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コラム -医療情報提供-

リウマチかなと思ったら

Q.関節リウマチって、どんな病気?

 A.関節リウマチは、一般的に30〜50歳代で発病する人が多く、男女比1:3の割合で女性に多い疾患と言われています。従来、病気の進行は5年〜10年程度時間をかけてゆっくり進行すると言われていましたが、最近の研究により発症から1〜2年の間に急速に進行する事が明らかになりました。
 具体的な症状として、発症当初は関節の炎症により手・足の痛みや腫れが生じます。その他にも朝起きた時に関節が動かしにくい(朝のこわばり)状態になります。また、倦怠感(体のだるさ)・微熱・体重減少など様々な症状があります。これらの症状が強い場合は関節リウマチを疑う必要があります。
 症状が強い状態を放置しておくと、徐々に関節の損傷が生じてきます。関節の損傷が起こると基本的にはその関節は元の状態に戻りません。損傷が進行すると、まともな日常生活を送ることが困難になってしまいます。例えば仕事、家事、育児、介護、趣味が出来なくなるどころか、毎日の食事さえ困難になります。すなわち関節リウマチとは、いわゆるQOLの低下(生活の質の低下)をもたらしてしまう病気と言えます。
 従って、早期発見・早期治療が必要となりますが、発症当初の症状だけでは、他の病気との鑑別が非常に難しい病気です。鑑別が必要な疾患として、偽痛風、脊椎関節炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、変形性関節症、リウマチ性多発筋痛症など数多く挙げられます。
 発症早期に関節リウマチと診断するため、近年、画像診断法が大きな進歩を遂げました。代表的なものが関節MRI検査と関節超音波検査です。これらは従来のX線検査で骨びらんが捉えられない早期から的確に滑膜炎、骨髄浮腫、骨びらんなどを捉えることができ、早期診断のために活用されてきております。従って、リウマチ専門医による専門的な知識、様々な検査所見から総合的に診断される事が大変重要です。

 Q.どのような治療がありますか?

 関節リウマチの治療はこの10年で大きく変貌を遂げました。従来は関節の痛みだけを抑える事を目的に抗炎症薬やステロイドが使われていました。しかし、これらのお薬では一時的に痛みを抑える事は出来ても、関節の損傷を抑える事は出来ません。また、ステロイドは長期に服用する事によるデメリット(骨粗鬆症や感染リスク増加など)が多い事が知られています。
 最近では一般的に抗リウマチ薬と呼ばれる飲み薬から治療を開始します。代表的なお薬としてメトトレキサートというお薬があります。それでも効果が認められない場合(6ヶ月以内に判断)、抗TNFα製剤であるレミケード、ヒュミラ、エンブレル、シンポニー、シムジア、抗IL-6製剤であるアクテムラ、抗T細胞製剤であるオレンシアなど生物学的製剤と呼ばれる注射のお薬を使います。これはいくつかの種類があり、大きく点滴と皮下注射に分けられます。特に皮下注射のお薬は糖尿病のインスリン注射と同様でご自宅での治療が可能なお薬です。これらのお薬を患者さんの症状や合併症、環境などに応じて適切に使い分ける必要があります。
 関節の変形が進んでしまった場合には手術による外科的な修復はある程度可能ですが、出来る限り内科的な治療で抑えることが、関節リウマチ治療の基本となります。最近では骨びらんなどの関節破壊は生物学的製剤により修復可能な報告や、また寛解が続き、休薬に至る報告も増えており、大きな希望を持ったお薬です。
 関節リウマチの治療が飛躍的に進歩したことで、現在は関節リウマチ患者さんの将来の関節の損傷を長期にわたって防ぐことが可能となってきました。こうした状況をうけて、国際的に関節リウマチ治療の新しい概念が普及しています。すなわち、数値によって病気の状態を把握して、上述した薬を使い分け、具体的な数値を目標として病気をしっかりとコントロールする治療が行われるようになっています。これを「目標達成に向けた治療(Treat to Target:T2T)」と言います。T2Tは将来の関節の損傷を防ぐうえで大変重要なアプローチです。


◎ 著者プロフィール
氏名:谷口 義典(タニグチ ヨシノリ)
所属:高知大学医学部 内科(内分泌代謝・腎臓)
役職:助教

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