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コラム -医療情報提供-

心不全について

 心不全という言葉をよく耳にしますが、これがどのような病気なのか、一般的にはあまり理解されていません。心不全は病気の名前というよりは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出すことができていない状態を指します。

 たとえば、心筋梗塞で一命をとりとめても、その後の経過によっては心不全が問題となってきます。また、高血圧のようなありふれた病気も、きちんと治療しないと最終的には心不全になってしまいます。現在、日本には100万人以上の慢性心不全患者さんが存在しています。

 自覚症状としては、息切れ・むくみ・体重増加・倦怠感などがあります。このような症状があれば、怖がらずに病院を受診し、診察を受けてください。
 まずは外来診療で、その症状が心不全かどうか、心不全だとするとその程度はどのくらいかということを調べます。ここで行う主な検査は、採血と心電図、胸部レントゲン写真、そして心臓エコー検査です。これらの検査は体にほとんど負担のかからないものですので、怖がる必要はありません。
 心不全の診断は専門医でも難しい場合がありますが、最近はBNP(ビーエヌピー)と呼ばれる血液検査を行うことで、息切れの症状がおおよそ心不全によるものかそうでないかが判定できるようになりました。ほとんどの医療機関でこの血液検査は受けられます。

 心不全であれば治療を開始します。心不全治療の目標は、症状が軽くなり生活ができること、そして健やかに長生きできることです。
 多くの場合は内服薬で治療を行うことになりますが、食事も大切です。塩分を摂りすぎると体に水分が溜まりやすくなり、その結果として心臓に負担がかかってしまいます。心不全患者さんは、塩分の過剰摂取だけでなく、水分の過剰摂取も控える必要があります。
 また、過労や内服薬の飲み忘れも心不全を悪くします。心不全が悪化すると、入院治療が必要になることもあります。入院すると比較的速やかに軽快することが多いですが、入院のたびに心不全の状態は確実に進行してしまいますので、いかに入院せず外来通院で長く過ごせるかが重要です。

 心不全はもはやありふれた疾患ですが、自覚症状をそのままにしており、きちんと診断されていない方も少なくありません。なるべく早期に適切な治療を行うことで、元気に長く生活をおくることができます。気になる症状などがあれば、お気軽に循環器内科にご相談ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:久保 亨(クボ トオル)
所属:高知大学医学部 老年病・循環器内科
役職:講師

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