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コラム -医療情報提供-

手足のしびれ(ジンジン、チクチク、ピリピリ)

 痛みの表現には「ズキズキ」、「ズーン」といった表現や、「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」「ビリッ」といった表現があり、後者の場合は、神経痛による痛みが含まれていることがあります。一般的に痛みは組織の炎症によって起こる事が多く、そういう場合は一般的な鎮痛薬がよく効きます。
 しかし「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」「(電気が走るように)ビリッ」と痛むといった表現の場合は神経障害性疼痛、いわゆる神経痛のことがあります。

 この痛みは、障害部位の違いから中枢性と末梢性に大別されます。中枢性は脳や脊髄に起因するもので、脳卒中後疼痛、脊髄損傷後疼痛が代表的です。それ以外のものが末梢性神経障害性疼痛になります。
 例としてあげられるのが帯状疱疹のあとに残る帯状疱疹後神経痛、顔面に痛みが走る三叉神経痛、糖尿病にともなう糖尿病性神経障害、椎間板ヘルニアや頚椎症の痛みなどです。

 末梢神経障害の最も多い原因として糖尿病があり、糖尿病の進行に伴って「眼の障害」「腎臓の障害」「神経の障害」の三大合併症が起こります。
 特に末梢神経障害は、手足の「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」した痛みが生じた時にはかなり障害が進行している事が多く、治療に難渋します。

 次に多い末梢神経障害としては椎間板ヘルニアや頚椎症、圧迫骨折があります。椎間板ヘルニアは比較的若い人に多いのですが、頸椎症や圧迫骨折は骨が弱くなる高齢者に多い病気です。
 これらの病気では、最初は「(電気が走るように)ビリッ」と痛む事が多く、この痛みが長く続く場合もあれば、次第に「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」した痛みに変わってゆくこともあります。帯状疱疹のあとに残る帯状疱疹後神経痛、顔面に痛みが走る三叉神経痛などでもこのような痛みが長く続きます。

 治療についてですが、いずれの痛みについても原因疾患の治療が大切です。
 痛みに対しては、一般的な鎮痛薬の効果が乏しい場合はきちんとした診断をつけた後で、特殊な鎮痛薬を使用することが望ましいです。こういったたぐいのお薬は神経系の異常な興奮を抑えるタイプの薬が多く、「てんかん」のお薬として用いられているものも多くあります。
 「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」した痛みはいずれも弱った神経が異常に興奮しやすくなって起こるものですから、神経の興奮を抑えるタイプの鎮痛薬の効果があるのです。
 しかしこれらのお薬には眠気やふらつきが副作用として出る事が多いので、内服量の調整が必要な場合もあります。

 いずれにしましても「ジンジン」「チクチク」「ピリピリ」「ビリッ」とした痛みが長く続く場合は、整形外科や脳神経外科、神経内科、ペインクリニックなどできちんと診断してもらった上で治療方針を決め、適切なお薬を処方してもらう事が大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:古谷 博和(フルヤ ヒロカズ)
所属:高知大学医学部 神経内科学講座
役職:教授

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