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コラム -医療情報提供-

脳脊髄液減少症とは

 脳脊髄液減少症は、古くは1938年に特発性脳脊髄液減少症として報告されていますが、長らくその病態については疑問が持たれていました。
 2011年には脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準が作られ、治療法であるブラッドパッチも2016年4月に保険適応となりました。

 脳脊髄液減少症は脳や髄液を包む硬膜が破損し、髄液が持続的に漏れていくなかで頭痛など多彩な症状を出す病態です。特に立っている時や座っている時など、頭部が上がっている状況で症状が出やすく、逆に横になると明らかに症状が改善する点も脳脊髄液減少症の特徴です。
 髄液が漏れるとすぐに症状がでるわけではありません。髄液は体内で作られており、最低必要量を保ちにくくなることで症状がでます。ですから、破損が疑われた時期より症状がでるのが遅れるのも特徴と言えます。これは、髄液減少により脳が落ち込むのが原因と言われています。
 そのため、先にも述べたように、横になると途端に症状が改善してしまうのです。仕事や勉強に支障がでるものの、横になると平気になるため、患者さんが誤解を受けることもよくあります。

 ブラッドパッチは自分の血液を一旦採取して破損した硬膜の近傍に再度注入し、血液の固まる性質を利用して破損部位からの髄液の漏れを止めるものです。
 ですから、髄液の漏れている場所を特定することが治療を効果的に行う上で非常に重要です。髄液の漏れていない方には、ブラッドパッチは無効です。

 しかし、実際には診断基準で示されているCTミエロやRI脳槽シンチでは漏出部位を特定できる割合が非常に少なく、漏れている個所がはっきりしない状況で治療を行わなければならないことも多々あります。
 この問題点を解決すべく、高知大学医学部附属病院脳神経外科では世界で初めての方法で、髄液の漏れる場所を特定する検査法を開始しております。
 これは従来の検査方法が造影剤や放射性物質を髄液内に混ぜ、漏れた薬剤を検出するのに対して、人工髄液を多めに入れることで、容積を超えた分の髄液が外に押し出されるようにするものです。これをMRIで撮影しますが、薬剤を使わないため、安全性も高いといえます。
 非常に有効な方法であり、近い将来世界での標準的検査法になる可能性もあると考えます。

 脳脊髄液減少症を心配される方は直接当施設を受診して頂いても構いませんが、お近くの脳神経外科を受診して頂いても、脳脊髄液減少症を疑われた際には当科に紹介して頂けると思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:中居 永一(ナカイ エイイチ)
所属:高知大学医学部附属病院 脳神経外科
役職:助教

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