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コラム -医療情報提供-

RSウイルス感染症(シナジス投与について)

 RSウイルスは、乳幼児にもっとも高頻度に呼吸器感染症を引き起こす重要な原因ウイルスです。生後1歳までに70%、2歳までにほぼ100%が感染すると言われており、秋から春にかけて流行します。

 大人が感染した場合は、いわゆる軽いカゼ様の症状で治まりますが、乳幼児に感染すると、細気管支炎や肺炎になることがあります。重症化すると呼吸困難がみられ、入院管理や人工呼吸管理を要する場合もあります。中でも、早産児や生まれつき呼吸器や心臓に病気を持っている赤ちゃんが感染すると重症化することが多いので注意が必要です。

 また、RSウイルス感染症には、有効な治療薬がないということも問題の1つであり、「かからないように予防する」ことがとても大切になります。そこで、予防の手段の1つとして、RSウイルス感染症による重症呼吸器感染症の発症を抑制するための注射薬「シナジス」がありますので紹介したいと思います。
 「シナジス」は、体内に入ってきたRSウイルスに結びつき、RSウイルスの増殖を防ぐことにより、RSウイルス感染症から赤ちゃんを守る注射です。通常の予防接種などとは異なり間隔を置いて数回の注射を行えばよい訳ではなく、RSウイルスの流行期間中、月1回の注射を継続して投与する必要があります。

 現時点では、残念ながら希望する方全員が打てる訳ではなく、①早産児(在胎28週以下で出生し、RSウイルス流行開始時に12ヵ月齢以下の赤ちゃん、あるいは29〜35週の出生で、6ヵ月齢以下の赤ちゃん)、それから、RSウイルス流行開始時に24ヵ月齢以下で、②慢性肺疾患を持つ子ども、③血行動態に異常のある先天性心疾患を持つ子どもが適応です。また、今年度からは、24ヵ月齢以下の④免疫不全を伴う子ども、⑤ダウン症候群の子どもも適応追加になりました。詳しい適応は、産婦人科やかかりつけの小児科の先生にお尋ね頂ければ良いと思います。

 「シナジス」を注射していても完全にRSウイルス感染症を予防することが出来る訳ではありませんので、常日頃の感染予防対策が重要であることに変わりはありません。人混みを避ける、風邪をひいている家族との接触を避ける、外出時は、家族を含めうがい、手洗いを励行することが大事になります。シナジスの適応がある方もない方も、これからやってくるRSウイルス感染症の流行期間に十分注意して備えて頂きたいと思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:松下 憲司(マツシタ ケンシ)
所属:高知大学医学部 小児科
役職:講師

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