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コラム -医療情報提供-

すい臓がんについて

 すい臓がんは高齢化とともに増加しており、昨年度の死亡者数は3万人を突破し、肝臓がんを初めて抜きました。

 罹患者は60歳から70歳代に多く、5年生存率は5~7%程度です。危険因子として家族歴、慢性膵炎、糖尿病、肥満、喫煙などがあります。
 アルコールとの関係は明らかではありませんが、男性の慢性膵炎の7~8割はアルコールが原因なので、関係している可能性は十分あります。また、突然糖尿病になったり、血糖のコントロールが急に悪くなったりする場合は注意が必要です。最近では、すい臓に嚢胞が出来る場合は高リスク群ということが分かってきました。

 初期のすい臓がんでは胃や背中の不快感を訴えることがあり、進行すると腹痛・背部痛を認めることが多く、食欲不振や体重減少なども出現します。
 また膵(すい)頭部(とうぶ)(すい臓の十二指腸側)にがんができると、胆汁の通り道である胆管を閉塞してしまうため、体が黄色くなる黄疸(おうだん)が出現します。すい臓がん特有のものではありませんが、深刻な病気のサインであることが多いので、すぐに医療機関の受診が必要です。

 検査はエコーが有用ですが、場合によってはCTなどの精密検査が必要です。またPET-CTもすい臓がんのスクリーニングや転移診断に有用です。当院では最新の超音波内視鏡を導入し、すい臓がん診断に効果を発揮しています。

 治療には外科的治療と内科的治療がありますが、外科的切除の対象となる患者は全体の20%程度で、手術しても多くは再発します。内科的治療は抗がん剤が中心になりますが、近年では年単位の長期生存をされる方もいます。

 がん治療の大原則は早期発見・早期治療です。糖尿病や家族がすい臓がんにかかられた方、すい臓に嚢胞の認められる方は、定期的な医療機関への受診をお勧めします。またすい臓がんの予防法として、禁煙はもちろん受動喫煙も避ける、適度な飲酒、規則正しい生活などが重要です。
 食事習慣では暴飲暴食をしない、野菜・キノコ・魚など和食中心の食生活も重要となります。また、ストレスは免疫力を低下させる一因にもなりますので、ため込まないことが大切です。

 まだまだ難治がんの代名詞でもあるすい臓がんですが、手術や抗がん剤なども進歩していますので、生活の質を考慮しながら粘り強く治療することが大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:耕﨑 拓大(コウサキ タクヒロ)
所属:高知大学医学部附属病院 消化器内科
役職:講師

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