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コラム -医療情報提供-

小児鼡径ヘルニア

1.そけい(鼡径)ヘルニアとはどんな病気?

 こどもの外科疾患の中で一番多い病気で、発生率は子どもの約1~5%と言われています。
 「そけい」とは足の付け根の部分にあたります。ヘルニアとは臓器が本来ある場所から脱出した状態を意味しており、そけいヘルニアはそけいにある穴からお腹のなかの臓器が脱出している状態のことです。

2.症状は?

 そけい部の膨隆(膨らみ)が最も見られる症状です。膨隆の中身は穴が小さいと腹水が、大きいと腸管などが脱出します。常時膨隆が見られるわけでなく、啼泣時や排便時に出現することもあります。
 問題は「嵌頓(かんとん)」という状態です。嵌頓とは出たものがはまり込んで元に戻らない状態で、ヘルニア嵌頓と言います。嵌頓すると穴で臓器が締め付けられて、脱出した臓器の腫れが進行して戻りにくくなります。嵌頓の時間が長いと脱出した臓器に血流障害が発生することがありますので、注意が必要です。

3.治療は?

 そけい部の腫脹に気付いた場合は、まずお近くの小児科、あるいは小児外科(外科)を受診してください。手術時期は診断後いつでも可能ですが、小児のそけいヘルニアは1歳までに80~90%が自然閉鎖する可能性がありますので、嵌頓の危険性を説明しながら1歳まで待つこともあります。
 嵌頓した場合にすぐに受診していただくと、用手整復術を行います。用手整復術とは、脱出した臓器をゆっくり押しながら、お腹の中に臓器を戻す方法です。脱出(嵌頓)後24時間以内でしたら多くは整復可能ですが、整復出来ない場合や、長時間の脱出で臓器の血流障害が疑われる場合には、無理な整復は行わずに手術になる場合もあります。
 1歳前でも嵌頓を繰り返したり、嵌頓の危険性がある場合には手術適応となります。また乳幼児期に異常なく、学童期以降に突然発症する場合は、自然治癒の可能性はほとんどないため、手術適応となります。

 手術方法は一般的に2つの方法が行われています。
 一つはそけい部を2cmほど切開し、穴を糸で縛って閉じる方法です。
 もう一つは、約20年前から始まった方法で、腹腔鏡を使います。お臍の創から3mmのカメラをお腹の中に挿入し、そけい部の穴を確認します。カメラで観察しながら穴を特殊な針で縫合閉鎖します。腹腔鏡装置の進歩による画像解像度の進歩と、細い鉗子の開発により、新生児でも安全に繊細な手術をすることが出来るようになっています。
 手術時間は従来の方法とほぼ同じで、傷はほとんど目立ちません。県内では、高知大学医学部附属病院で腹腔鏡手術を受けることが出来ます。


◎ 著者プロフィール
氏名:大畠 雅之(オオバタケ マサユキ)
所属:高知大学医学部附属病院 小児外科
役職:特任教授

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