情報が得られないため、じっとしていられない方では検査できないこともあります。体内にペースメーカーなどの機器が埋め込まれている方は検査できないなど、様々な制約があります。それと、MRIでは骨の情報が得られません。骨の情報を得るにはCTや昔ながらのレントゲン検査が有効です。

 その他には核医学検査といって放射線同位元素でラベルされた薬品を注射して、その薬品がどこに集まるかをみる検査もあります、大学病院では脳のできものの検査にはシンチグラフィを、脳の血流を調べるのにSPECT(スペクト)という検査を行っています。
 また、脳の血管を詳しく調べるために、造影剤を使ったCTアンギオや、より詳しいカテーテルを使った脳血管撮影という検査もあります。内科でおなじみの超音波検査も、頚の血管の情報をみるために行います。画像検査以外では、脳の活動状態を調べるための脳波検査があります。

 脳神経外科医は、症状などから適切な検査を判断し、おこなっていきます。私たちが外来でよくお聞きする訴えとして多いものにはまず頭痛があります。頭痛の原因は様々です。もっとも多いものは緊張性頭痛といって、いわゆる肩こりから起きる頭痛で、これは大きな問題になることはありません。重要なのは命にかかわるような頭痛かどうかを判断することです。
 頭痛で最も危険なのは脳出血やくも膜下出血といった出血に伴うものや、脳腫瘍に伴う頭痛です。これら危険な頭痛は吐き気や手足のしびれなどを伴うことが多いです。出血を見るのにはCTが適当です。また脳内に頭痛を起こすような大きな問題がないかどうかを判別することもCTで診断可能です。CTで異常が見つかった場合には、造影剤を使った検査やMRIを追加して調べることになります。

 また、頭を打って心配して受診される方も多いです。この場合は、頭蓋骨の骨折などの問題がないかどうか、また頭を打ったことによって脳内に頭蓋骨内に出血を起こしていないかどうかを調べる必要があります。ここでも骨の情報や出血の情報がわかりやすいCT検査が活躍します。
 通常は検査をして問題なければ大丈夫ですが、高齢の方や血液がサラサラになる薬を飲んでいる方、お酒を飲まれている方などでは、数週間から数か月かけて頭の中で少しずつ出血して頭の中に血が溜まってくる、慢性硬膜下血腫という病気になることがありますので、日にちを空けて再度検査を行う必要があります。

 その次に多いのは、めまいやふらつきです。このような症状で来院される方は多いですが脳に問題のない方がほとんどです。とくにめまいだけの方では問題のないことが多いです。ただし、耳の聞こえにくさや耳鳴り、顔のしびれなどを合併して徐々にふらつきが悪化する場合などは、腫瘍による圧迫が疑われますので検査が必要です。また、急におこっためまいで、手足のしびれや舌のもつれを合併する場合は脳梗塞によるものが疑われますので検査が必要です。
 めまいの原因となる脳は、脳幹や小脳といって、頭の後ろ下側の脳が原因となります。この部分は骨に囲まれていてとても複雑な構造をしているためCTでは十分な情報が得られないことがあります。そこで、この場合はMRI検査をお勧めします。

 その他にも、急な手足のしびれや脱力などで受診される方もいます。特に、片方の手足で、寝る前には問題なかったのに起きたら力が入らなかったり、活動中でも急に片方の手足の脱力が起きたりする場合は脳の血管の詰まり、いわゆる脳梗塞が疑われます。脳梗塞は早期の治療が大切ですので、このような症状が起きた時は我慢せずにすぐに受診されることをお勧めします。
 また、血管が一時的に詰まって、しばらくして自然に血栓が解けて流れが戻って症状が回復することもあります。これは一過性脳虚血発作といって、症状が治っても、脳梗塞になる危険性が非常に高いことがわかっているので、症状が治っても早めに受診されることをお勧めします。

 早期の脳梗塞はCTでは発見することが難しいため、MRI検査が必要となります。MRI検査の中でも拡散強調画像という撮り方をすれば、脳梗塞になって1時間もたっていない病変でも、かなり小さいものでも判別することができます。また、頭や首の血管が細いことが脳梗塞の原因となることもありますが、MRIであればMRアンギオグラフィといって、造影剤という特別な薬を使わなくても脳の血管の検査が一緒に行えるため、とても有用です。血管の検査としてはほかにもエコーや造影CT、カテーテル検査、脳血流をみる検査などさまざまのものがあり、MRIで異常が見つかった場合は、それぞれの状況に合わせて検査を追加していきます。
 脳の検査には様々なものがあります。気になることがありましたら、是非、早めにご対応ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:政平 訓貴(マサヒラ ノリタカ)
所属:高知大学医学部 脳神経外科
役職:講師

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