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コラム -医療情報提供-

ロコモティブシンドロームへの対応

 ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)は、運動器症候群のことであり、「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態を指しています。2007年に日本整形外科学会が、世界に先駆けて新たに提唱しました。運動器とは、人間を構成する要素の中で、心臓や肺、肝臓、腎臓などの内臓器を除く骨・関節・靱帯、脊椎・脊髄、筋肉・腱、末梢神経などを指します。

 その運動器の障害であるロコモの原因には、運動器自体の問題と加齢による運動器機能の低下があります。運動器自体の問題には、加齢による生じる膝や股関節の変形性関節症、骨粗鬆症、大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折、変形性脊椎症などが挙げられます。加齢による運動器機能の低下とは、人間に限らず生物は加齢により、身体機能は衰えます。筋力や持久力の低下、反応時間の延長、巧緻性や深部感覚の低下、バランス能力の低下などが生じてきます。

 ロコモの原因として、変形性関節症と骨粗鬆症の二つの疾患だけでも、およそ日本国内に4700万人(男性2100万人、女性2600万人)が存在すると推定されています。ロコモはメタボと並んで今後の健康問題の中核をなす国民病といえます。ロコモは、メタボと同じく要介護の状態になる大きなリスク要因です。75歳以上において、脳血管障害よりも運動器自体の問題と加齢による運動器機能の低下の方が多くなります。

 ロコモのスクリーニングツールとして、ロコチェックがあります。ロコチェックは、7つの質問項目からなります。
 ロコモの診断には、ロコモ25というアンケートを使用します。ロコモ25は、その名の通り25の質問項目からなり、1つの質問は4点満点で、合計100点満点になります。ただし、ロコモに該当するのは16点以上であり、点数が多い程ロコモの程度はより重症となります。その詳細は、ロコモチャレンジから手に入れることが可能です。

 ロコモの予防対策として、ロコトレが発表されています。ロコトレの代表的なものとして、開眼片脚立ち訓練(ダイナミックフラミンゴ療法)と股関節の運動であるスクワット(ロコモン体操)があります。
 また、開眼片脚立ちとスクワット以外にも、ストレッチ、ラジオ体操、ウオーキング、百歳体操などいろいろな運動を積極的に行い、ロコモにならないように日々の習慣の中に取り入れることが最も重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:永野 靖典(ナガノ ヤスノリ)
所属:高知大学医学部 リハビリテーション部
役職:助教

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